大腸がんのリスクが上がる?下がる?生活習慣と食事
2024.06.262024年06月26日
大腸がんは予防と早期発見で怖くない#1
死亡原因1位!大腸がんのリスク・チェックリスト
大腸がんは日本人女性の臓器別の死亡者数で最も多いがんです。ただし、生活習慣の見直しやがん検診で発症や死亡のリスクを大幅に下げられることが国内外の最新研究でわかってきています。まずは、大腸がんになるリスクをチェックしてみましょう。
教えてくれた人:金光幸秀(かねみつ・ゆきひで)さん
国立がん研究センター中央病院 大腸外科長。1990年名古屋大学医学部卒業。名古屋大学附属病院、愛知県がんセンター中央病院消化器外科部などを経て、2013年より現職。大腸がん手術のエキスパートで、「大腸癌治療ガイドライン」作成委員なども務める。大腸がんの新たな治療法の確立にも力を入れている。
大腸がんは大きく2種類に分けられる
大腸は全長1.5m~2mの細長い臓器です。大腸がんは、大きく「結腸がん」と「直腸がん」の2つに分けられます。大腸癌研究会が発表したさらに細かい部位別発症率は、直腸が35%、S状結腸は34%。そのため、大腸がんの7割は、S状結腸と直腸に発生するといえます。ただし、大腸の入口に近い盲腸や上行結腸にがんが発生することもあります。
大腸がんは女性のがんによる死亡原因第1位です
国立がん研究センターの最新がん統計によると、2021年に大腸がんで亡くなった女性は2万4338人。女性のがんの部位別死亡数では第1位であり、その数は50年前の5.3倍に増加しています。
大腸がんは予防と早期発見でほぼ100%死なずに済む病気
「大腸がんで亡くなる人が日本人女性で多いのは、食生活の欧米化と高齢化の影響で患者数が増えている影響もありますが、がん検診の受診率が欧米に比べて低いからです。大腸がんは結腸や直腸にがんがとどまっている段階で発見されれば怖い病気ではなく、ほぼ100%治ります」
そう指摘するのは、大腸がん手術のエキスパート、国立がん研究センター中央病院大腸外科長の金光幸秀さんです。
上のグラフは、大腸がんと診断されてから5年後の進行度別の相対生存率。「地域がん登録」によるがん生存率データ(1993~2011年診断例)から算出され、治療でどのくらい命を救えるかを示す指標となっています。
「がんが大腸に限局」している場合、97.3%が完治可能というデータが出ており、がんが大腸だけにある段階ならほぼ完治可能といえます。
大腸がんになるリスクは40代以降高くなる
大腸がんになるリスクは、40歳以降、年齢を重ねるほど高くなります。進行すると貧血、体重減少、血便、腹痛などが生じますが、早期ではそういった自覚症状はありません。そのため予防と、早期発見を目的にしたがん検診の受診が重要なのです。
大腸がんになるリスクをチェック!
1つでも当てはまる人は特に大腸がんに注意を!
□血縁者(祖父母、親、きょうだい、子)に大腸がん経験者がいる
□1日の大半の時間座っている
□ハムやソーセージ、ベーコンを毎日食べている
□野菜や豆類、イモ類をあまり食べない
□週1回以上、深酒をしている
□喫煙している
□BMI=体重(kg)÷(身長[m]×身長[m])が25以上
次回は、大腸がんのリスクに関わる生活習慣と食事についてお伝えします。
取材・文=福島安紀、イラストレーション=タカヤユリエ、構成=新井理紗(ハルメク編集部)
※この記事は雑誌「ハルメク」2023年9月号を再編集しています