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- “おせど”って、なぁに?
お箏教室に通ってくれている小学生の女の子に質問をされました。「先生、“おせど”ってなぁに?」 こうした何気ない一言から、私も日々さまざまに勉強させていただいています。
Nちゃんからの質問
私のお箏教室では、習い始めたばかりの生徒さんには、できるだけご本人が弾きたいと思う曲を選んで練習してもらうようにしています。
すると特に小学生の頃は、ディズニーやジブリ、アニメソングなどを弾きたがるお子さんが多いのですが、そんな中でNちゃんは「お箏で弾くならやっぱり和風の曲がいい」と言ってくれる、今どき珍しい貴重な女の子でした。
そこでNちゃんとのお稽古では、その時の季節に合わせた童謡や唱歌を一緒に歌いながら弾いていくことにしたのですが、さて秋になった、つい先日のこと。童謡の「里の秋」を練習していたときのことです。
“静かな静かな里の秋 おせどに木の実の落ちる夜は”
そう歌ったところでNちゃんの手が止まりました。そして尋ねられたことは。
「先生、“おせど”ってなぁに?」
“おせど”とは
突然の質問を受けて、私もハタと気づきます。
「そういえば私もよくわからないかも。“おせど”って何だろうね?」
今さらながら意味もわからず歌っていた自分に気づき、Nちゃんと一緒に言葉の意味を調べてみました。
“おせど”は、漢字では“お背戸”と書くそうです。
辞書をひくと「背戸」とは、1:家のうらの出入り口 2:家のうら手 とあります。
さらに「背戸の山」といえば、家の後ろの屋敷林を意味しているとのこと。つまり、“お背戸”と丁寧に「お」を付けて呼んでいるのは、単に家の裏というだけの意味ではなくて、たくさんの実りをもたらしてくれる里山への敬意がこめられているのでしょう。
Nちゃんのおかげで、私もまた一つ良い勉強をさせていただきました。
お箏の歌で知ることがたくさんあります
お箏で習う曲には、今の時代では使われなくなった言葉や風習がたくさん出てきます。例えば、私が子供の頃に覚えた「砧(きぬた)」もその一つ。
Wikipediaによると「砧は、洗濯した布を生乾きの状態で台にのせ、棒や槌(つち)でたたいて柔らかくしたり、皺(しわ)をのばすための道具。また、この道具を用いた布打ちの作業を指す」とあります。
秋の夜なべ仕事だったことから、俳句では秋の季語にもなっているそうです。現在ではすっかりなくなってしまった風習ですが、秋の夜に遠くから聞こえてくるトントンという布を打つ音を想像すると、なんとも風情がありますね。
宮城道雄作曲の「砧」という曲を題材に、秋の動画を作ってみました。
日本の秋って、つくづくいいものですね。
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