豪華列車「氷河特急」でスイスの世界遺産を横断する
豪華列車「氷河特急」でスイスの世界遺産を横断する

公開日:2021年01月05日

ユーレイルパスでヨーロッパ世界遺産と絶景の旅(4)

豪華列車「氷河特急」でスイスの世界遺産を横断する

豪華列車「氷河特急」でスイスの世界遺産を横断する

ヨーロッパ33か国間を自由自在に使える便利な鉄道チケット「ユーレイルパス」で、ゆったり世界遺産と絶景を巡る旅。スイスが誇る観光列車「氷河特急」もユーレイルパスで乗車できます。世界遺産と絶景を楽しむ「エクセレンスクラス」をご紹介します。

スイスの世界遺産を8時間かけて走る「氷河特急」とは?

スイスの世界遺産を8時間かけて走る「氷河特急」とは?

ユーレイル・グローバル・パス」(1等席、使用日数10日間、有効期間2か月間で、使用開始日から2か月以内なら、連続して使っても断続的に使ってもかまわない)を使って、イタリア、ドイツ、スイス、フランスの世界遺産と絶景を巡る列車の旅に参加した編集部員の旅も、いよいよ後半。

ドイツから列車とフェリーを乗り継いでスイス入りし、有名な観光列車「氷河特急(グレッシャー・エキスプレス)」に乗ります。

ローカル線から観光列車までさまざまな路線があるスイスは、路線密度が世界一といわれるほどの鉄道大国。路線のほとんどが山岳地帯や峡谷を走るので、春から秋は美しい緑が、冬は真っ白な山々が望め、まさに絶景の連続!

中でも、サンモリッツとツェルマットを結ぶ氷河特急は、2008年に世界遺産に登録された「レーティッシュ鉄道アルブナ線・ベルニナ線と周辺の景観」を走ります。

全長291kmを、平均時速42kmというゆったりした速度で、8時間かけて走るのです。その間、291の橋と91のトンネル、雪解け水が流れ込む透明度の高い峡谷や、スイスの伝統的な山岳風景、アルプスの山々といった絶景を眺められるパノラマの連続で、これぞ列車の旅の最高峰といってもいいでしょう。

氷河特急のルート。車内で配られた氷河特急のパンフレットより
氷河特急のルート。車内で配られた氷河特急のパンフレットより

わずか20席、絶景と豪華料理付きのエクセレンスクラス

わずか20席、絶景と豪華料理付きのエクセレンスクラス
天井までかかるパノラマウインドウ(一等車)

乗車車両は、1等席、2等席の他に、ラグジュアリーなエクセレンスクラスがあります。エクセレンスクラスは2019年3月に新設された最上級クラスで、ハルメクWEBでも初運航直後の冬の氷河特急をご紹介しました。

冬の氷河特急の眺めは一面銀世界
冬の氷河特急の眺めは一面銀世界
今回(8月末)は一面の緑
今回(8月末)は一面の緑

今回のユーレイル・グローバル・パスですと、1等席に乗れます。が、ここは、せっかくの氷河特急なので「エクセレンスクラス」にランクアップ!なかなかない機会なので、お財布に余裕があればぜひエクセレンスクラスをおすすめします(日本でユーレイルパスを購入する際に、あらかじめ予約。420米ドル) 

エクセレンスクラスは1両のみ
エクセレンスクラスは1両のみ。ホームに赤じゅうたんが敷かれ、チェックインカウンターも設置されます。

エクセレンスクラスは専任のコンシェルジュが付き、ゆったり配置された快適なシートに座り、スイス料理のフルコースとお酒をサービスしてもらいながら絶景を眺められる特等席。今回のコンシェルジュ・スーザンが、チェックインカウンターで待ち受けていました。

では、エクセレンスクラスの車両の中をご紹介しましょう。1両に座席はわずか20席。モダンなホワイトレザー張りのシートで、向かい合わせのペアシートの中央にウッドテーブルがセットされています。突き当たりには、バーもあります。

車両に併設されているバー。木材を多用したなんとなく和風なテイスト
車両に併設されているバー。木材を多用したなんとなく和風なテイスト
バーの天井にあるコンパスは、列車の方向に合わせて動きます
バーの天井にあるコンパスは、列車の方向に合わせて動きます

この「グレッシャー・バー」ですが、どことなく和の雰囲気があります。それもそのはず、このバーの内装は、実は日本の箱根登山鉄道を参考にしているんだそうです。コンシェルジュのスーザンが教えてくれました。

実は箱根登山鉄道も、氷河特急を運行する現レーティッシュ鉄道を研究して誕生していて、1979年には箱根登山鉄道とレーティッシュ鉄道は姉妹鉄道の提携を結んでいるのだそうです。そんなこともあって、エクセレンスクラスを作る際に、日本が研究されていたんですね!

