「冷え」を解消して感染症・病気を防ぐ!#1

それ「冷え」のサインかも?セルフチェックと対策

公開日:2023.01.26

更新日:2024.01.30

寒い冬、手足の冷えがいつもより気になりませんか。体の「冷え」を放っておくと、どうなるのでしょう? 免疫力や代謝などの機能が弱り、感染症にかかりやすく! まずは自分の冷え度を10項目でセルフチェック。冷えとりの専門医・川嶋朗さんに伺います。

冷えは「文明病」!現代人の体が冷えやすい理由

この季節、特に気になる体の“冷え”。

60年前の日本人の平均体温は36.89℃ほどあったそうですが、現在は36℃前後の人が圧倒的。原因は、冷蔵庫の普及による冷たいもののとり過ぎや、運動不足による筋力低下などが挙げられ、冷えは「文明病」といえます。

<主な原因>
●筋力の低下
●ストレス過多
●体温調整力の低下
●冷たいもののとり過ぎ

「手足の末端が冷たい」などの症状がある方もいれば、自覚なく冷えが進行している場合もあり、放っておくと免疫力や代謝などのさまざまな機能が弱ってしまいます。すると、冬に流行する感染症にかかりやすくなり、がんやうつ病などの思わぬ病気に結び付くことも。

冷えの正体を知り、すぐできる対策、簡単「冷えとり法」を実践して、冷えを寄せ付けない体になりましょう!

体が冷えるとどんなことが起こるの?

そもそも"冷えた"体では、何が起こっているのでしょう。

「冷えとはつまり、"血行が悪化した状態″を指します。血液には筋肉や内臓で作られた熱を全身に運ぶ役割がありますが、ストレスなどの要因で自律神経が乱れ、交感神経が優位な状態が続くと、血管が収縮して血行が悪化します。熱が全身に行き届かず、低体温や、手足などの末端が冷たいなどの"冷え症状"につながるのです。

また、冷え自体がストレスを生み、自律神経を乱れさせ、血行を悪化させるという悪循環にも。女性は筋肉が少ない分冷えやすく、筋力が落ちていく50代以降はより注意が必要です」

そう話すのは、「冷えとり専門医」と名高い川嶋朗さん。"冷えは万病のもと"とされるように、血行不良は「体にとって緊急事態」だと言います。

「血液には酸素や栄養素を体中に送り、新陳代謝で生じた二酸化炭素や老廃物を運び出す働きもあります。冷えを放置して血流が滞ったままでは、内臓の働きや代謝機能などあらゆる生命活動が妨げられ、さまざまな不調や病気に結び付くのです」(川嶋さん)

体が冷えて感染症にかかるまで

あなたの「冷え」具合をセルフチェック!

あなたも冷えていませんか?下のリストで当てはまるものをチェックしてみましょう。

  • 体温が36℃未満
  • 手足が常に冷えていると感じる
  • 朝起きたとき、脇の下よりお腹が冷たい
  • 下痢または便秘になりやすい
  • イライラしやすい
  • 目の下にクマができやすい
  • 疲れやすく、寝ても疲れがとれない
  • 朝起きると、寝付いたときと同じ体勢
  • 顔色や爪、唇の色が悪い
  • 肩こりや頭痛が起きやすい

一つでも当てはまる人は要注意です。体温が36℃未満だったり、手足が常に冷たいのは典型的な冷えの症状。寝起きにお腹が冷たい人や、下痢や便秘になりやすい人は、冷えで内臓の機能が落ちている可能性も。

また、冷えると交感神経が優位な状態が続いてイライラしやすく、血行不良は目の下のクマや肩こり、疲れやすさにも結び付きます。

冷えて起こる「不調」、温めて起こる「体にいいこと」

●冷えて起こる「不調」
不眠
脳卒中
糖尿病
うつ病
がん

●温めて起こる「体にいいこと」
免疫力アップ
代謝の活性化
痛みの緩和
リラックス効果
肌つや改善

冷えによる自律神経の乱れは不眠やうつ病を、血流の悪化は脳卒中の危険を招きます。また冷えで免疫機能などの働きが落ちると、細胞ががん化しやすくなります。体温の低下は血糖値の上昇にも結び付き、糖尿病の一因にもなるのです。

体を温めれば、それらを予防すると同時に、血流が増すことで代謝が活性化。腰・ひざなどの痛み改善や、美容効果、リラックス効果など、いいことずくめです。

次回は、川嶋さんが、体を温めるならここ!というキーポイントと、冷えている体の効率いい温め方をご紹介します。

川嶋朗(かわしま・あきら)さんのプロフィール

川嶋朗先生

1957(昭和32)年東京都生まれ。神奈川歯科大学大学院統合医療学講座・特任教授、医学博士。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学入局。ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院などを経て現職。近著に『冷えとりの専門医が教える 病気を防ぐカラダの温め方』(日東書院本社刊)などがある。

取材・文=新井理紗(編集部) イラストレーション=曽根愛
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年1月号を再編集、掲載しています。

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