災い転じて福にする!生き方のヒント#2
横森美奈子さん「がんで高まった終活と片付けの意識」
横森美奈子さん「がんで高まった終活と片付けの意識」
更新日:2023年02月10日
公開日:2022年02月10日
闘病生活、3か月の休業期間に片付け熱が高まった
「今回がんになったことでも、片付けの基準が一段階上がって、思い切りがつきやすくなりました」
そう振り返る、横森さん。横森さんは、2020年の7月に乳がんのステージ1~2と診断されてから闘病生活がスタートし、全摘手術を経て、今は仕事にも復帰しています。
「どうやって死にたいか、なんておしゃべりを友人ともするじゃないですか。コロっと死にたいとか、突然死がいいと言う人も多いですよね。でも私は、痛くないがんだったらいいなと前々から思ってたんです、何も心の準備のないまま逝くのは嫌だなと。身辺整理のためにも1年は欲しいですね。もともと物に執着はないですし、5年に1度は引っ越しをしていたのであまり物は持たないタイプですが、年齢的にも病気の面でも、いつどうなるかわからないことを前提に生前整理はしておかないと、と改めて思いましたね」
抗がん剤治療に専念するため、2020年から2021年にかけての冬の3か月間を「冬眠期間」と呼び、「初めて、そんなに長く仕事を休業をした」と話す横森さん。 その期間に、積極的に片付けに取り組んで、いろいろな物を手放したと話します。
「私自身、デザイナーという職業柄、物や洋服は死蔵するよりも、誰かに使ってもらった方が物の使命をまっとうできていいと思っています。なので使わないものや手に余るものは、どんどん手放しました」
横森さんが闘病を機に手放したもの
- 本
デザインやアートの本は後輩などに送って、本棚の半分に収まるように減らしました。
- 洋服
闘病で痩せてサイズダウン。イメージも変わって似合わなくなったため、クローゼットの3分の2は友人や親戚に送って処分しました。
- 着物
コロナ禍で着物を着る機会も少ない中、家族も着ないので少しずつ似合いそうな人に差し上げることに。「いつか着るかも」の「いつか」はないものです。
- 「ラッセル・ライト」食器コレクション
アメリカの工芸作家ラッセル・ライトの食器を集めていた横森さん。自宅でパーティーをすることも減り使う機会がないからと、インターネットで見つけた専門店に引き取ってもらいました。
- 外貨
海外旅行にしばらく行けないため、銀行に持ち込んで寄付することに。
- 趣味の茶道の道具
10年近く取り組んでいた茶道で、少し集めた茶道具も徐々に友人に渡して、自分の飲む茶碗がいくつかあればいいと思っています。
実家の片付けで困ったのは、本人しか価値がわからないもの
横森さんが、終活を意識した片付けをするようになったのは、今に始まったことではありません。40代の頃、認知症になった両親の自宅介護を経験し、実家の片付けを行ったことがきっかけでした。
「両親はマンション暮らしだったので、一軒家の方ほど物は多くなかったと思います。でも何でも拾ってくる癖が父にあった上に、骨董品集めが趣味でした。おかげで掛け軸や、絵など価値がわからないものがいろいろありました。実家の片付けで痛感したのは、本人しか価値がわからないものが一番厄介ということです」
父親が見ていない間に少しずつ処分することはありましたが、最終的には査定業者を手配してすべて処分することに。大物家電やテーブルセットなどは、欲しい人を探して差し上げたそう。
「実家1軒分、これがすごい大変だったので、自分は小ざっぱりとしておきたいなと思うきっかけになりましたね」
残される側として大変だった経験から、残す側として、唯一の相続者となる姪には大変な思いをさせたくないと考えていると話します。
横森さんは、アンディー・ウォーホルなどのアート作品を所有していますが、姪にいらないと言われたら、アートディーラーに売却することも考えています。
「価値を感じない人が持つより、好きな人が持ってくれる方が、物も使命が全うできるでしょう」
「いつか」ではなく「今」暮らしやすい環境を作るのが大事
つい「いつかやろう」と思ってしまいがちな、片付け。生前整理という面からも取り組むのは早いに越したことはないとはわかりつつ、先延ばしにしてしまいがちではないでしょうか。
しかし横森さんは、「いつか、ではなくて、ずっと常に日々目についた物から少しずつ行っている」と言います。「でも、これからはもう少し加速させたい、とは思っています。でも、実際はなかなか(笑)。とはいえ、常にそれを意識していればいいのではないでしょうか」
今は先祖代々のお墓の扱い方を姪と話したり、所有マンションの査定を依頼するなど、財産関係の下準備も少しずつ進めている最中だそう。
今すぐ実践できる!横森さんの片付け術
横森さんに、物を溜め込まないための片付けのコツを、いくつか教えてもらいました。
再購入できる本なら読んだらなるべく手放す
「一度読んだ本は、多分もう読まない」と話す横森さん。写真のように部屋で”いらない本コーナー”を作っておき、来客や友人に持ち帰ってもらったり、残ったものは古本買取りに送ります。

人にあげる物コーナーを作る
自分ではもう使わないけれど、人にあげたいものをまとめておく。「仕事上使ったサンプルや着なくなった服は、誰かに着てもらえればうれしいので、コーナーにして見やすくしておきます」
片付けグセをつける。運動だと思えばいい
億劫になると、つい手が届く範囲に何でも置きがちに。調味料やリモコン、文房具など、テーブルに出したままにならないよう、常に物の定位置に戻すように。「ついでに運動にもなると思って、やる気を出します!」
洋服は「服を手放す4大基準」を確認する
洋服を手放したいときは、次の4つの項目で確認を。きれいめな洋服は人にあげたり、”フリマ友だち”に売ってもらったり、最近はコロナ禍なのでまとめて寄付もします。着古したものはウエスにするなど、捨てる以外の選択肢を見つければ、手放しやすくもなります。
- サイズ感が合わない
体型が変わることによってのフィット感、丈やバランスに違和感があるもの。
- 劣化度が高い
生地が伸びていたりシミがあったり、くたびれ感、古ぼけ感があるもの。
- 着映え・顔映りがよくない
似合う色は年々変わっていくので、今のあなたを引き立てず、顔映りがよくない色のもの。
- 出番が少ない
めったに着ることがなく、無理して着ても気乗りしないもの。
横森さん流の洋服の手放し方は、記事の「衣替えのコツ!洋服の片付け方「服を手放す4大基準」 で詳しく解説しています。
「私は物がなくなると、結構快感なんです。人に差し上げるとスッキリする上に、素敵に着てもらえているとうれしいです。また、ストレスとエネルギーがいる探し物の手間ひまも減ります。でもまた探し物をしては『残り時間が少ないのに、またやってるのね』と反省して、そのたびにまた片付けをしては自分を許してあげています」
横森美奈子さんのプロフィール
よこもり・みなこ 1949(昭和24)年生まれ。BIGI社で「MELROSE」「HALFMOON」等のチーフデザイナーを歴任。2002年「smart pink」ブランドディレクター、13年にはショップチャンネルで「MINAKO★YOKOMORI」を開始。『老けてる場合じゃないでしょ? 間違いだらけの大人のおしゃれ』(ずっと美しい人BOOKS)などおしゃれに関する本も多数。
撮影=日高奈々子、取材・文=竹上久恵(ハルメクWEB編集部)
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