『このマンガがすごい!2022』からのおすすめ作品

ヒロインは65歳

公開日:2022.01.15

更新日:2022.01.13

おもしろい漫画を読みたい時に参考になる『このマンガがすごい!』の最新版から、ハルメク世代におすすめの作品をご紹介します。

ヒロインは65歳
『このマンガがすごい!2022』からのおすすめ作品

『このマンガがすごい!』とは

『このマンガがすごい!』とは
『このマンガがすごい! 2022』宝島社

このマンガがすごい!』とは、宝島社が毎年末に発行する雑誌です。

書店員、評論家、俳優、小中学生など幅広い参加者が、おすすめの漫画に投票します。オトコ編・オンナ編、それぞれトップ50が紹介されています。

権威ある賞というわけではありませんが、漫画本の売り上げ増には大きな影響があるようです。ネットカフェや書店では、上位10作品のコーナーを設けているところが多いです。大量に発表される作品すべてに目を通すことは不可能なので、私もいつも参考にしています。

今回は、オンナ編から2作品をご紹介します。

65歳からの新たな船出

65歳からの新たな船出
『海が走るエンドロール』たらちねジョン作  主人公のうみ子

「65歳、映画はじめます」と高齢者はぎくりとする帯がついている『海が走るエンドロール』。

夫を亡くした映画好きの65歳のうみ子が、自分の心と向き合い直し、本当にやりたかったことに踏み出していく物語は始まったばかりです。

映画館で知り合った美大生の海(かい・男性)の「本当は映画を作りたい(こっち)側なんじゃないの」という指摘がうみ子を目覚めさせます。

「高齢者のひまつぶし」などと言って自分をごまかさずに、真剣に映画作りをしたくて美大に入学してしまうのです。

「作る人と作らない人」の差は何か。環境や年齢などの違いはあるが「船を出すか出さないかだ」と海辺で海(かい)にうみ子が(ややこしいですね(笑))語る場面は、心が震えます。

各話の扉が映画のパロディになっているなど、映画好きにはたまらない仕掛けがあり、今後の展開が楽しみな作品ですが、あえてひとこと。

高齢者=無造作な束ね髪、ではないし、映画くらいひとりで行きます。

学生にとって、高齢者がLINEして、マニアックな映画を見るのはそんなに驚くことですか。なによりも、初対面で「おばあさん」と呼ばれたくない! 話の上で必要な設定でしょうが、同い年なので気になって、船が浜辺で朽ちかけの人間がちょっと吠えてみました。お許しを……。

ひとりにならないと踏み出せないの?

ひとりにならないと踏み出せないの?
左から『傘寿まり子』おざわゆき作 『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央里作

2021年1月に「どうなる、どうする!?「余生」について考える」でご紹介した2作品『メタモルフォーゼの縁側』『傘寿まり子』も、高齢女性が夫の死後新たな世界へ踏み出す話でした。

しかし、『妻』でなくならないと、再出発できないわけではありません。後に残るのが自分とは限らないので、悔いなく生きましょう!

この2作品は2021年に完結しました。主人公二人とも、家の問題で新たな決断をします。

何も起こらないけれど、何だか笑える

何も起こらないけれど、何だか笑える
『女の園の星』和山やま作 星先生

さてこの辺で、生きがいやら老後やら、考え疲れた頭をリフレッシュしましょう。

『女の園の星』は、とある女子高校の男性国語教師・星先生に関わる同僚の先生と生徒のお話。大した事件は起こらないのに、みんなの日常のやりとりがなぜか面白い。私はクククと腹筋震わせて笑って、元気をもらっています。


今回の作品
『このマンガがすごい!2022』このマンガがすごい!編集部 2021年12月 宝島社
『海が走るエンドロール』 たらちねジョン作 2021年~ 既刊1巻 秋田書店
『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央里作 2017年~2021年 全5巻 KADOKAWA
             ※2022年初夏 実写映画公開予定 芦田愛菜 宮本信子出演
『傘寿まり子』おざわゆき作 2016年~2021年 全16巻 講談社
『女の園の星』和山やま作 2020年~ 既刊2巻 祥伝社
 

■もっと知りたい■

K・やすな

漫画、アニメ、映画鑑賞、読書が趣味の自称「オタクな主婦」。子どものころは考古学者か漫画家志望。美術館めぐりや街歩きも好きだが、基本的に単独行動。なぜか、どこへ行っても道を尋ねられる。好きな花はカワラナデシコ。

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