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- 船旅の自主企画「脳出血の再生」朗読会から得たもの
2020年1月。先生の後押しを得て実現した「脳出血からの再生」船上朗読会。たくさんの会場で様々なイベントが行なわれていたにもかかわらず、小さな会場に定員を超える方々が集まってくださいました。この経験が私に新たな自信を与えてくれたのでした。
「ヨシ辺の花壇」に仲間入り
2022年9月、依頼されて夫がネームプレートを作った「ヨシ辺の花壇」。レジデンスを1周する遊歩道に面しているので、季節ごとの木の花や草花が、散歩する方々の目を楽しませ癒やしとなっているようです。
その「ヨシ辺の花壇」に、我が家で食べたミカンの種から育った苗木が仲間入りさせてもらいました。実から取った種は品種改良をする前の原種に戻ってしまうので、よしや育ったとしてもおいしい温州ミカンがなるとは考えられません。
それでもあえて仲間入りさせてもらったのは、実のオレンジ色が元気をくれることと、アゲハチョウが卵を産み付けてやがて羽化して飛び立つ姿を見られるのではないかという期待からでした。
2023年4月、熱心に「ヨシ辺の花壇」の手入れしておられるAさんBさんから声を掛けて頂いて植え付けをしました。その時、「2018年の屋久島旅行の時、ガイドさんからもらって帰った1枚の『ハカラメ』の葉から今年もたくさんの芽が出て、元気をもらっている」という話をしました。
すると、Aさんがすぐに見に来られて、「葉を1枚だけもらって帰って私も育ててみます」と、濡らしたティッシュペーパーに大切に包んで持って帰られました。お礼にと花壇で育てたラナンキュラスの花を1枝置いて行って下さいました。
それから約1週間後。ラウンジでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいると、たまたま通りかかったAさんが「芽が出てきました」と報告してくれました。私も、「ラナンキュラスの花の色が日ごとに変化して、見たことがない美しさになっています」と報告しました。すると、より見事さの増した花を「ヨシ辺の花壇」から摘んで、届けてくれたのでした。
植物を通して深まるつながり。心にも花が咲いた気がします。
ピースボートでの朗読体験
2019年12月に神戸港を出て、アジアの島々に立ち寄りながら西へ西へと進む内に年は改まり2020年を迎えました。いよいよ針路を南に取りオーストラリアのパースへと向かいます。
ひたすら海上で過ごすこの間に、自主企画「脳出血からの再生」朗読会を行なうことにしました。
「5分間発表会」を通して仕上げた6部のエッセーを、2部ずつ、音楽に合わせてゆっくり間を取りながら約30分間で読めるようにアレンジして、3日間に分けて朗読会をしました。出発してから日も浅く、知り合った人も少なかったのに、10人規模の部屋に毎回20人以上の方が集まってくれました。
30分の朗読後は座談会。和やかで豊かな時間になりました。その後も残って私や進行を務めた夫を取り囲んで、より深く話を聞いてくれる方もいました。
ピースボートでの朗読体験から得た2つの事
エッセーを書き、聞いて頂き、交流する中で、改めて「脳出血」という病気から逃げずに、しっかり向き合って来た自分に気付きました。そして、「自分で自分をほめたい」という気持ちに初めてなれたのでした。
全国から集まった見ず知らずの方々からも共感して頂けたことで、病前のように幅広い方々と関われる自分を取り戻せたのだという喜びを得ることもできました。
そして、東京の劇団に所属しておられる方が主催する、「船上朗読サークル」にも加わり、朗読に必要な体力作りや発声練習の指導を受けました。2020年2月、横浜港に入港する直前にサークルメンバー全員による「朗読ライブ」が開かれました。
私はそのトリに選んで頂き、川端康成作「掌の小説」から「雨傘」を朗読したのでした。
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