遺言・お金・家…もめない!「相続」の基本#5

住まない実家を相続したら…空き家で確認すべき6項目

住まない実家を相続したら…空き家で確認すべき6項目

公開日:2023年08月03日

住まない実家を相続したら…空き家で確認すべき6項目

相続にまつわる困り事について、知っておきたい知識と今からできる準備をお金と相続問題の専門家に聞く最終回。今回は相続時に分けづらく、時には負の遺産にもなりえる「家」の相続対策について聞きました。

教えてくれたのは、お金と相続問題の2人のプロ!

平田久美子(ひらた・くみこ)さん

平田久美子税理士事務所代表、税理士、行政書士、CFP、1級FP技能士。相続税の申告や、相談に多数の実績がある。著書に『老老相続 弁護士と税理士が伝えたい法務と税務』(清文社刊)、『相続税相談所』(中央経済社刊)など。

野谷邦宏(のや・くにひろ)さん

相続士・遺品整理士。一般社団法人しあわせほうむネットワーク代表・司法書士法人リーガルサービス代表。司法書士、行政書士、1級FP技能士。著書に『まるわかり! もしもの時の手続き・相続 完全ガイド』(クロスメディア・パブリッシング〈インプレス〉刊)など。

売る・利用する・寄付する…空き家は早めに対策を!

不動産を相続した場合、固定資産税や管理が負担になり、処分はしたくても特別な思い入れがあって踏み切れないといったケースは増えています。

売る・利用する・寄付する…空き家は早めに対策を!

「資産としては価値がないため、売りたくても売れない、リフォームして賃貸にしたくても、魅力的な場所ではないといった理由で空き家として放置されてしまうこともあります」と話すのは、相続士・遺品整理士の野谷邦宏さん。

その際は「ある程度、合理的に第三者的な専門家の意見を入れて、早期に売却、承継、賃貸など明確な方向性を見出した方がいいです」と言います。次の6つの項目を調べた上で、方針を決めるのがいいでしょう。

空き家で確認しておくべきこと6つ!

 

▢名義は?
▢境界は明確?
▢建物の価値は?
▢土地の価値は?
▢相続税の対象?
▢固定資産税など維持費は?

売るのか、利用法を考えるのか、寄付するのか、現状を把握することが大事です。価値はどうなのか、相続税がかかるのか、その他税金や維持費はどれくらいかかるのかなど条件を洗い出しましょう。

増え続ける空き家問題! 特別控除がある場合も

使用目的が定まっていない空き家は全国で約350万戸(総務省統計:2018年10月1日時点)。税理士の平田久美子さんいわく、「少子化・核家族化で空き家は増える一方。傷みが激しく、倒壊の恐れや景観上の問題、放火や不法侵入の温床になるなど、社会的に大きな問題となっています」

増え続ける空き家問題! 特別控除がある場合も

2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたことで、積極的に取り組む自治体も増えていますが、「空き家の処分を何度警告されても無視し続けた場合、行政が解体業者を手配して、取り壊してしまい、その費用が所有者に請求される場合もあります」(野谷さん)

一方、「被相続人が一人で住んでいた空き家を相続し、売却した場合、一定の条件を満たすと譲渡所得で3000万円まで特別控除が受けられます」と平田さん。更地にして活用する、売却する、寄付するといった方法も検討してみてください。

空き家は自治体が強制的に処分できるようになる?

「特定空家等」に認定され、所有者は行政から指導を受けたにもかかわらず改善されていないと勧告を受けることがあります。

「特定空家等」とは?

人が住んでいないことが常態となっている建物土地
倒壊などの危険の恐れがある、衛生上の害があるおそれがある、著しく景観を損なっている、周辺の生活環境の保全のために放置が不適切、などの状態の建物土地と規定されています。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部を改正する法律で指導・勧告の対象に

2023年6月14日に公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部を改正する法律によると、特定空家等に対しては、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言または指導、勧告、命令が可能。さらに、要件が明確化された行政代執行法の定めにより強制執行が可能となっています。また、管理不全空家に対しても特定空家化を未然に防止するために指導・勧告がされることになりました。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部を改正する法律で指導・勧告の対象に

空き家で困ったときの相談はここへ

●所在地の自治体の空き家バンク
空き家情報を自治体のWebサイトなどで提供する仕組み。すべての自治体で行われているわけではないので所在地に問い合わせを。

●空き家専門業者
民間で空き家を取り扱っている業者もありますが、企業は利潤追求が目的なので、双方の得になるよう見極めが大切です。

NPO法人 空家・空地管理センター
各自治体と連携し、相談事業を展開。
電話:0120-336-366


全5回にわたり解説してきた相続の基本。まだ考えたくない人も多いかもしれませんが、もしもの時が訪れて慌てないよう、今できることから準備してみては? ちょうどお盆や夏休みの帰省で集まる機会にでも、家族で話し合ってみるのもよいかもしれませんね。

※この記事は雑誌「ハルメク」2021年8月号を再編集、掲載しています。

取材・文=原田浩二(編集部)


■遺言・お金・家…もめない!「相続」の基本■
【第1回】相続=他人事じゃない!財産が少ない人こそ準備が大切
【第2回】知っておきたい「相続の流れ」と必要な手続き
【第3回】「遺言」は遺された人の“幸せ”のために作るもの
【第4回】相続=争族にしない!遺る「お金」の把握が大事!
【第5回】売れる?売れない?どうする「家」問題

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