遺言・お金・家…もめない!「相続」の基本#2
1年以内が勝負!「相続の流れ」と必要な手続き
1年以内が勝負!「相続の流れ」と必要な手続き
公開日:2023年08月03日
教えてくれたのは、お金と相続問題の2人のプロ!
平田久美子(ひらた・くみこ)さん
平田久美子税理士事務所代表、税理士、行政書士、CFP、1級FP技能士。相続税の申告や、相談に多数の実績がある。著書に『老老相続 弁護士と税理士が伝えたい法務と税務』(清文社刊)、『相続税相談所』(中央経済社刊)など。
野谷邦宏(のや・くにひろ)さん
相続士・遺品整理士。一般社団法人しあわせほうむネットワーク代表・司法書士法人リーガルサービス代表。司法書士、行政書士、1級FP技能士。著書に『まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド』(クロスメディア・パブリッシング〈インプレス〉刊)など。
やることが山積みの1年間!相続の流れを知ろう
「身内が亡くなったら、葬儀の手配はもちろん、保険、年金の手続き、各種名義変更や解約などしなければならないことがたくさんあります」と話すのは、相続士・遺品整理士の野谷邦宏さん。一方で進めなければいけないのが相続の手続きです。

税理士の平田久美子さんも、「相続の手続きについては、亡くなった後の3か月と10か月に大きな山があります。遺された家族は悲しむ間もなく相談し、決断しなければなりません」と言います。
そこで、まずは相続の流れと、家族がなくなって1年以内にやるべきことを見てみましょう。
3か月と10か月が大きな山!やるべきこととは?
●3か月以内にやるべきこと
【遺言書の確認】
遺言書の有無は重要です。自宅、公証役場、法務局で探します。自筆の場合は開封せず、家庭裁判所で検認が必要です。
【相続人の確認】
遺産分割協議は相続人全員の承諾・署名が必要なため、故人の戸籍謄本から血縁関係を調べ、相続人の範囲を確認します。
※法定相続人の範囲や順位はこちらで解説しています
【相続財産の把握】
預金や不動産、車、高級腕時計などプラスのものや、借金や未納の税金などマイナスの財産も相続で承継されます。
※事前に把握すべき財産についてはこちらで解説しています
【相続放棄と限定承認】
債務が多い場合は、相続放棄や限定承認(プラスの財産の範囲内で債務を負担する方法)の選択も可能です。
【遺産分割協議】
遺言書があれば原則として遺言書に従い、なければ相続人全員で遺産の分け方を相談します。遺産分割協議は相続人全員の合意がないと成立しません。

●10か月以内にやるべきこと
【相続財産の登記・名義変更】
遺言で法定相続分を超える分は早めに登記をしないと他者の法定相続分を第三者に譲渡されてしまうこともあるので注意。
※2024年4月1日から相続登記が義務となります。
【相続税の計算】
相続税は遺産が基礎控除を超えなければ発生しません。また各種の特例もありますので、確認しておきましょう。
※相続税の計算についてはこちらで解説しています⇒
【相続税の申告・納付】
小規模宅地等の特例を使った場合、相続税が発生しなくても10か月以内に申告しなければなりません。納付も同様です。
●1年以内にやるべきこと
【遺留分侵害額請求】
遺言があっても、最低限受け取れる相続分を遺留分といいます。遺留分に満たない場合、その額を請求できます。
遺言があればトラブルを減らせます

家族が亡くなって1年以内にやることはたくさんあり、中には難しい言葉が並んでいますが、平田さんと野谷さんが声を揃えて大事なことに挙げるのが、遺言を残すこと。
「財産が多い少ない、家族仲がいい悪いにかかわらず、作成をすすめます」(平田さん)
遺言がない場合は、相続人全員の同意が得られるまで協議しなければなりません。
「連絡のつかない相続人がいたり、後から知らない財産が出てきたりすると、協議がまとまらず大変です。生前から財産リストや、相続人全員の戸籍謄本等を確認しておくのも大切です」(野谷さん)
遺言通りの相続の後で注意することは
とはいえ、遺言があればすべて安心ではありません。もめないポイントとして野谷さんが挙げるのが、相続財産の登記を早めにすること。
「遺言で家を全部もらえるはずが、他の法定相続人が先に登記を行い、事情を知らない第三者に譲渡し、登記をされてしまうと、法定相続分を超える分は、対抗することができなくなってしまうので要注意。また、2024年の4月1日からは相続登記が義務となりますので該当する場合は確認を」(野谷さん)
逆に1円も相続できない遺言でも兄弟姉妹を除く法定相続人は1年以内であれば「遺留分侵害額請求」できます。

そこで次回は「遺言」について事前に知っておきたいこと、具体的に備えるべきことを解説します。
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年8月号を再編集、掲載しています。
取材・文=原田浩二(編集部)
■遺言・お金・家…もめない!「相続」の基本■
【第1回】相続=他人事じゃない!財産が少ない人こそ準備が大切
【第2回】知っておきたい「相続の流れ」と必要な手続き
【第3回】「遺言」は遺された人の“幸せ”のために作るもの
【第4回】相続=争族にしない!遺る「お金」の把握が大事!
【第5回】売れる?売れない?どうする「家」問題




