親の入院・介護に備える!基本のき#2
いざというときの窓口担当やお金の準備できてる?
いざというときの窓口担当やお金の準備できてる?
更新日:2024年06月24日
公開日:2024年03月25日
教えてくれた人:後藤佳苗(ごとう・かなえ)さん

一般社団法人あたご研究所代表理事。看護学修士、保健師、ケアマネジャー。現在、ケアマネジャーに必要な知識と技術を伝える講演活動を全国で行っている。
親の入院・介護で家族が困ること、必要な備え
前回、親の入院や介護が始まったらどんなことが起こるのか、長期的な見通しを「きっかけ期」「あたふた期」「とまどい期」に分けて解説しました。今回は、それぞれのときに家族が困ることと必要な備えについて、高齢者介護の専門家である後藤佳苗さんに聞きました。まずは「きっかけ期」から「あたふた期」です。
きっかけ期の困る1:保険証の場所がわからない
備える:病院で必要な最低限の書類は用意しておきましょう

入院では健康保険証や介護保険証など必ず提出をしなければいけない書類があります。親が入院する際にすぐに用意できるように、書類をまとめておいてもらうことが大切です。「入院に必要な4点セット(下記を参照)は実家のわかる場所に置き、その所在を家族で把握しておきましょう。また、緊急時の連絡先等がわかるよう、親の携帯電話やスマートフォンの置き場所も把握しておくと便利です」(後藤さん)
【入院に必要な4点セット】
- 健康保険証
- 介護保険証
- 印鑑
- マイナンバーカード(ない場合はコピーでも可)
備える:窓口になる人を決めておくと手続きがスムーズに
入院すると病院から必ず家族へ連絡が入ります。そのとき連絡先がわからないと病院側は持病や服用している薬など、必要な情報が把握できず、患者に対して適切な医療行為を行えない可能性も。
今すぐできる備えとして、家族の連絡先(緊急連絡先)はお互いに把握しておきましょう。また実際に親の入院生活が始まると、病院側との窓口を担う人が必要になります。家族の誰が窓口になるか決めておくとよりいいでしょう。
きっかけ期の困る2:費用を子ども側が負担することに
備える:入院費用に使える口座を聞いておく
入院のために支払う「入院保証金」はだいたい10万円ほど。退院時に精算しますがクレジットカードが使用できない病院も多いので、あらかじめ親に現金を用意しておいてもらうか、一時的に立て替える準備もしておきましょう。
「その他、長期の入院に備えて、親にはあらかじめ専用の口座を用意しておいてもらい、その口座の存在を家族で話しておきましょう。できれば入院保証金とあわせて50万円程度入っていれば安心です。さらに、キャッシュカードの保管場所と暗証番号を親から聞いておくことも忘れずに」(後藤さん)

あたふた期の困る1:要介護認定が受けられるかわからない
備える:要介護申請の目安を知っておく
要介護認定等は全部で7段階あり、それぞれ支給限度額が異なります。各自治体の介護保険窓口で申請を行い、認定されると申請日からさまざまな「介護保険サービス」を受けることができます(入院期間は除く)
介護保険は日常生活にほとんど差しつかえがないけれど、立ち上がるときに支えがいる状態なら適用される場合もあるので、対象であれば申請をしましょう。「要支援の段階でサービスを受けることで要介護状態を防げます」(後藤さん)
介護度と利用できる支給限度額

※実際の負担(自己負担額)は所得によって、サービスを利用した額の1〜3割になります。
【要支援1】
1か月の支給限度額:5万320円
日常生活はほとんど自分でできるが、立ち上がりで転んだりして要介護状態にならないように、一部助けが必要。
【要支援2】
1か月の支給限度額:10万5310円
排せつや入浴などで一部助けが必要だが、改善の可能性が高い。
【要介護1】
1か月の支給限度額:16万7650円
立ち上がりや歩行が不安定。排せつや入浴などで部分的な介助が必要。
【要介護2】
1か月の支給限度額:19万7050円
自力での起き上がりや歩行が困難。排せつや入浴、着替えなどで一部、もしくは全面的な介助が必要。
【要介護3】
1か月の支給限度額:27万480円
立ち上がりや歩行が自力ではできない。排せつや入浴、着替えなどで全面的な介助が必要。
【要介護4】
1か月の支給限度額:30万9380円
日常生活の低下が見られ、排せつ、入浴、着替えなど、多くの行為で全面的な介助が必要。
【要介護5】
1か月の支給限度額:36万2170円
介護なしで日常生活を営むことがほぼ不可能。意思の伝達も難しい。
※令和元年10月1日以降の金額です(令和6年3月25日現在)
あたふた期の困る2:ケアマネとの相性がよくない
備える:ケアマネは変更可能。慎重に選びましょう
ケアマネジャーとは介護や支援を必要とする人が自立した生活を送れるように、介護施設の見学から医療面でのサポートなど多岐にわたって自分と家族をサポートしてくれる重要な存在です。親が自分で希望を伝えられるうちは親との相性、それが難しくなった場合は家族との相性が大切になるので信頼できる人を選びましょう。
「ケアマネが3人以上所属している事業所を選んでおけば、もし担当者と合わないときも変更がスムーズに行えます」(後藤さん)

信頼できるケアマネの探し方
- 地域包括支援センターや市区町村の介護保険課で、居宅介護支援事業所のリストをもらう
- いくつかの事業所に問い合わせ、具体的に相談する
- スムーズに話せた事業所のケアマネジャーに、自宅や病室に来てもらう
- 納得できれば契約してケアプランを作成してもらう
ケアマネを選ぶときのチェックポイント
□話しやすさ、相談しやすさ
□情報量やネットワーク力
□家族との相性
□何かあったときにすぐに駆け付けてもらえる距離感にあるか、頼りになるか
あたふた期の困る3:介護の相談先がわからない
備える:地域包括センターならまとめて相談できます

地域包括支援センターは保健師にケアマネジャー、社会福祉士といった各分野の専門職が在籍し、高齢者の相談に対して具体的なサービスにつなげてくれる窓口です。将来の見通しを立てるためにも、一度足を運んでおくとよいでしょう。
次回は自宅での介護が始まってからの「とまどい期」で家族が困ることと、それに対する備えを解説します。
取材・文=取材・文=大門恵子、児玉志穂、新井理紗(ともにハルメク編集部)、イラストレーション=鈴木あり、撮影=元木みゆき
※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年12月号を再編集しています




