ベントオーバーローとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
ベントオーバーローとは?効果・トレーニング方法・よくある質問【医師監修】
公開日:2025年10月07日
この記事3行まとめ
✓ ベントオーバーローは背中を鍛え、美しい姿勢と元気な毎日を支えます
✓ 50代・60代の女性も、正しいフォームなら安全に無理なく始められます
✓ トレーニング効果を高めるには、食事や休息など日常生活の工夫も大切です
ベントオーバーローとは?
「ベントオーバーロー」と聞くと、なんだか難しそう……と感じるかもしれませんね。でも、実は私たちの日常生活にも深く関わりのある、とても大切なトレーニングなのです。
ベントオーバーローは、主に背中の筋肉を鍛えるためのトレーニングです。「ベントオーバー」は「前かがみになる」、「ロー」は「引く」という意味。つまり、少し前かがみの姿勢で、重りを自分のほうへ引き寄せる動作を繰り返します。
この動きによって鍛えられるのは、背中の中心にある「広背筋(こうはいきん)」や「僧帽筋(そうぼうきん)」、そして背骨を支える「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」といった、美しい姿勢を保つために欠かせない筋肉たちです。
これらの筋肉は、意識しないと年齢とともに衰えやすい部分。だからこそ、50代からのトレーニングがとても重要になるのです。
ベントオーバーローのメリット
背中の筋肉を鍛えることは、私たち世代の女性にとって、うれしいメリットがたくさんあります。
- 美しい姿勢が手に入る:背筋がすっと伸びていると、それだけで若々しく、自信に満ちた印象になります。猫背気味だった姿勢が改善され、立ち姿が美しくなります。
- 肩こりや腰痛の予防・軽減:背中の筋肉が衰えると、頭や腕を支えるために肩や腰に余計な負担がかかります。ベントオーバーローで背中の筋力をつければ、肩こりの予防や軽減に役立つ可能性があります。
- すっきりとした後ろ姿に:年齢とともに気になる、背中や脇のハミ肉。ベントオーバーローは、この部分をすっきりと引き締めるのに効果的です。自信を持って薄着のおしゃれも楽しめます。
- 基礎代謝がアップし、太りにくい体に:背中は体の中でも特に大きな筋肉が集まる場所。ここを鍛えることで効率よく全体の筋肉量が増え、基礎代謝が上がります。つまり、何もしなくても消費されるエネルギー量が増え、自然と太りにくい体質へと変わっていくのです。
- 日常の動作が楽になる:重い荷物を持ったり、長時間同じ姿勢でいたり。日常の何気ない動作も、背中の筋力があればぐっと楽になります。
スポーツ庁の調査(令和3年度「体力・運動能力調査」)によると、残念ながら、日本の成人女性は30代以降、年齢とともに体力が低下していく傾向にあります。特に、全身の筋力や柔軟性は、何もしなければ衰えやすいことが示されています。
しかし、同調査では、運動習慣のある人はない人に比べて、どの年代でも高い体力水準を維持していることも明らかになっています。つまり、50代、60代からであっても、適切なトレーニングを始めることで、体力や筋力を維持・向上させることは十分に可能なのです。ベントオーバーローのようなトレーニングは、まさにそのための有効な手段の一つと言えるでしょう。
筋力低下が招く心身のトラブル
「最近、なんだか体のラインが崩れてきたかも」「疲れやすくなった気がする」そんなふうに感じていらっしゃるなら、それは背中の筋力低下が原因かもしれません。でも、ご安心ください。この記事を読んでくださっているあなたは、もう解決への第一歩を踏み出しています。一緒に、健やかで美しい体を取り戻していきましょう。
筋力低下が招く身体的な問題
背中の筋肉、特に広背筋や脊柱起立筋が衰えると、私たちの体にはさまざまな不調が現れ始めます。
- 姿勢の悪化(猫背):背骨を支える力が弱まり、頭の重みで自然と背中が丸まってしまいます。猫背は見た目の印象だけでなく、呼吸が浅くなることもあります。
- 肩こり・首こり:丸まった背中では、重い頭を首や肩の筋肉だけで支えることになり、常に緊張状態に。これが、慢性的なこりにつながります。
- 腰痛:体を支える背中の筋肉が弱いと、その負担は直接腰にかかります。ふとした動作でぎっくり腰になるリスクも高まります。
- 転びやすくなる:体の軸が不安定になるため、バランスを崩しやすくなります。特に私たち世代にとって、転倒は大きな怪我につながりかねません。
体の変化が心に与える影響
体の変化は、心の元気にも影響します。「好きな洋服が似合わなくなった」「鏡に映る自分の姿にがっかりする」そんな経験が続くと、だんだんと自信を失い、気持ちまで沈みがちになってしまいます。
