邪馬台国はどこにある?―漫画家はこう考える(後編)
2022.04.292021年08月01日
不思議なものが見える人たち
あなた 見える人? 見えない人?
世の中には、霊や物の怪などが見える人がいるようです。そんな人たちって、一体どんな日々を送っているのでしょうか。
「信じるかどうかは、あなた次第」な話
私は「見えない人」です。勘も鈍いし、くじ運もない平凡な人間です。
亡くなった母は違って、少しは「見える人」だったようです。実家の墓地で、人魂をよく見たと言っていました。またある時、原因不明の頭痛が続いたことがありました。雛人形を飾り忘れたことに思い至り、季節外れでしたが、飾ってみたらスッキリ治ったということです。
気のせいと言えばそれまでなのですが、他にも何か見えていたらしいです。でも、そのことを家族の生活に影響させなかったのは感謝しています。
義父の葬儀で、孫たちが「死んだ時刻にじいちゃんが来たのが分かった」と話すのも聞いています。自分が見えないからと言って、私はこのような話を否定しません。この世は分からないことだらけです。体がなくなったら、人の思いはどこへ行ってしまうのでしょうね。
「見える人」たちの漫画3選 妖しいものが見える高校生
人の見えないものが見える力が欲しいですか?
未来とか危険とか見えるものにもよりますが、使い方によっては人生を誤るかもしれません。あまりうれしくないものが見えるために、苦労している人たちの漫画がこちらです。
トップバッターは、『夏目友人帳』の夏目貴志くん。両親のいない貴志くんは、妖(あやかし)が見えるので、気味悪がられて親戚をたらいまわしにされる生活でした。現在は優しい養家のもとで、穏やかに高校に通っています、と言いたいところですが……。
強力な霊能者だった祖母は、妖の名前を封印し従えることのできる「友人帳」なるものを残していました。人付き合いが苦手ですが心優しい貴志くんは、実は大妖怪で友人帳を狙っている「ニャンコ先生」を用心棒に、妖たちに名前を返す日々を送っています。
危ない目にもあいながら、「見える」友人知人も増えて、人と妖、両方へのかかわり方も深まっていきます。妖と人の思いが交わる、切なくも美しい話が多いです。
除霊師はイケメン二人組
三角康介(みかど こうすけ)は霊が見える青年です。もちろん他人には隠しています。しかし、除霊師の冷川理人(ひやかわ りひと)と仕事場の書店で出会い、無理矢理助手にされてしまうのでした。
他の能力者の体を使って自分の能力を高める理人に、康介は毎回しんどい思いをさせられています。猟奇殺人事件、謎の呪い屋、カルト宗教の事件、そして2人の生い立ちも絡んで話が進んでいきます。
アニメ放映中、続くエピソードの重要人物
2021年8月現在、アニメ放映中の壮大な世界観の作品です。
基本となる登場人物(と言っていいのかな)は三人で、まずは黒衣の「観察者」。彼が世界のすべてを保存するために投げ入れた「球体」。これは関わった生命の死を通して、その記憶を取り込み再現できるものです。少年の姿の時が多くフシ(不死)と呼ばれます。
そして、魂を肉体から解放するためにフシや人間を襲う「ノッカー」。ノッカーと戦いながら気の遠くなるような年月を生きていくフシですが、不老不死で記憶したものの、再生能力のある彼を利用しようとする者もいます。
ウラリス国のボン王子もその一人。7巻から12巻で重要な役割を果たす人です。彼もまた死者が見えることを秘密にしています。普通の人間には見えない「観察者」も見えるのです。派手で享楽的に見える王子ですが、「ノッカー」が襲ってくると知って……。
未放映の話なので、残念ながらここまでにいたします。
凡人の私は、穏やかに暮らしたいです。未知なるものへの畏敬の念を忘れずにね。
今回の作品
『夏目友人帳』緑川ゆき 2003年~ 既刊26巻 白泉社
『さんかく窓の外側は夜』ヤマシタトモコ 2013~2021年 全10巻 リブレ
『不滅のあなたへ』大今良時 2016年~ 既刊15巻 講談社
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