遺言・お金・家…もめない!「相続」の基本#1

相続=他人事じゃない!財産が少ない人こそ準備が大切

公開日:2023.08.03

自分もしくは大切な人が亡くなったとき、家族は悲しむ間もなく遺されたお金や家の対応に追われます。そのとき少しでも家族の困り事が減るように、知っておきたい知識と今からできる準備について、お金と相続問題の専門家に5回にわたって聞きました。

教えてくれたのは、お金と相続問題の2人のプロ!

平田久美子(ひらた・くみこ)さん

平田久美子税理士事務所代表、税理士、行政書士、CFP、1級FP技能士。相続税の申告や、相談に多数の実績がある。著書に『老老相続 弁護士と税理士が伝えたい法務と税務』(清文社刊)、『相続税相談所』(中央経済社刊)など。

野谷邦宏(のや・くにひろ)さん

相続士・遺品整理士。一般社団法人しあわせほうむネットワーク代表・司法書士法人リーガルサービス代表。司法書士、行政書士、1級FP技能士。著書に『まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド』(クロスメディア・パブリッシング〈インプレス〉刊)など。

遺産分割事件の3分の1は1000万円以下世帯!

「身近な方との別れという人生で一番大きな出来事をどう捉えるのかは、その方の人生とご自身のその後の生き方をどのように捉えるかということだと思います」と話すのは、相続に関するさまざまなアドバイスに携わっている相続士・遺品整理士の野谷邦宏さん。

「普通の家族が相続をきっかけに不仲になり、揚げ句はバラバラになってしまうこともよくあります。とても悲しいことです」(野谷さん)

遺産分割事件の3分の1は1000万円以下世帯!

「うちはお金持ちでもないし、家族の仲もいいから相続の心配なんてしなくて大丈夫」と思われている方こそ要注意。下のグラフは家庭裁判所で遺産分割事件として取り扱われた遺産額別の件数です。遺産総額が1000万円以下のものが全体の3分の1、5000万円以下になると全体の4分3以上となっています。

遺産分割事件 相続額別件数と割合

遺産分割事件の4分の3は以上は5000万円以下世帯

1000万円以下   2279件    32.9%
5000万円以下  3037件  43.8%
1億円以下   864件    12.5%
5億円以下        493件      7.1%
5億円を超える     28件      0.4%
不明                    233件     3.3%


「財産が多い方は、弁護士や税理士に相談していて、早めの対策をしていますが、そうでない方が、誰にも相談できずに、こじれて家族間で裁判になることがよくあるのです」と言うのは、税理士の平田久美子さん。

そこで、相続でよく聞く「困ったあるある」を見てみましょう。

明日は我が身?相続「困ったあるある」

相続でよくある困り事の4つの事例を紹介します。それぞれ一体どんな準備が必要だったのか、あわせて見てみましょう。

事例1:仲がいいと思っていた兄弟が遺産2000万円の分配で争いに

A男さんの遺産は2000万円相当の自宅と預金2000万円。A男さんの妻は、自分は家を相続し、息子2人には現金1000万円ずつと考えていました。しかし、かつて長男のマンション購入を援助していたことから次男は不公平と反発、争いが泥沼化。

このケースの場合、家族が亡くなってからやるべきことをあらかじめ知っておくことが大切です。まずは「相続の流れ」を把握しておきましょう。

仲がいいと思っていた兄弟が遺産2000万円の分配で争いに

事例2:財産が不動産ばかりで評価や分配が大変

遺言に「すべての財産を妻に相続させる」と記して亡くなったC男さん。不満を抱く子どもたちが、遺留分を請求することに。しかし財産は不動産のみで預金はゼロ。家を売ってお金の分配を迫る子と母とで争いに。

このケースでは「遺言」についての理解と準備が必須です。自分や家族が元気なうちにどう備えればよいのか知っておきましょう。

事例3:預金が300万円のはずが、妻の名義に5000万円あり相続対象に

賞与などを専業主婦の妻名義の口座に移していたB男さん。亡くなったとき本人名義の預金は300万円でしたが、妻の口座には5000万円以上たまっていました。結局、すべて夫の財産とみなされ相続税の対象に……。

このケースの場合は、「手持ちの財産=お金」をリストアップしておくことが重要です。事前にリストアップしておくべき財産にはどのようなものがあるのか見てみましょう。 

事例4:田舎の山の中にある実家。行けないし、維持費もかかる……

事例4:田舎の山の中にある実家。行けないし、維持費もかかる……

地方都市で一人暮らしをしていた母が亡くなり、実家が空き家に。東京から月1~2回管理に通うのは負担だが、母が大事にしていた家なので処分してしまうのも忍びなく、どうしたらいいのか……。

このケースでは、「不動産=家」を相続した際に確認しておくべきことや、事前の対策を知っておくとよいでしょう。

次回からは、上記に挙げた「相続の流れ」「遺言」「お金」「」の4つの分野について、それぞれ必要な準備や対策を紹介していきます。

※この記事は雑誌「ハルメク」2021年8月号を再編集、掲載しています。

取材・文=原田浩二(編集部)


■遺言・お金・家…もめない!「相続」の基本■
【第1回】相続=他人事じゃない!財産が少ない人こそ準備が大切
【第2回】知っておきたい「相続の流れ」と必要な手続き
【第3回】「遺言」は遺された人の“幸せ”のために作るもの
【第4回】相続=争族にしない!遺る「お金」の把握が大事!
【第5回】売れる?売れない?どうする「家」問題

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