発熱、鼻水、喉の痛み…風邪を早く治すための栄養素!

風邪の時におすすめの食べ物・栄養素!コンビニ商品も

林安津美
監修者
たいや内科クリニック
林安津美

公開日:2023.03.20

風邪をひいてしまったときにおすすめの食べ物や飲み物、メニューや栄養素を専門家監修のもと解説します。風邪をひくとウイルスと戦うために多くのカロリーを消費することに。体力回復のためも栄養補給・水分補給が大切です。免疫力アップで風邪予防!

風邪をひいたときに摂取したい栄養素・食べ物

風邪をひいたときに摂取したい栄養素・食べ物

風邪を治すためには「体内に入り込んできたウイルスと戦って消耗した体力を回復させること」と「免疫力を高めること」が大切です。そのためにも、食べ物や飲み物で必要な栄養素を摂取しましょう。

ここからは、風邪をひいたときに摂取したい栄養素や食べ物をご紹介します。

なお、これらの栄養素は風邪をひいたときだけでなく、風邪予防にも有効です。普段から栄養バランスを意識してこれらの栄養素を取り入れると、免疫力アップや風邪予防につながるので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。

タンパク質

炭水化物、脂質とともに三大栄養素とされるタンパク質は、エネルギーのもとになります。タンパク質が不足すると、体力低下や免疫機能低下につながるため、風邪のときはしっかり摂取したい栄養素です。

【風邪のときにおすすめなタンパク質が豊富な食材】

  • 豆腐などの大豆製品
  • 白身魚、脂身の少ない肉
  • 乳製品 など

ビタミンC

ビタミンCは抗酸化ビタミンの一つで、活性酸素の働きを抑制する作用や、体内に入ってきたウイルスを攻撃し、免疫細胞の機能を高め、風邪などの病気に対する抵抗力を高める効果があります。

また、貧血予防、ストレスや疲労の緩和、コラーゲン生成を促して皮膚の傷の治りを促すなどの働き    と炎症を抑制する効果もあり、風邪のときに積極的に取りたい栄養素の一つです。 

【風邪のときにおすすめなビタミンCが豊富な食材】

  • じゃがいも
  • バナナ
  • かぼちゃ
  • 赤パプリカ
  • ブロッコリー
  • 春菊
  • ほうれん草
  • キウイ
  • いちご
  • みかん など

ビタミンA

ビタミンAには皮膚や粘膜を強くする作用があり、鼻水や鼻詰まり、喉の痛みなどの症状への効果が期待できます。抗酸化ビタミンとも呼ばれ、免疫機能を低下させる活性酸素を抑える働きもあります。ただし、ビタミンAは妊婦や授乳期の女性には、過剰摂取により胎児や乳児に影響を及ぼすことがありますので、注意が必要です。 

【風邪のときにおすすめなビタミンAが豊富な食材】

  • ほうれん草
  • 人参
  • かぼちゃ
  • ブロッコリー
  • 銀ムツ など

ビタミンE

ビタミンEには、末梢血管を広げることで血行を促し、自律神経を整える効果や、免疫細胞の機能強化、炎症を抑制する作用など、活性酸素から細胞を守る効果があります。ただし、ビタミンEの過剰摂取により、体内に影響を及ぼすことがありますので適量をお勧めします。

【風邪のときにおすすめなビタミンEが豊富な食材】

  • 卵黄
  • ほうれん草
  • 赤パプリカ
  • かぼちゃ 
  • モロヘイヤ など

ビタミンB群

ビタミンB群には、三大栄養素からエネルギーを作り出すのを助ける働きがあります。風邪をひいたときには多くのエネルギーを消耗するため、体力回復を促すためにもビタミンB群をしっかり摂取しましょう。ビタミンB2は、粘膜の健康維持・ビタミンB6は細胞の免疫力を促進・ビタミンB12は細胞の再生や免疫力の維持などそれぞれ健康維持に貢献します。

【風邪のときにおすすめなビタミンB群が豊富な食材】

  • 豆腐
  • 鯛 など

体を温める食べ物

風邪を引き起こすウイルスなどの病原体は熱に弱いです。風邪を早く治すために、温かいメニューを選んで食べたり、体を温める食べ物を摂取するといいでしょう。

【体を温める食べ物例】

  • ネギ
  • 生姜
  • 温かいスープや飲み物
  • お粥 など

消化に良い食べ物

下痢や腹痛など胃腸の調子が悪いときは、消化に良い食べ物を選ぶと、胃に余計な負担を掛けずに済みます。また、調理時に野菜や肉などをなるべく小さく切り、よく煮込むなどして柔らかくすると消化が良くなります。

