おひとり様の終活~自分らしく、凛と生きるための準備
おひとり様の終活~自分らしく、凛と生きるための準備
公開日:2026年04月10日
吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。
「おひとり様の終活って、何から始めればいいんでしょう?」
セミナーの場で、この質問を受けることが増えています。離婚、死別、そもそも結婚を選ばなかった——おひとり様になった経緯はさまざまでも、「もしものとき、誰に頼ればいいのか」という問いを胸に抱えている方は、今、とても多いと感じています。
実はいま、日本はかつてないほど「おひとり様社会」へと変化しています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2020年に672万人だった一人暮らしの高齢者は、2040年には896万人に増加する見通しです。さらに2050年には、全世帯のうち単独世帯の割合が44.3%にのぼると予測されています。
おひとり様の終活は、特別な話ではありません。これからの時代を生きる多くの人に共通する、大切なテーマなのです。
おひとり様終活の核心は「つながり」を整えること
終活というと、お金や財産の整理、葬儀の手配を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろんそれも大切です。でも私が長年のセミナー活動を通じて感じているのは、おひとり様終活において最も重要なのは「人とのつながりを整えること」だということです。
警察庁が2025年に公表したデータによると、2024年に一人暮らしの自宅で亡くなった方は全国で約7万6000千人。そのうち65歳以上が76%、約5万8000人を占めています。また、死後8日以上経過して発見されたケースは2万1000人以上にのぼりました。
この数字を見て、暗い気持ちになった方もいるかもしれません。でも私がこのデータをお伝えするのは、怖がらせるためではありません。「だからこそ、今から備えることができる」と知っていただきたいからです。
誰かに定期的に様子を見てもらえる関係があるだけで、状況は大きく変わります。ご近所との日常的な挨拶、民生委員との接点、かかりつけ医との信頼関係。こうした「小さなつながり」の積み重ねが、いざというときの安心を生みます。
今すぐ確認したい「4つの備え」
おひとり様終活には、家族がいる方とは少し異なる備えが必要です。私がセミナーで必ずお伝えしている4つのポイントをご紹介します。
緊急連絡先と、頼れる人を決める
もしものときに連絡してほしい人、入院や手術の際に同意書へ署名してくれる人を、あらかじめ決めておくことが必要です。家族がいない場合は、友人や親族のほか、弁護士・司法書士などの専門家と「任意後見契約」を結んでおくことも選択肢の一つです。
「迷惑をかけたくない」という気持ちはよくわかります。でも事前に頼める人を決めておくことこそが、相手への最大の配慮になります。
財産と情報を「見える化」する
銀行口座、保険証券、年金の情報、不動産の書類——これらがどこにあるかを、信頼できる人が把握できる状態にしておくことが大切です。
特に近年、問題になっているのが「デジタル遺品」です。スマートフォンやパソコンのパスワード、ネット銀行のIDが整理されていないと、亡くなった後に関係者が非常に困ることになります。エンディングノートに一覧としてまとめておくだけで、大きな違いが生まれます。
医療と介護の希望を書き残す
「もし意識がなくなったとき、延命治療を望むか」「介護が必要になったとき、自宅にいたいか、施設に入りたいか」——こうした選択は、誰かに決めてもらうものではなく、自分の意思として伝えておくものです。
「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」とも呼ばれるこの取り組みは、今、医療・介護の現場でも重視されています。元気なうちに考え、書いておくことで、あなたの尊厳が守られます。
葬儀とお墓の方針を決めておく
「誰が喪主を務めるのか」「お墓はどうするか」——おひとり様にとって、これは特に切実なテーマです。近年、葬儀社との「生前契約」や、お寺が永代にわたって供養してくれる「永代供養墓」を選ぶ方が増えています。散骨や樹木葬など、従来のお墓にとらわれない選択肢も広がっています。
大切なのは「決めておくこと」。誰かに委ねるのではなく、自分で選ぶことが、おひとり様終活の醍醐味でもあります。
終活は「孤独」ではなく「自由」の象徴
おひとり様終活についてお話しすると、「やっぱり寂しいですね」とおっしゃる方がいます。でも私は、少し違う見方をしています。
家族に気を遣わず、自分の意思だけで選択できるおひとり様終活は、ある意味でとても「自由」な終活です。誰かの顔色を伺わず、自分が望む最期の形を描ける。それは贅沢なことでもあると、私は思っています。
楽天インサイトの調査では、終活をしたい理由の第1位が「家族に迷惑をかけたくないから」(60.2%)でした。おひとり様の場合、迷惑をかけたい相手すら決まっていないことが不安の根源になりがちですが、だからこそ「自分でしっかり決めておく」ことが、まわりへの最大の思いやりになります。
ハルメク生きかた上手研究所の2025年調査(※1)では、終活をすでに始めている人の幸福度は6.48点と、全体平均の6.03点を上回っています。備えることは、不安を増やすのではなく、今日を軽やかにしてくれる。この事実は、おひとり様にこそ、ぜひ知っていただきたいと思います。
(※1)「終活意識の実態調査」全国40~79歳男女2688人へのWEBアンケート。幸福度は10点満点で評価。
今日から始める、おひとり様終活の一歩
難しく考えなくて大丈夫です。まずはこの3つだけ、試してみてください。
- エンディングノートに「緊急連絡先」を1人書く。
- 財産・保険・口座の一覧を1枚の紙にまとめる。
- かかりつけ医か地域の相談窓口に、自分の状況を一度話してみる。
たった一歩が、あなたの未来を大きく変えます。
おひとり様の終活は、孤独なものではありません。自分自身と丁寧に向き合い、自分らしい人生の続きを描いていく、凛とした営みです。あなたの毎日が、今日よりも少し軽く、穏やかで、自分らしくありますように。
吉原友美の活動やセミナー情報は、
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終活を通して“心の整理”を始めるヒントが、きっと見つかります。
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