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- フィレンツェからドイツへ行くなら、夜行列車が新鮮!
ヨーロッパ33か国間を自由自在に使える便利な鉄道チケット「ユーレイルパス」で、ゆったり世界遺産と絶景を巡る旅。ローマからフィレンツェへはデラックスな特急列車で、フィレンツェからドイツ・ミュンヘンへは夜行列車を乗り継ぎ、楽しみます。
イタリアの高速鉄道でスパークリングワインのサービスを堪能
ヨーロッパを列車で旅するときの頼れるチケットが、ユーレイルパス。さまざまな種類があり、旅の行き先や目的に合わせて組み合わせを選択できます。1か国で使えるものから複数国で使えるもの、有効期間は1~3か月、そのうち乗車使用日数は4日間~3か月間、席は1等席と2等席のどちらかなど。
今回、編集部員は「ユーレイル・グローバル・パス」(1等席、使用日数10日間、有効期間2か月間で、使用開始日から2か月以内なら、連続して使っても断続的に使ってもかまわない)を使って、イタリア、ドイツ、スイス、フランスの世界遺産と絶景を巡る列車の旅に参加しました(2019年8月~9月)。
イタリアの古都ローマで世界遺産を巡った後、ローマ・テルミニ駅からフィレンツェへ向かいます。高速鉄道フレッチャロッサで約1時間半。1等席用のユーレイルパスを使いつつ、せっかくなのでちょっとお金を上乗せしてビジネスクラスに乗車しました。ゆったりとしたハイグレードなシートが並ぶ車内は、列車とは思えない快適なつくりです。
途中、ハンサムな車掌が車内サービス(無料)にやってきて、ペットボトルのミネラルウォーターと、うれしいことに、スパークリングワインとおつまみも配ってくれました!(モデルかと思うようなイケメン車掌さんだったので写真をお願いしたのですが断られました)。外の風景は、石造りの街並みから緑の大地が広がる郊外へと移ります。
夕闇のフィレンツェで、世界遺産の街と食を満喫
約1時間半でフィレンツェに到着。世界遺産のフィレンツェ歴史地区のシンボルといえばサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂です。昼も素晴らしいですが、夜のライトアップされた大聖堂もひときわ華麗です。通りにはギターやヴァイオリンを演奏する人々も現れて、レストランのテラス席は特等席に早変わりします。通りに響くロマンチックなセレナーデを聞きながら、しばし散歩を楽しみました。
夜行列車で国境を超える、それは新鮮な体験
街に泊まって翌朝出発するというのが王道でしょうが、そこは「列車の旅」です。「夜行列車」を選択します!(旅に出る前に、事前に寝台座席分の予約が必要)。寝ながらにして次の目的地に着ける時短がかなう上に、編集部員は生涯初めての夜行列車体験です。もうワクワクが止まりません!
オーストリア鉄道が運航する「ナイトジェット」で、イタリアからドイツのミュンヘンへ向かいます。ナイトジェットは寝台のないボックスシートと、寝台付きの相部屋タイプと個室タイプがあります。
編集部員はスタンダードな個室タイプ(2段ベッドの2人室、1人74ユーロ)を同行者と利用しました。コンパクトな鏡付き洗面台も付いていて、化粧を落とす、簡単に洗顔する、歯を磨く、にはちょうどいい感じです。
サービスの白ワインを寝酒に、いざ寝るが……
乗車するとすぐに、ニコニコと愛想のいい車掌が、冷えた白ワインのボトルを持ってきてくれました(素敵!)。ついでに、翌日の朝食(有料、5ユーロ程度)の注文を取って去っていきました。
乗車したのが23時近くだったので、顔を洗って着替えて、ベッドで寝酒の白ワインを飲みながらひと息つきます。心地よい揺れが、酔いを加速させて最高。よし、寝よう!
列車好きの同行者に言わせれば、夜行列車の走行音こそが「子守歌」なのだそうです。「あ、今、他の列車とすれ違ったな」と感じたりすることも、夜行列車の良さだとか。
ですが、夜行列車が初めての編集部員は、列車の揺れはほとんど気にならないものの、走行音には慣れることができず、結局しばらくして耳栓をしました(その後は熟睡)。いつかは耳栓なしで、夜行列車の醍醐味を味わい尽くしてみたいものです……。
朝の6時頃、時計のアラームで目を覚ましました。夜明けの景色が見たかったので、早めに時計をセットしておいたのです。客室を出て車両の通路から美しい明け空を見ます。流れていく風景と朝焼け。夜行列車、いいなあ!
まもなくオーストリアのザルツブルク駅に到着。と、突然、銃をかついだ警察官が2人乗り込んできました(なんだなんだ!)。一つ一つドアをノックしてパスポートをチェックしていきます(あたふた、うろうろ……)。でもなぜでしょう、編集部員にはまったく目もくれず、パスポートも確認せずに行ってしまいました。銃を見ておびえた私の顔を見て、問題ないな、と思われたのかもしれません。
夜行列車に乗ったら、シャワー室を使うべし
ちょっとびっくりしましたが、警察官が去って再び夜行列車は出発しました。そこへ、別の客室に泊まっていた同行者が起きてきて言いました。「シャワー浴びてみました?」
シャワーがあるのか! それは試しておかないと。車両の端にある共用シャワーブースは、電話ボックスくらいのシャワー室と、その倍くらいの広さのトイレ付き洗面所がついていて、内側から鍵が掛けられるようになっています。空いていれば誰でも利用できます。
早速使ってみました。熱いお湯がたっぷり出るシャワーで、旅の疲れが取れ、しゃっきり目が覚めました。これは絶対入るべき、夜行列車の旅がいっそう快適になりますから。
朝日がだいぶ昇った7時頃、朝食が運ばれてきました。下段のベッドを持ち上げてたたんで座席を出し、車窓を眺めながらいただきます。熱いコーヒーとパン、チーズ、それにヨーグルトといった簡単な朝食ですが、窓の外には、緑のじゅうたん。なんだか極上の朝食をいただいている気分でした。
まもなくドイツ・ミュンヘンに到着です。次回は、ドイツ・フュッセンの絶景を訪ねて、その後スイスへ向かいます。
取材・文・撮影=前田まき(ハルメクWEB編集部)※この記事の取材は、2019年に行いました
■関連サイト■
ユーレイルパス(日本語サイト) https://www.eurail.com/ja
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