【消化に良い食べ物例】

  • おかゆ、うどん
  • 白身魚、脂身の少ない肉
  • 食物繊維が少ない野菜
  • 豆腐、ひきわり納豆
  • 牛乳やヨーグルト など

シーン別!風邪時におすすめの食べ物・飲み物・メニュー

シーン別!風邪時におすすめの食べ物・飲み物・メニュー

ここからは、シーンや症状別に風邪のときにおすすめの食べ物・飲み物・メニューをご紹介します。

風邪のひき始めにおすすめの食べ物

風邪のひき始めは、消化の良い食べ物を選んで栄養補給をしましょう。

  • 卵うどん
  • ささみ入りのお粥
  • 鍋料理
  • 野菜やタンパク質豊富な食材を入れた味噌汁
  •  ハチミツを使用した温かい飲み物 など

野菜やタンパク質が豊富な食材を入れて味噌汁や鍋料理にすると、野菜のかさが減ってたくさん食べられます。加熱することで消化も良くなり、体が温まる効果が期待できるのもメリットです。汁まで摂取することで、食材の栄養を丸ごと摂取できますよ。

だるかったり、体がつらくて調理が難しいときはインスタントの味噌汁もおすすめです。味噌には体を構成するアミノ酸が豊富で、野菜がたっぷり入ったインスタント味噌汁も売られているので手軽に活用できます。

発熱時、症状がつらいときにおすすめの食べ物

発熱したり、症状がつらいときはエネルギー消耗が激しくなります。水分とエネルギーをしっかり取ることが大切です。発熱するとビタミンB1やビタミンB2が消耗しやすいため、卵や豆腐をメニューに取り入れましょう。

ただし、食欲がないときに無理に食べると嘔吐や下痢など消化器官の不調につながるため、無理はしないことが大切です。固形の食べ物を受け付けないときは、ゼリーや経口補水液、スポーツドリンクがおすすめです。

  • 卵がゆ、卵入りの煮込みうどん
  • 湯豆腐
  • 経口補水液やスポーツドリンク
  • ゼリー 
  •  ハチミツを使用した温かい飲み物 など

喉が痛いときにおすすめの食べ物

喉の痛みは、風邪の代表的な症状の一つです。喉風邪のときや「喉がイガイガする」「ちょっと喉が痛い」というときは早めに対策をして、風邪の悪化を予防しましょう。喉を刺激する食べ物や喉の粘膜を傷つける食べ物は避けましょう。 

以下は、喉が痛いときにおすすめの食べ物や飲み物です。

  • 大根
  • 長ネギ
  • 梨、りんご
  • 金柑(きんかん)
  • かりん
  • 杏仁豆腐
  • 緑茶
  • 紅茶(アッサムティー)
  • ハーブティー(ミントティー)
  • はちみつを使った飲み物
  • 生姜を使った飲み物
  • ココア
  • アイスクリーム など

鼻水・鼻詰まりにおすすめの食べ物

鼻水や鼻詰まりといった症状が気になるときは、粘膜を健康に保つビタミンA、ビタミンB2、ビタミンCなどの栄養素を摂取するといいでしょう。また、温かくした食べ物も鼻詰まりを軽減する効果が期待できます。

以下のメニューは、野菜をたっぷり入れることでビタミン補給もできるのでおすすめです。

  • 野菜たっぷりのスープ
  • 鍋料理
  •  生姜を使用した飲み物
  • ビタミンC含有食品(オレンジ・イチゴ)  など

下痢・腹痛・吐き気におすすめの食べ物

下痢や腹痛、吐き気や嘔吐といった症状があると、体から水分が排出されることで脱水症状になりやすくなります。意識して水分補給をするようにしましょう。

食欲があれば消化に良いものを食べて水分と栄養を補給します。食欲がなかったり、吐き気がするときは無理に食べると逆効果になることもあるため、経口補水液などを少量ずつ摂取し水分を補給するといいでしょう。

