「雇われるしかない」と思ってた。50代主婦の視野を広げた働き方の本3選
「雇われるしかない」と思ってた。50代主婦の視野を広げた働き方の本3選
公開日:2026年03月20日
自分の力で生きるという選択『カフェーの帰り道』嶋津輝・著

評価される側ではなく、「自分の力で生きる」という選択肢を教えてくれた一冊。
なんて読み心地のいい本なんだろう。
大正から昭和にかけて、東京・上野のカフェーで女給として働いた女性たちの人生を描いた、直木賞受賞作。もっともっと彼女たちの人生を追いかけたくなり、読み終わるのがもったいなく感じました。
当時の女給は、容姿や会話力が評価され、人気が出れば人生が変わることもある仕事でした。その一方で、若さや見た目で値踏みされ、ちやほやされたり揶揄されたりする厳しさも背負っていたのだと思います。
そんな中で、周囲の評価に振り回されず、自分の力で生きていきたいと願い、勉強し努力を続ける女性の姿が、今の私たち50代の心にも強く残ります。
そして何より、この本の魅力は、上品で美しい言葉遣い。こんな言葉を使えるような女性になりたいと、辞書を引きながら読みました。
「それまでの華やかな仕事を捨て、質素ながら堅実な暮らしを母上が選んだのは、私のために他ならないと手前勝手に信じております。女手ひとつで自分の店を構えた母上を、私は心より尊敬しております。」――引用
この一節は、息子が女給をしてきた母親を思って書いた手紙。最愛の息子が母の生き方を肯定してくれたことに胸が一杯になります。人生後半戦は息子と落ち着いて静かに暮らしたいという小さな幸せが叶いますようにと、と祈るような気持ちで読みました。
いつの時代も、私たちはそれぞれの場所で懸命に生きている。ずっと変わらない私たちの心の声を書いてくれて、ありがとう。そんな読後感で胸がいっぱいになる一冊です。
普通の人の情報には価値がある『発信をお金にかえる勇気』末吉宏臣・著

「好きを発信して仕事にする」
そんな言葉をSNSで見かけるたび、「発信できるネタがある、すごい人はいいなあ」そう思っていました。
「好きを発信して」と言われても、いったい何を書けばいいんだろう。この本は、そんな5年前の私の心の声を、そのまま代弁してくれたような一冊です。
でも、そのまま何もしなければ、やっぱり人生は変わらない。
あのときSNSアプリをダウンロードしたことが、私の人生を少しずつ動かし始めました。だからこそ、この本は「発信を始めるきっかけ」として、今も大切な存在です。
著者が最初に選んだのはnote。けれど、発信内容もプラットフォームも、何でもいいと書かれています。
「本当に、発信するだけでいい?」「どうせ誰も見てくれないんじゃない?」
最初は、きっとそう。それでも、発信をためらっていたら、いつまでたっても人生は変わらない。
すごい書評家のおすすめ本より、ママ友の「これ、よかったよ」に心が動くように、普通の人の情報こそ、実はとても身近で価値があるのだと、何度も励ましてくれます。
SNSは見る専門。発信は特別な人がするもの。そんなふうに思いながら、「副業」「50代」と検索してしまう方に、そっと差し出したくなる一冊です。
月収はいくらあったら幸せ?『月収』原田ひ香・著

「月にいくらあったら幸せですか?」そんな問いから始まるこの小説。
冒頭の「今、頭の中にある悩みは、お金があったらほとんど解決するのに」という一文に、かつての自分を思い出し、少し苦笑いしながら読み始めました。
本書では、月収4万円の66歳から、月収100万円を稼ぐ26歳まで、6人の女性の月収と幸福度が描かれています。遺産と株で月収300万円、働かずに暮らす52歳の未亡人は、誰もがうらやむ存在。けれど、彼女は決して幸せそうではありません。
月収はいくらあったら幸せなのか。そして、お金があれば、人生は本当に満たされるのか。
私が強く惹かれたのは、月収17万円・22歳のパートの女性が、自分の会社を立ち上げていく生き方でした。やさしいイラストとともに、「お金とは?」「幸せとは?」を静かに問いかけてくれる一冊です。
ぜひ、どの生き方に自分の心が動くのか、味わいながら読んでみてください。
「お給料が上がればいいな」
働き方を考えたとき、長いあいだ私の頭にあったのは、雇われて働くという選択肢だけでした。けれど本を通して、自分の経験や好きなことを価値にして働く人たちの存在を知りました。
すぐに何かを始めなくてもいい。ただ、「こんな仕事や働き方もあるんだ」と視野が少し広がるだけで、これからの選択肢は、きっと変わっていきます。
今回紹介した3冊が、その小さなきっかけになればうれしいです。