また、肩こりや腰痛といった慢性的な痛みは、知らず知らずのうちにストレスとなり、私たちの活動意欲を削いでしまいます。「どうせやっても痛いから」と、お出かけや趣味を諦めてしまうのは、とても悲しいことですよね。
関連する他の不調やトラブル
背中の筋力低下は、一見関係なさそうな他の不調の引き金になることもあります。例えば、猫背になると内臓が圧迫され、消化不良や便秘につながることがあります。また、血行が悪くなることで、冷えやむくみに悩まされる方も少なくありません。
このように、背中の健康は、全身の健康と深くつながっているのです。
トレーニングを始める前の注意点と専門家への相談
安全にトレーニングを始めるために
新しいことを始める時は、いつでも少しの不安が伴うものです。特に、自分の体と向き合うトレーニングならなおさら。50代・60代の私たちは、若い頃と同じ感覚で急に運動を始めると、かえって体を痛めてしまうこともあります。
もし、あなたが腰痛や膝痛、高血圧などの持病をお持ちの場合や、長年運動から離れていて体力に自信がない場合は、トレーニングを始める前に、必ずかかりつけの医師に相談しましょう。「こんな運動を始めようと思うのですが、問題ないでしょうか?」と一言確認するだけで、安心してスタートを切ることができます。
専門家(パーソナルトレーナーなど)に相談するメリット
自己流のトレーニングは、時に遠回りになったり、怪我の原因になったりすることも。特にベントオーバーローは、正しいフォームがとても大切なトレーニングです。
思い切って専門家、例えばパーソナルトレーナーなどに相談してみるのも素晴らしい選択です。専門家の指導を受けることには、たくさんのメリットがあります。
- 正しいフォームが身につく:あなたの骨格や体力に合わせて、怪我のリスクが最も低い、効果的なフォームを教えてくれます。
- 自分に合った計画を立ててくれる:「姿勢を良くしたい」「腰痛を改善したい」といったあなたの目的に合わせて、最適なトレーニングの重さや回数を設定してくれます。
- モチベーションを維持できる:一人ではくじけそうになる時も、専門家が「順調ですよ!」「この調子です!」と励ましてくれることで、楽しく続けることができます。
良い専門家の見つけ方
「でも、どうやって信頼できる専門家を見つければいいの?」と思いますよね。いくつかのポイントをご紹介します。
- 資格を確認する:理学療法士や、信頼できるトレーニング関連の資格(NSCA-CPT、JATI-ATIなど)を持っているかを確認しましょう。
- 高齢者の指導経験が豊富か:私たち世代の体のことをよく理解し、指導経験が豊富なトレーナーだと、より安心です。
- コミュニケーションが取りやすいか:あなたの悩みや不安を親身に聞いて、分かりやすく説明してくれる人柄かも大切なポイントです。
最近では、地域のフィットネスクラブや、女性専用のジム、オンラインでのパーソナルトレーニングなど、さまざまな選択肢があります。まずは体験セッションなどを利用して、自分に合う場所や人を探してみてはいかがでしょうか。
ベントオーバーローの具体的なトレーニング方法
トレーニング方針の決定
まずは、あなたが「どうなりたいか」を想像してみましょう。「すっと伸びた背筋で颯爽と歩きたい」「旅行を思いっきり楽しめる体力が欲しい」「ノースリーブのワンピースを素敵に着こなしたい」。目的によって、トレーニングの計画も変わってきます。
最初は無理せず、「週に2回、15分から」といったように、続けられる範囲で計画を立てることが大切です。そして、初めのうちは特に、専門家の指導のもとで正しいフォームを身につけることを強くおすすめします。
1. 自宅でできる!器具なしトレーニング
「まずは家で手軽に始めてみたい」という方のために、器具を使わない方法をご紹介します。
タオル・ベントオーバーロー
- 足を肩幅に開いて立ち、膝を軽く曲げます。
- フェイスタオルの両端を、肩幅より少し広く持ちます。
- 背筋をまっすぐ伸ばしたまま、お辞儀をするように上半身を45度くらいまで倒します。この時、タオルは膝の少し上あたりにきます。
- タオルを左右に強く引っ張りながら、胸に向かってゆっくりと引き寄せます。肩甲骨を中央に「寄せる」意識で行うのがポイントです。
- ゆっくりと元の位置に戻します。この動作を10回繰り返しましょう。
よくある間違いと正しいフォーム
×間違い:背中が丸まってしまう。これでは腰を痛める原因に。
〇正しいフォーム:お尻から頭までが一直線になるように、常に背筋を伸ばしましょう。お腹にきゅっと力を入れると、姿勢を保ちやすくなります。
×間違い:腕の力だけで引いてしまう。