  • すりおろしたりんご
  • ヨーグルト 
  • 温かい麺類
  • 湯豆腐

上記の食べ物は消化も良く、腸内環境を整える効果が期待できます。

風邪の治りかけにおすすめの食べ物

風邪の治りかけは、体力を消耗していることが多いため、意識的にタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養を摂取して体力回復を促しましょう。胃腸に負担を掛けない、消化の良いメニューがおすすめです。

  • 肉や魚の蒸し焼き
  • 卵がゆ
  • 野菜や肉を入れたにゅうめん
  • 湯豆 
  •  生姜を使用した飲み物
  • 芋類 など

コンビニやスーパーで買える風邪のときにおすすめの食べ物

風邪の症状がつらかったり、食事を作る元気がないときは、コンビニやスーパーを活用するのもおすすめです。手軽に買える食べ 物を活用して栄養補給しましょう。

  • レトルトのおかゆ
  • 茶碗蒸し
  • 一人鍋セット、温めるだけで食べられるうどん(揚げ物入りなど脂っこいものは避ける)
  • 柔らかい食材を使った煮物
  • ゼリー、プリン
  • 経口補水液、スポーツドリンク
  • 果汁100%のジュース など

風邪のときに避けたい食べ物・飲み物

風邪のときは消化器官が弱るため、胃腸に負担を掛ける食べ物や飲み物は避けましょう。

  • 脂っこい食べ物
    脂身の多い肉や揚げ物・炒め物などの脂っこい食べ物は消化に時間がかかるため、胃腸の負担になる
  • 食物繊維が多い野菜
    風邪のときは消化の良いものを食べるのが基本。野菜の中には食物繊維が多いものもあり、胃腸に負担をかけてしまう。根菜類などは食物繊維が多いため、風邪のときは避けるといい。葉物野菜などは食物繊維が強くないものも多いためおすすめ
  • 唐辛子やスパイスなど刺激の強い食べ物、炭酸飲料
    胃腸への刺激となってしまうため避けるといい
  • カフェイン
    カフェインには利尿作用があるため、水分補給の妨げになる。特に熱があるときはなるべく避けたい
  • アルコール、砂糖の多いお菓子
    アルコールや砂糖を多く使ったお菓子は、風邪で消耗した体を回復させるために必要なビタミンを使ってしまうため避ける。アルコールには利尿作用もあり、脱水につながることも
  • オレンジジュース(喉が痛いとき)
    喉の痛みがあるときは、オレンジジュースの酸味が喉を刺激してしまう可能性がある。柑橘系のジュースは避けるといい

風邪で食欲がないときは?

風邪で食欲がないときは?

風邪をひいたときは、消化器官も弱っている状態です。食事をするだけでも栄養素が使われ、消化・吸収にエネルギーを消耗するため、無理にたくさん食べたりしないようにしましょう。

「栄養をつけるためにステーキや焼肉などのがっつりした食事を食べる」という人もいますが、消化の悪い肉類や脂は胃腸に負担をかけ、風邪の治りを遅くしてしまう可能性もあります。

食欲がないときは無理はせず、食べられるものを少しでも摂取するといいでしょう。栄養摂取のためにも最低限の栄養素は取れるよう、経口補水液やゼリー飲料などを活用するのもおすすめです。

また、食欲がないときでも、脱水にならないよう水分補給は意識することが大切です。

栄養が不足した状態が長く続くと風邪から回復するための体力がなくなってしまうため、食べられない状態が続くようであれば無理をせず早めに病院を受診しましょう。

風邪に効く栄養素・食べ物でウイルスに負けない体に

風邪をひくと、体はウイルスと戦うためにエネルギーを消耗します。体力の回復を促し、早く風邪を治すためには食事や飲み物で栄養を補給し、風邪への抵抗力をつけることが大切です。

「これを食べれば風邪が一晩で治る食べ物」などは存在しないため、毎日の食事で体に必要な栄養素をまんべんなく摂取することが風邪を早く治すことにつながるでしょう。

下痢や嘔吐、吐き気、発熱などの症状があると水分不足になり、脱水になりやすくなるため、水分補給も忘れないようにしましょう。

※効果には個人差があります。試してみて異変を感じる場合はおやめください。

監修者プロフィール:林安津美さん

大学卒業後JAあいち厚生連に入職し37年間病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療をお届けできるように努めています。

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