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- 瀬戸内寂聴の人生相談1「家にいる夫に息が詰まる」
作家・僧侶の瀬戸内寂聴さんに、お悩みをズバリ答えていただく人生相談シリーズ。夫や子どもとの行き違い、体の不調、伴侶の死……。今回は、定年後「妻に尽くしてもらって当然」と、うっとおしい夫に息が詰まるというお悩みです。※2017年取材
答えてくれたのは:瀬戸内寂聴さん
せとうち・じゃくちょう 1922(大正11)年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞受賞。73年に平泉中尊寺で得度、法名寂聴となる(旧名晴美)。92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、2011年『風景』で泉鏡花文学賞受賞。98年『源氏物語』現代語訳を完訳。『釈迦』『死に支度』『わかれ』など著書多数。2021年11月9日逝去、享年99。
相談1:定年後、家にいる夫がうっとうしい
9歳年上の夫が昨年、定年を迎えました。私はずっと専業主婦で、上げ膳据え膳で世話を焼いてきたせいか、夫は「妻に尽くしてもらって当然」という考えです。
正直なところ、朝から晩まで夫が家に居るようになって、うっとうしくて息が詰まります。ずっと家にいる夫とうまく付き合う方法はないでしょうか。(56歳・福岡県)
瀬戸内寂聴さんのアンサーは?
働きに出るといい。お金も貯まるし、生まれ変われるかも
家にいるようになって、「尽くしてもらって当然」という態度では、嫌になりますね。年を取った夫の外見は若い頃と違ってみっともないですし、病気がちになって頼りなくもなります。
でも実際、冷静になって、あなた自身の姿を鏡で見てみましょう。やっぱり外見は若い頃と同じではなく、変わっていませんか?
それまで、夫に養われていたという恩を思い出すことです。この夫と結婚したから子ども、孫も生まれたと、少し感謝してみるのです。そして、そんなに夫が年を取ったのなら「今度は私が働かせてもらうわ」くらいに、あなたが元気を出さなきゃ。
「私、働きに行きたいわ。あなた、留守番していてくれる?」と夫に提案して、1日4時間でも外に出たら、視点が広がって、人生またいい具合にうまく回り始めますよ。
店番や掃除など、今は何か必ず仕事はあるでしょう。私の知人男性のお母様は、あるとき、お金持ちのお宅で掃除の仕事を始めました。息子である知人に「私が働くと恥ずかしい?」と聞いてきたので、彼は「自慢になるからいいよ」と答えたそうです。そして働きに出るようになったお母様は、生まれ変わったようにいきいきしたそうです。
私たちの世代は働くことが恥になると考えてしまう世代かもしれません。でも息子はかまわないと言っているんです。あなたの夫もそう言ってくれると信じます。あなたが働けば当然、老後の暮らしにもゆとりが生まれます。一石二鳥じゃないですか。
取材・文=清水麻子、五十嵐香奈(ともにハルメク編集部) 撮影=大島拓也
※この記事は雑誌「ハルメク」2017年12月号に掲載した記事を再編集しています。
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