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- 落語自由自在 ~落語協会・新作台本まつり~
落語が大好きなさいとうさんの落語体験記をお届けします。古き良き日本文化である落語を聴いて楽しく笑うことで、身も心も元気になりますよ。今回は、花冷えからお花見の予定を急遽変更して「新作台本まつり」に行ってきました。
寒い日は落語を見よう
2019年3月はお花見日和と思っていましたら、冬が戻ってきたような寒さで予定を変更し、寄席に行くことにしました。急に変更しても、予約なしですぐ行けるのが寄席の良い所です。
さて本日の主任(トリ)は? と思った途端、そういえば昨夜Twitterで、小ゑん師匠が「池袋演芸場昼席は新作台本まつりをやっています」と、呼びかけていたことを思い出しました。
この演芸場には、昨年お亡くなりになった桂歌丸師匠が「体調不良のため寄席を辞めます」と宣言された時、もはや見納めかと慌てて駆けつけ、手を伸ばせば届きそうな間近な席で「小間物屋政談」を聞いた想い出があります。その後、周囲の説得で師匠は最後まで噺家を全うされましたが。そんな思いに浸っているうちに、そろそろ開演時間です。
プログラムを見ると、今日の出演者は、前座さんを入れて11名ですので、今回は3席に絞ってレポートいたします。
「妻の旅行」 柳家はん治
「はん治と言っても、裁判所から来たわけではありません」といつもの自己紹介で始まり、まくらはなしで噺に入ります。桂文枝作の「妻の旅行」と分かりました。大阪のおばちゃんの話なのですが、今回は関西弁ではないので、ちょっと趣が違います。
卵お一人様1パックと言うので、スーパーに連れて行かれ、2人で2パック買い、妻だけもう一回並んで3パック。そんなに買ってどうするんだと思ったら、毎日卵ばっかり食べさせられたと、ぼやきます。そんな「あるあるネタ」で笑いを誘うベテランの語り口に、引き込まれました。
「ガーコン」柳家小せん
「今日は新作の日ですが、普段やる古典落語でさえ、現代人にわかるようにしないと、と言われますが、じゃあ現代って何だと言うと、よく分らないのが現代です」の下りで、すぐに演目が「ガーコン」だと分かりました。何度か聞いてはいますが、この会場で聞くのは初めてです。会場のキャパは93名で、こじんまりとしていますので、マイクなしです。この演目は歌を歌うのが特徴なので、期待が高まります。
先頃NHK大河ドラマ「いだてん」にも出演された師匠です。噺の途中で、円生師匠の声色を使って、笑いを誘います。
藤原義江の「出船の港」をオペラ歌手風に歌い上げ、フランク永井の「君恋し」では低音の魅力を発揮、果ては二村英二の高音まで、自在に歌いわけて噺は進みます。師匠の声が素晴らしくて、聞き入ってしまいます。昭和初期の二大愚歌も高らかに歌い上げ、もっと聞きたいなと思ったところで、お時間です。無情にもお仲入り(休憩時間)となりました。
「聖なる我が家」三遊亭圓丈
主任は一般公募の優秀作品を日替わりにて紹介しますが、圓丈師匠は「『聖なる我が家』このタイトル、面白くないので替えたいと言ったら、作者がそれだけは譲れないと言ったので、仕方なく中身を大幅に変えました」って、それでいいのでしょうか?
「上手くできたら奇跡です」と断ってから、噺に入ります。家の前に林檎が山の様に置かれていたことから物語は始まり、やがて果物が食べきれない程置かれるので、ネット販売を始めて騒動となり、途中で「芝浜」(有名な古典落語)の場面になったりで、何だかよく分かりませんでした(笑)。
新作落語は馴染みがないので、余程想像力がないと噺にはついていけません。でも、やがては新作も古典になるのですから、これからも楽しみに聞き続けたいと思いました。
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