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- こんな漫画なら、こっそり読まれても大丈夫
子どもの頃、父や親せきの家の本棚から、よく本を引っ張り出して読んでいました。探検気分で楽しかったけれど、中には子どもにふさわしくないものもあったような……。最近の漫画は過激なものもありますが、これなら棚に並べておいても大丈夫。
人と話ができる子猫の冒険 猫好きにもおすすめ
大ヒット作『ミステリという勿れ』の作者 田村由美が並行して連載中の作品。
舞台は、ねずみの魔王率いるねずみ軍と人間が長い間戦っている、中世のような世界です。「mix」とは、ねずみの魔力で人間のように話せて二足歩行をするように変えられてしまった動物たちのこと。猫mix、犬mixなどと呼ばれ、人間と共存しています。
とらじはmixにされた子猫で、魔王にさらわれた飼い主の少年リオを、父親である勇者パイ・ヤンとともに探す旅に出ます。
このパイ・ヤン、ねずみとの戦いに明け暮れて妻子のことが何もわかっていなかったということを、旅の間に思い知るようになります。
作者は猫を飼っているので、とらじの仕草がとてもかわいく描かれています。
俗世のことにうといパイ・ヤンが、猫特有の行動にいちいち反応するのが読んでいて楽しいです。
旅の間に仲間が増えていき、謎解きやアイテムを集めて次の段階に進むといったロールプレイングゲームのような要素があるので、子どもも面白く読めるでしょう。
刺激的な場面もないので安心です。
心優しい王子はナンバーワンの王様になれる?
『王様ランキング』は、ネットの漫画投稿サービスに発表して人気が出た作品です。最近は、出版社を通さずに自分で発表できる手段が増えたので、漫画家志望者にはいいですね。その分、競争も大変でしょうけれど。
王様たちが、評価されてランク付けされている世界。魔法使いや魔物・怪物もいます。
そんな中で、ボッス王国の第一王子ボッジは、巨人夫婦の息子なのに小さくて力も弱く、ろうあ者です。心優しく純粋で、人々のさげすみの言動にも陰でじっと耐えています。
異母弟の第二王子ダイダは、見栄えもよく文武両道でプライドが高い人物です。
しかし、父王の死が二人の生き方を大きく変えてしまいます。
ボッジは、「カゲ」という、彼と気持ちの通じる不思議な生き物を友として、自分を強くするために旅立ちます。
果たして、ランキング一位になるのは誰でしょうか。
本作は、初めは絵本として構想されていたためか、シンプルな絵柄で童話を読んでいるような感じです。ボッジはしゃべれないのでセリフが少なめで、絵だけで感情や状況が伝わってきます。
体を理解するきっかけに
『はたらく細胞』シリーズは、擬人化された細胞たちが体を守るために奮闘する姿を描いた作品で、白血球・赤血球の活躍から始まった一作目から現在に至るまで、多くの関連作品が出ています。
誇張していますが、病原菌が入ってきたら自分の体内ではこんなことが起きているんだな、などとイメージできて面白いです。私の意志は届かなくても、黙って私のために日夜働いてくれる細胞たち、ありがとう!
もちろん、医学書ではないので、異常があるときは専門家にお尋ねくださいね。
関連作品のなかで『はたらく細胞LADY』は、女性の月経・妊娠などでがんばる子宮の細胞たちの働きを描いたもの。『はたらく細胞BABY』は、妊娠出産を経た赤ちゃんの体の細胞の話です。
月経時に体の中で起きていることを、漫画というざっくりとしたイメージであっても知っておくということは、自分を大事にすることにつながるのではないでしょうか。男性にも、読んでもらったらいいかも。
というわけで、人の出入りの多くなるこの季節。読ませたい本はさりげなく出しておき、ちょっとまずいものは隠しておきましょうね(笑)。
今回の作品
『猫mix幻奇譚(げんきたん)とらじ』 田村由美 2006年~ 既刊13巻 小学館
『王様ランキング』 十日草輔 2017年~ 既刊13巻 KADOKAWA
『はたらく細胞』 清水茜 2015年~2021年 全6巻 講談社
『はたらく細胞LADY』 清水茜(監修) 原田重光(原作) 乙川灯(作画) 2020年~ 既刊4巻 講談社
『はたらく細胞BABY』 清水茜(監修) 福田泰宏(作画) 2019年~2021年 全4巻 講談社
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