「なんだかちょっとおかしい?」を見逃さない! 認知症グレーゾーン診断

「なんだかちょっとおかしい?」を見逃さない! 認知症グレーゾーン診断

更新日:2025年06月11日

公開日:2025年02月13日

「なんだかちょっとおかしい?」を見逃さない! 認知症グレーゾーン診断

認知症予備軍である認知症グレーゾーンでは早めの対策が肝心です。その警告サインを見逃さないために、チェックリストにトライしてみましょう。自分はもちろん、家族のチェックにも役立ちます。

教えてくれた人:朝田隆(あさだ・たかし)さん

教えてくれた人:朝田隆(あさだ・たかし)さん

1955(昭和30)年生まれ。82年東京医科歯科大学医学部卒業。東京医科歯科大学神経科精神科、山梨医科大学精神神経医学講座、国立精神・神経センター武蔵野病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)などを経て、2001年より筑波大学教授。15年より筑波大学名誉教授、メモリークリニックお茶の水院長。20年より東京医科歯科大学客員教授。最新刊は『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』(アスコム刊)

これからの自分のために。
「健康」に備える情報をまとめてチェック

あなたは大丈夫?認知症グレーゾーン・チェックリスト

□ものの名前が出てこない。「あれ」「これ」を多用する
□置き忘れやしまい忘れが目立つようになった
□約束の日時を忘れる
□料理・片付けなどの段取りが悪くなった
□ガス・水道の止め忘れ、電気の消し忘れが目立つようになった
□時間を過度に気にして、予定時間の前に行動を開始する
□曜日や日にちがわからない
□日課や習慣にしていたことをしなくなった
□以前からの趣味に興味を持たなくなった
□以前より怒りっぽく、頑固になった
□最近の物事を思い出せない
□同じものばかり重複して購入する

あてはまる項目が3つ以上あれば、認知症グレーゾーンの警告サインです。

本人でも家族でもチェックすることができますが、「本人だと自分に甘く、息子や娘など家族だと厳しくチェックする傾向がある」と朝田さんは言います。

「なんだか面倒くさい」を見過ごすと認知症へと進行

「認知症は、ややもすれば記憶力が低下する『知』の病気だと思われがちですが、実際には記憶力よりも先に意欲の低下が起こります。つまり認知症の始まりは『意』の病気といえるのです」と朝田さん。

下の図にあるように、私たちのおでこの内側に位置する前頭葉は、「脳の司令塔」とも呼ばれ、意欲や思考、判断などをつかさどっています。認知症グレーゾーンになると、この前頭葉の働きが衰えることが知られています。

「身なりに気を配らなくなったり、長年楽しんできた趣味をやめてしまったり、何をするのも『面倒くさい』と思うようになったら要注意。『面倒くさい』という感覚は軽んじられがちですが、認知症グレーゾーンの入り口なのです」

「面倒くさい」は〇〇の機能低下が原因です

「なんだか面倒くさい」を見過ごすと認知症へと進行

【前頭葉(ぜんとうよう)】
ものを考えたり(思考)、がんばろうと思ったり(意欲)、次はこれをしようと決めたり(計画・判断)できるのは前頭葉の働きによります。この働きが低下すると何をするのも面倒くさくなり、今まで当たり前にできていたことができなくなります。


【海馬(かいば)】
「面倒くさい」をそのままにしていると、やがて記憶を管理している海馬が縮み始めます。すると「記憶の低下」が急速に進み、同時に不安やうつなどの症状が現れ始め、対策しなければ認知症へと進行していきます。

これからの自分のために。
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いくつになっても生きがいを持つ

「面倒くさい」のサインを見過ごしてしまうと、やがて、脳の中で記憶を管理している「海馬」の萎縮が進み、記憶力の低下を招きます。同時に、怒りっぽくなったり、不安感が強くなったりする「感情」の衰えも始まるのだそう。

「多くの人は年を取ると行動範囲や交友関係などを縮め、人生を縮小していく傾向があります。それが悪いとは言いませんが、健常な脳を保つには、いくつになっても生きがいを持ち、承認欲求を満たすことも大事です」と朝田さん。

次回は、意欲や感情の衰えを防ぎ、将来の認知症を予防する8つの習慣を紹介します。
 

取材・文=五十嵐香奈、大門恵子(ともにハルメク編集部)、イラストレーション=ねもときょうこ

※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年6月号を再編集しています

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雑誌「ハルメク」
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みんなのコメント
  1. まあぽん
    まあぽん

    車を運転していて目的地を忘れてしまったり、慣れた道を走って見慣れた景色なのに方向がわからなくなってしまう事があります。なかなか思う所へ辿り着けない不安は大きかった。良く物を失くす。置いた場所を忘れて探しまわる。かなり心配な64歳です。