窓枠にはスイスの山々をモチーフにした装飾。トンネルに入ると光ります
窓枠にはスイスの山々をモチーフにした装飾。トンネルに入ると光ります
トンネルに入ったときの車内
トンネルに入ったときの車内

座席には一人1台ずつタブレットとヘッドホンが装備

氷河特急の説明やエクセレンスクラスのサービス、車内販売などが閲覧できるようになっている

座席には一人1台ずつタブレットとヘッドホンが装備されていて、ありがたいことに日本語で、氷河特急の説明やエクセレンスクラスのサービス、車内販売などが閲覧できるようになっていました。8時間の行程の地図を見ながら、絶景ポイントをチェックできるので、見逃す心配がありません。

標高差1499m、世界遺産をはじめとする絶景の数々

さまざまな絶景が待ち受ける氷河特急の行程で、世界的に有名なのが、アルブラ線にあるランドヴァッサー橋です。高さ65mに架かる長さ142mの石橋は1902年に建造されています。当時としてはとても高度な技術をもって造られました。アルブラ線は2008年に世界遺産に登録されています。

標高差1499m、世界遺産をはじめとする絶景の数々
ランドヴァッサー橋を渡る前は、その高さを目の当たりにでき圧巻です

スイスの伝統的な山岳風景や、のどかな村々

もちろん、スイスの伝統的な山岳風景や、のどかな村々、そして遠くに望むアルプスなど、美しい風景も次々登場します。「アルプスの少女ハイジ」に出てくるような山の急斜面に広がる牧歌的な風景はさらに美しく、目が離せません(編集部員はすっかり写真を撮るのを忘れて眺めていました)。

山の急斜面に広がる牧歌的な風景

「スイスのグランドキャニオン」とも呼ばれるライン峡谷

「スイスのグランドキャニオン」とも呼ばれるライン峡谷も見えてきます。約1万年前の氷河期に起きた大規模な山崩れから形成された光景です。ガラスのように透明な水の流れ、そそり立つ白い岩壁、パノラマウインドウだから、その壮大さがよくわかります。

氷河特急に寄り添うように流れる河川も青く美しい
氷河特急に寄り添うように流れる河川も青く美しい
ルートの高低差。車内で配られた氷河特急のパンフレットより
ルートの高低差。車内で配られた氷河特急のパンフレットより

路線の最高標高はオーバーアルプ峠の2033m(ここでいったん列車は停止し、車外に出ることができます)、最低標高は途中停車駅のクール駅の585m。この標高差を走り抜けるゆえに、異なる絶景が見られるのです。

絶景を見逃さず、上手に写真を撮るコツ

絶景を見逃さず、上手に写真を撮るコツ

ところで、氷河特急の絶景を写真に撮るにはちょっとしたコツがあると、氷河特急に何度も乗っている同行者に教わりました。それは、前日の、出発地・サンモリッツへ移動する列車で予行練習をすることです。

今回の旅ではドイツから列車でスイス入りしました。乗り換え駅のクールからサンモリッツへ向かう普通列車は、ランドヴァッサー橋など、氷河特急と一部同じ路線を使います。

氷河特急のエクセレンスクラスのパノラマウインドウは開閉ができない(※)ので、どうしても窓越しの写真を撮ることになります。しかしこの普通列車は自由席で車両の窓が開くので、空いていれば、絶景に合わせて左右の席を移動しながら写真を撮ることができます。

窓を開けて、スイスの景観を撮影!
窓を開けて、スイスの景観を撮影!
遠くに見えるランドヴァッサー橋。窓から少し身を乗り出してシャッターチャンスをねらいます
遠くに見えるランドヴァッサー橋。窓から少し身を乗り出してシャッターチャンスをねらいます
断崖絶壁のトンネルに入っていく!
断崖絶壁のトンネルに入っていく!

絶景・ランドヴァッサー橋は、氷河特急と進行方向が逆になりますが、こちらから見る方が断崖絶壁のランドヴァッサートンネルのワイルドさが際立って迫力があるように感じます。いずれにしても、別々の進行方向でランドヴァッサー橋を撮影できるのはうれしいポイントです。

こちらは氷河特急の窓越しに撮影したランドヴァッサー橋
こちらは氷河特急の窓越しに撮影したランドヴァッサー橋

※氷河特急のエクセレンスクラスは固定窓のため開かないので、窓越しに撮ることになると書きましたが、実は1か所だけ、窓が開く場所があります。それはデッキのドア窓。

デッキのドア窓を下げて開けます。背中を壁面に預け安定させてカシャッ!
デッキのドア窓を下げて開けます。背中を壁面に預け安定させてカシャッ!
こんなふうに撮れます
こんなふうに撮れます

最高の写真を撮るなら、ぜひこのデッキから! 左右に各1か所しかありませんから、譲り合いの精神で……。

エクセレンスクラスはお土産付き。下車時にグラスをもらいました。旅のいい思い出に
エクセレンスクラスはお土産付き。下車時にグラスをもらいました。旅のいい思い出に

 

次回は氷河特急エクセレンスクラスで出される、スイス料理のフルコースを紹介します。

取材・文=前田まき(ハルメクWEB編集部)

取材協力=スイス政府観光局ユーレイルパス

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HALMEK up編集部
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