〇正しいフォーム:腕ではなく、背中の中心(肩甲骨)から動かす意識を持ちましょう。「肘を後ろに引く」と考えると分かりやすいかもしれません。
2. 器具を使ったトレーニング
少し慣れてきたら、軽い器具を使ってみましょう。水の入ったペットボトルや、トレーニング用のゴムチューブ、軽いダンベルなどがおすすめです。
ペットボトル(または軽いダンベル)・ベントオーバーロー
- 両手に水の入った500mlのペットボトルを持ちます。
- 足を肩幅に開いて立ち、膝を軽く曲げます。
- 背筋をまっすぐ伸ばしたまま、お辞儀をするように上半身を倒します。
- タオルの時と同じように、肩甲骨を寄せながら、ペットボトルをお腹の横あたりに引き上げます。
- ゆっくりと下ろします。これを10~15回繰り返しましょう。
よくある間違いと正しいフォーム
×間違い:重すぎるものを持ってしまう。フォームが崩れ、効果がないばかりか怪我につながります。
〇正しいフォーム:まずは500mlのペットボトルなど、本当に軽いものから始めましょう。「少し物足りないかな?」と感じるくらいが、フォームを固めるには最適です。
×間違い:反動を使って上げてしまう。
〇正しいフォーム:一つ一つの動作を、ゆっくり丁寧に行いましょう。筋肉にしっかり効いていることを感じながら行うのが大切です。
トレーニングの頻度と期間の目安
「どれくらい続ければ、効果が出るの?」と気になりますよね。
- 頻度:筋肉は、トレーニングで受けた刺激を回復させる時間も必要です。週に1~2回、無理のないペースで行いましょう。
- 期間:多くの場合、始めてから2~3か月ほどで、「姿勢が良くなったかも」「疲れにくくなった」といった体の変化を感じられるようになります。焦らず、気長に続けることが何よりも大切です。
トレーニング効果を高める生活習慣
せっかくトレーニングをがんばるなら、その効果を最大限に引き出したいですよね。そのためには、運動以外の生活習慣もとても大切になります。
1. 食事のポイント(タンパク質など)
筋肉は、タンパク質を材料にして作られます。トレーニングでしなやかな筋肉を育てるためには、毎日の食事で良質なタンパク質をしっかり摂ることが不可欠です。
- 何を食べる?:お肉やお魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)、乳製品(ヨーグルト、チーズなど)に豊富に含まれています。毎食、手のひら1枚分くらいの量を意識して取り入れましょう。
- いつ食べる?:特に、トレーニング後30分~1時間以内は、体が栄養を最も吸収しやすい「ゴールデンタイム」。この時間に、豆乳やヨーグルト、ゆで卵などを少し摂ると、効率的に筋肉の回復を助けることができます。
- バランスも大切:タンパク質だけでなく、野菜や果物からビタミン・ミネラルを、ご飯やパンからエネルギー源となる炭水化物をバランスよく摂ることも忘れないでくださいね。
2. 休息と回復の重要性
意外に思われるかもしれませんが、筋肉はトレーニングしている時ではなく、「休んでいる時」に作られます。トレーニングによって少し傷ついた筋繊維が、休息中に修復される過程で、以前よりも少しだけ強く、太くなるのです。これを「超回復」と呼びます。
- 休息日を設ける:毎日がんばるのではなく、トレーニングをしない日を週に数日設けましょう。筋肉をしっかりと休ませてあげることが、成長への近道です。
- 質の良い睡眠:筋肉の修復や成長を促す「成長ホルモン」は、私たちが眠っている間に最も多く分泌されます。特に、夜10時から深夜2時の間がピークと言われています。なるべく日付が変わる前にはお布団に入れると理想的ですね。寝る前のスマートフォンやカフェインは控えて、リラックスした状態で眠りにつきましょう。
3. 日常生活で意識するべきこと
トレーニングの時間だけでなく、普段の生活の中で少し意識を変えるだけでも、効果は大きく変わってきます。
正しい姿勢を心がける:椅子に座る時は深く腰かけ、背筋をすっと伸ばす。歩く時は、頭のてっぺんから一本の糸で吊られているようなイメージで。これが、天然のコルセットである「脊柱起立筋」を自然に鍛えることにつながります。
- 歩き方を変えてみる:歩く時も、ただ足を前に出すだけでなく、肩甲骨から腕を振るように意識してみましょう。背中の筋肉が使われているのを感じられるはずです。
- 荷物の持ち方を工夫する:買い物袋などを持つ時、片方の手だけで持つのではなく、両手に分けて持つ、あるいはリュックサックを利用するなどして、左右のバランスが崩れないように気を付けましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: どれくらいで効果が出始めますか?
