50代から要注意!命に関わることも…3つの「肺疾患」&セルフチェック

50代から要注意!命に関わることも…3つの「肺疾患」&セルフチェック

更新日:2025年09月18日

公開日:2025年08月24日

50代から要注意!命に関わることも…3つの「肺疾患」&セルフチェック

毎日の呼吸を担う「肺」。加齢や病気で肺の働きが衰えると、息切れなどの症状が出て、生活の質が低下。命に関わることもあります。そこで肺を若々しく保つケア法、50代から特に気を付けたい3つの肺疾患対策を3回に分けて紹介します。

教えてくれた人:宮崎雅樹(みやざき・まさき)さん

みやざきRCクリニック(東京都品川区)院長。2006年、群馬大学医学部卒業。慶應義塾大学病院呼吸器内科助教などを経て、16年から現職。日本呼吸器学会呼吸器内科専門医。著書に『長生きしたけりゃ肺を鍛えなさい』(エクスナレッジ刊)などがある。

実は毎年多くの人が命を失っている「肺疾患」とは?

息を吸って酸素を取り込み、息を吐いて体内の二酸化炭素を排出する……そんな呼吸の働きを担っているのが「肺」。みやざきRCクリニック院長で呼吸器内科医の宮崎雅樹さんは、肺は命や日常生活に直接関わる最も重要な臓器の一つだと強調します。

「現在、日本人の死因の1位はがんですが、その中で最も死亡者数が多いのが肺がんです。また肺炎は5位、誤嚥性肺炎は6位と、死因の上位を肺の病気が占めています。病気や加齢で肺の機能が低下すると息切れや呼吸困難が起こり、生活の質が著しく損なわれます。だからこそ、元気に暮らせる“健康寿命”を延ばすには、肺をいかに健やかに保てるかが鍵になるのです」

そこでぜひ取り組んでほしいのが、肺の機能を損ねる病気を早く見つけて治療すること、そして肺をいたわるケアを始めることだといいます。

肺はガス交換の要。全身の健康を左右します

実は毎年多くの人が命を失っている「肺疾患」とは?

肺は胸の左右にある臓器。吸い込んだ空気は気管から気管支を通り、肺の中に約3億個ある「肺胞」へ。ここで血液中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する“ガス交換”が行われています。

こんな肺の「老化」がある人は要注意

□坂道や階段の上り下りで息が切れるようになった
□風邪の後にせきが長引くことがある
□食事のとき、むせ込むことが多くなった

肺の病気や老化が進むと……

  • 肺がんや肺炎・誤嚥性肺炎などで命に関わることも
  • 加齢や病気で肺機能が低下し、息切れなどで生活の質が著しく低下

“健康寿命”を延ばすには、肺をいたわることが重要。肺を若々しく保つケアを始めましょう!

50代から特に注意したい3つの肺疾患

宮崎さんによると、50代から特に気を付けたい肺の病気は主に3つあります。

1.肺炎(はいえん)・誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

1つ目は「肺炎・誤嚥性肺炎」。細菌やウイルスなどに感染して、肺の中に炎症が起こる病気です。誤嚥性肺炎は飲み込んだものが食道ではなく、誤って気管に入ること(誤嚥)で、唾液中などの細菌が肺の中に入り込み、感染を引き起こします。「誰でも50代後半頃から物を飲み込む嚥下(えんげ)機能が低下し始め、誤嚥を起こしやすくなります。食事のときにむせやすくなったという人は要注意です」と宮崎さん。

50代から特に注意したい3つの肺疾患

症状は発熱やせき、痰、息切れ、胸痛など。ただし、誤嚥性ではこれらの症状に乏しく、なんとなく元気がない、のどがゴロゴロ鳴る、食後に痰が増えるなどがサインのことも。重症例は命に関わります。

【こんな人は注意】
□発熱、せき、痰などの症状が1週間以上続いている
□胸の痛みや息苦しさがある
□食後に痰が多い

2.喘息(ぜんそく)

2つ目は「喘息」。子どもの病気という印象がありますが、喘息患者の約半数は大人での発症。患者数は全国に1000万人と推定されます。「喘息と気付いていない人がとても多い。風邪の後にせきが長引く、線香の煙などでせき込むという人は喘息の可能性があります」(宮崎さん)

50代から特に注意したい3つの肺疾患

気管支にアレルギー性の炎症が起こって気道が狭くなり、ヒューヒューなどと音(喘鳴;ぜんめい)が出て息苦しくなります。ダニなどのアレルゲン、タバコなどの煙や強いにおい、寒暖差などが発作の引き金に。

【こんな人は注意】
□風邪の後、せきが3週間以上続いている
□線香の煙や香水で急にせき込む
□寒暖差がきっかけでせきが出やすい

3.肺NTM症(はいエヌティーエムしょう)

3つ目は「肺NTM症(非結核性抗酸菌症)」です。50代以降の女性に多く、近年患者数が増えています。「土いじりなどをしている痩せた女性に多い傾向があります。初期のうちは無症状で、肺のレントゲン検査で発見される方も少なくありません」と宮崎さん。

50代から特に注意したい3つの肺疾患

土や水まわりに普通に存在する細菌(非結核性抗酸菌)を吸い込むことで発症。症状は長引くせきや痰、血痰、胸痛、倦怠感、体重減少など。無症状のこともあるそう。

【こんな人は注意】
□せきや痰、血痰、息切れ、胸痛、体重減少などがある
□土いじりが好き
□お風呂の湯を毎日張り替えてない

これらの病気を放っておくと肺の機能が低下し、最悪の場合は命にも関わるので注意が必要です。次回は各病気の予防や肺機能を守る生活習慣 を紹介します。


取材・文=佐田節子、イラストレーション=モリナオミ、構成=大矢詠美(ハルメク編集部)

※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年1月号を再編集しています

HALMEK up編集部
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