健康診断でわかる!血管を傷つけるドロドロ「悪玉血液」5つの見分け方

健康診断でわかる!血管を傷つけるドロドロ「悪玉血液」5つの見分け方

更新日:2025年07月28日

公開日:2025年07月17日

健康診断でわかる!血管を傷つけるドロドロ「悪玉血液」5つの見分け方

血管を守るきれいな「善玉血液」と、血管を傷つけるドロドロ「悪玉血液」。あなたの血液はどちらでしょうか? 実は、健康診断の項目で判断することができます。50歳を超えたら特に注意が必要!血液の状態を示す5つのポイントを押さえ、悪玉血液のリスクを早期に発見しましょう。

教えてくれたのは渡邊剛(わたなべ・ごう)さん

ニューハート・ワタナベ国際病院総長。心臓血管外科医。医学博士。ドイツへ留学中、2000件にわたる心臓手術を経験。32歳で日本人として最年少で心臓移植の執刀を担当。2019年から6年連続で年間心臓ロボット手術の執刀数世界一。最新著に『世界一の心臓血管外科医が教える 善玉血液のつくり方』(あさ出版)

血管をボロボロにする「悪玉血液」と守る「善玉血液」

血管をボロボロにする「悪玉血液」と守る「善玉血液」
RilakkuMaxx / PIXTA

前回は、血管を守るカギは血管そのものではなく、流れる血液の質にあり、大切なのは「善玉血液」ということをお伝えしました。今回は、どんな血液が「悪玉血液」なのか詳しく解説していきます。

血管がボロボロになる前に食い止めるには、血管の中を流れる「血液」に目を向けることが大切です。

同じ血管でも、汚い血液が流れれば早くボロボロになるし、きれいな血液が流れれば、血管そのものの加齢による劣化は止められなくても、内側から始まる劣化は食い止めることができます。

きれいな血液なら、少なくとも劣化のスピードを遅らせられるということです。

この血管をボロボロにする汚い血液を「悪玉血液」、劣化を遅らせるきれいな血液を「善玉血液」として話を進めていくことにします。

まずは知ろう!血液の役割と血管トラブルの関係

私たちが毎日元気に活動し、健康に生きていられるのは、血漿(けっしょう)と血球で構成された血液が血管を通って体の隅々までしっかり届けられているからです。裏を返せば、血管にトラブルが発生して狭くなったり、詰まったり、破れたりして完全にストップすると、たちまち動けなくなるということ。

この血管のトラブルの元凶となるのが、「悪玉血液」です。悪玉血液には、血管にダメージを与え、動脈硬化を進行させる成分がたくさん含まれています。

一方、「善玉血液」には、体のあらゆる組織が必要とする成分で構成されています。悪玉血液が流れるのか、善玉血液が流れるのか。あなたの血管の未来は、どちらが流れるかにかかっているといっても過言ではありません。加齢とともに衰えてくる血管の中を、悪玉血液が流れ続けると、やがて血管がボロボロになり、取り返しのつかない事態を招くことになります。

あなたの血管の中には、悪玉血液、善玉血液、どちらが流れていると思いますか。

それを客観的に判断できるのが、実は、健康診断です。血管の状態はわからなくても、流れているのが悪玉血液なのか、善玉血液なのかを推測することができます。

ここからは、健康診断でわかる悪玉血液を5つ解説していきます。

見分け方1:脱水状態になっていないか?

見分け方1:脱水状態になっていないか?
koti / PIXTA

悪玉血液の特徴は、粘り気のあるドロドロした血液です。血液がドロドロになると血流が悪くなり、血管の中に血液に含まれるLDLコレステロールや脂肪がたまりやすくなります。積み重なっていくと、やがてプラークになり、血管を狭くする原因になります。

また、ドロドロした血液は内膜にダメージを与え、血小板を刺激して血栓(血のかたまり)がつくられやすくなります。

血液がドロドロになる要因はいくつかありますが、一つは脱水です。

脱水気味かどうかがわかる健康診断の指標が、血液検査の次の4つ。

  • ヘマトクリット
  • 血清ナトリウム
  • 血清尿素窒素(BUN)
  • 血清クレアチニン

4つの指標が基準値を超えている人は、粘り気のある悪玉血液が流れている可能性があります。

見分け方2:脂質・糖質の摂りすぎではないか?