A: 個人差はありますが、多くの方が週に1〜2回のトレーニングを続けて、2〜3か月ほどで「姿勢が良くなった」「疲れにくくなった」といった変化を感じ始めます。見た目に明らかな変化が現れるには、半年ほどかかる場合もあります。焦らず、ご自身のペースで続けることが一番大切です。
Q2: トレーニングは毎日やった方が良いですか?
A: いいえ、その必要はありません。筋肉は休息中に成長しますので、同じ部位のトレーニングは毎日行うのではなく、2〜3日おき、週に1〜2回のペースがおすすめです。がんばり過ぎはかえって逆効果になることもあります。
Q3: 腰痛持ちなのですが、やっても大丈夫ですか?
A: まずはかかりつけの医師にご相談ください。その上で、もし行う場合は、絶対に無理をせず、まずは器具を使わない「タオル・ベントオーバーロー」から試してみましょう。少しでも腰に痛みや違和感を感じたら、すぐに中止してください。専門家の指導のもとで行うのが最も安全です。
Q4: 重いものを持つのが怖いです。軽いものでも効果はありますか?
A: もちろんです。特に50代60代のトレーニングは、重さよりも「正しいフォーム」で「効かせたい筋肉を意識する」ことの方がずっと重要です。500mlのペットボトル1本からでも、ゆっくり丁寧に行えば、十分に効果はあります。物足りなく感じるくらいが、実はちょうど良いのです。
Q5: 膝が痛いのですが、できますか?
A: ベントオーバーローは膝を軽く曲げますが、膝への負担は比較的小さいトレーニングです。ただし、お辞儀の姿勢をとる際に膝に痛みを感じる場合は、無理は禁物です。椅子に座って行う「シーテッドローイング」など、別のトレーニングを検討するのも良いでしょう。こちらも、まずは医師や専門家にご相談ください。
Q6: トレーニング中に背中ではなく腕が疲れてしまいます。
A: これは多くの方が経験する「あるある」です。腕の力で引いてしまっている証拠ですね。対策としては、「肘を後ろに引く」という意識を持つこと、そして肩甲骨を「きゅっと中央に寄せる」ことを強く意識してみてください。目線を少し前に向けると、背中を意識しやすくなりますよ。
Q7: 「順手」と「逆手」では、何が違うのですか?
A: 持ち方によって、主に効く場所が少し変わります。手の甲が上を向く「順手(オーバーハンドグリップ)」は、背中の真ん中あたり(僧帽筋)に効きやすく、背中の厚みを作るのに役立ちます。手のひらが上を向く「逆手(アンダーハンドグリップ)」は、背中の広がり(広背筋)に効きやすいと言われています。まずはやりやすい方で始めて、慣れてきたら両方試してみるのも良いでしょう。
Q8: 背中のハミ肉が気になります。ピンポイントで効きますか?
A: ベントオーバーローは、まさにその気になる部分を引き締めるのにとても効果的なトレーニングです。背中全体をバランスよく鍛えることで、ブラジャーの上に乗ってしまうお肉や、脇のぷよぷよしたお肉がすっきりしていきます。
Q9: プロテインは飲んだ方が良いのでしょうか?
A: 必ずしも飲む必要はありません。まずは、毎日の食事からタンパク質をしっかり摂ることを心がけましょう。もし、「食事だけではどうしても足りない」「トレーニング後、手軽に栄養補給したい」という場合には、補助的に利用するのも一つの方法です。女性向けやシニア向けの製品もたくさんありますので、試してみるのも良いでしょう。
Q10: モチベーションが続きません。どうしたら良いですか?
A: そんな時は、目標を小さくしてみましょう。「今日は5回だけやってみよう」とか、「好きな音楽を聴きながらやろう」とか。あるいは、お友達と一緒に始めたり、トレーニングウェアを新調したりするのも気分が変わって良いかもしれません。完璧を目指さず、「できた自分」をたくさん褒めてあげてくださいね。
Q11: 更年期でも筋肉はつきますか?
A: はい、もちろんです。女性ホルモンの減少により、若い頃よりは筋肉がつきにくいと感じることはあるかもしれません。しかし、年齢に関わらず、筋肉は適切な刺激と栄養、そして休息があれば、いくつになっても成長します。むしろ、骨粗鬆症の予防のためにも、私たち世代の筋トレは非常に重要です。
Q12: 他の運動と組み合わせるなら、何がおすすめですか?
A: ウォーキングや軽いジョギングなどの「有酸素運動」と組み合わせるのがおすすめです。筋トレで基礎代謝を上げ、有酸素運動で脂肪を燃焼させることで、より効率的に体を引き締めることができます。筋トレの後に有酸素運動を行うと、脂肪が燃えやすいと言われていますよ。
Q13: 朝と夜、トレーニングするならどちらが良いですか?
A: ご自身のライフスタイルに合わせて、続けやすい時間帯に行うのが一番です。一般的に、朝は体がまだ硬いので入念なウォーミングアップが必要です。一方、夕方は体温も上がっており、運動に適した時間帯と言えます。ただし、寝る直前の激しい運動は睡眠の質を下げる可能性があるので、就寝2〜3時間前までには終えるようにしましょう。
Q14: ダンベルの代わりにチューブを使っても良いですか?
A: はい、トレーニングチューブはとても良い選択肢です。チューブは、伸ばせば伸ばすほど負荷が強くなるという特性があるため、関節への負担が少なく、安全にトレーニングできます。また、軽くて場所を取らないので、旅行先などにも持って行けて便利ですよ。
Q15: ぽっこりお腹にも効きますか?
A: 直接的にお腹の脂肪を落とすわけではありませんが、間接的にとても良い効果が期待できます。ベントオーバーローで背筋が伸びて姿勢が良くなると、内臓が正しい位置に戻り、ぽっこりお腹が目立ちにくくなります。また、基礎代謝が上がることで、体全体の脂肪が燃えやすくなります。
Q16: 将来、寝たきりにならないか不安です
A: ベントオーバーローで鍛えられる背中の筋肉は、体を支える「抗重力筋」の重要な一部です。ここをしっかり鍛えておくことは、将来自分の足でしっかりと歩き、活動的な生活を長く続けるための、何よりの「貯筋」になります。今日の小さな一歩が、10年後、20年後の元気な自分への最高の贈り物になりますよ。
まとめ
大切なポイント
- ベントオーバーローは、美しい姿勢とすっきりした背中を作るための大切なトレーニングです。
- 50代からでも、正しいフォームで無理なく始めれば、安全に効果を実感できます。
- トレーニング効果を高めるには、タンパク質を意識した食事と、質の良い休息が不可欠です。
- 腰や膝に不安がある場合は、必ず医師や専門家に相談してから始めましょう。
ベントオーバーローというトレーニングは、単に背中を鍛えるだけのものではありません。それは、これまであなたを支えてきた「背骨」という名の人生の軸を、もう一度自分の手で、力強く、しなやかに整え直す作業です。鏡に映る、すっと伸びた背筋は、あなたに「まだまだ、これからよ」と微笑みかけてくれるはず。さあ、一緒に、未来の自分への最高の贈り物を始めましょう。
健康に関するご相談は最寄りのかかりつけ医へ
この記事の健康情報は一般的な内容です。効果には個人差があります。体調の変化に注意しながら取り組んでください。また、運動中に痛みや違和感を感じた場合は、すぐに中止し、必要に応じて医師にご相談ください。
監修者プロフィール:樋口 直彦 先生

医療法人藍整会 なか整形外科 理事長。なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 院長。
帝京大学医学部卒業後、大学病院や複数の医療機関で整形外科医として研鑽を積み、院長を歴任。2020年10月より、医療法人藍整会なか整形外科の理事長を務める。骨折治療・関節外科・スポーツ整形外科を専門とし、アスリートから地域住民まで幅広い世代の診療にあたっている。バレーボールSVリーグ「サントリーサンバーズ大阪」のチームドクターとしても活動し、トップアスリートの治療経験を日常診療にも活かしている。また、ICTを積極的に導入し、「お待たせしない診療」を実現。安心して通える医療環境づくりと、地域に根ざした質の高い医療提供を信条としている。