見分け方2:脂質・糖質の摂りすぎではないか?
tokomaru7 / PIXTA

血液がドロドロになる要因のもう一つは、栄養の摂り過ぎです。

私たちの体には、食事を摂ると、胃や腸で消化吸収され、血管から臓器へ速やかに吸収されるシステムが備っています。しかし、必要以上に摂ると、臓器に吸収されることなく、血液中に滞ることになります。

栄養素のだぶつきがわかる指標が、血液検査の次の4つ。

  • LDLコレステロール
  • 中性脂肪
  • 血糖値
  • ヘモグロビンA1c

コレステロールや中性脂肪が含まれる脂質と、ブドウ糖の元となる糖質。この2つの栄養素は、たんぱく質と並んで私たちの体にとって大切なエネルギー源ですが、摂り過ぎると体に悪い影響を与える栄養素です。

見分け方3:慢性炎症が起きていないか?

悪玉血液が流れるようになると、血管の内膜がダメージを受けます。さらに、プラークがある状態でダメージを受けると血栓ができることもあります。

そんな悪玉血液の血管内での暴走ぶりがわかるのが、血液検査の「CRP(C反応性たんぱく)」と「ESR(赤血球沈降速度)」

炎症は細菌やウイルス、ケガなどから体を守る反応ですが、長く続くと逆に体に悪い影響を与えます。長期的に続いている炎症は「慢性炎症」と呼ばれ、血管を傷つける一因になります。

見分け方4:免疫力が低下、疲れがたまっていないか?

見分け方4:免疫力が低下、疲れがたまっていないか?
アン・デオール / PIXTA

悪玉血液が流れ続けていることがわかる指標は他にもあります。

例えば、血液検査の赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、血小板数(PLT)。

■赤血球
赤血球は、悪玉血液で慢性炎症になると数が減ることがあります。赤血球の数が少なくなるのが、「貧血」という状態。炎症が続くと鉄分の利用が制限され、赤血球がつくられにくくなるのです。

また、赤血球が減ると酸素の運搬役であるヘモグロビンも減るため、十分な量の酸素を全身に届けられなくなります。

■白血球
白血球の数も、悪玉血液が流れ続けていると減ることがあります。

白血球は、炎症が続くと、炎症を抑えるために基本的には多くなります。しかし、炎症が長引くと、白血球をつくる骨髄が疲れてしまい、白血球をつくる能力が低下してしまいます。

■血小板
血小板の数は、悪玉血液が流れ続けていると増えることがあります。血小板は、出血が起こったときに血液をかためて出血を止める成分で、炎症が続くと、炎症による出血を止めるために血小板が増えます。

血小板が増えると問題なのは、血管の中で血栓がつくられやすくなることです。心筋梗塞や脳梗塞を起こすと抗血小板療法が行われるのは、血小板の能力を弱めて血栓ができないようにするためです。

見分け方5:高血圧ではないか?

見分け方5:高血圧ではないか?
taka / PIXTA

血圧とは、心臓から血液を送り出すときに血管の壁にかかる圧力のことです。

健康診断では、心臓が縮んで血液を送り出したときの圧力(上の血圧)と、心臓が休んでゆっくり血液が流れているときの圧力(下の血圧)が測定されます。

心臓から送り出された血液は、血管の弾力性を利用して全身に流れていきます。悪玉血液で血管が硬くなると、壁にかかる圧力が高くなります。また、血管の中が狭くなると、なおさら圧力が高くなります。これが、動脈硬化が進行すると上の血圧が高くなる理由です。

血圧の正常値は収縮期血圧は130mmHg以下、拡張期血圧が90mmHg以下です。上の血圧と下の血圧の差(脈圧)が60mmHg以上あると、動脈硬化が進行している可能性が高いといわれています。

高血圧が血管にとって悪いのは、高血圧による血管の内膜へのダメージが、動脈硬化の第1段階だからです。そして、ダメージを受けている血管の中を悪玉血液が流れれば、動脈硬化が始まります。すでに始まっている人は進行が加速することになりますので、注意が必要です。

次回の記事では、「善玉血液を減らす4つの危険な白い粉とは」を紹介していきます。

※本記事は、書籍『世界一の心臓血管外科医が教える 善玉血液のつくり方』より一部抜粋して構成しています。


■「血液をきれいにする善玉血液の作り方」をもっと読む■

#1:サラサラ「善玉血液」今すぐ善玉度をセルフチェック
#2: 健康診断でわかる!血管を傷つける5つの「悪玉血液」
#3:「善玉血液」を減らす4つの危険な白い粉とは

もっと詳しく知りたい人は、渡邊さんの書籍をチェック!

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世界一の心臓血管外科医が教える 善玉血液のつくり方』(あさ出版刊)

生活習慣の乱れなどによって、血管の老化スピードは速く、実年齢よりも高い血管年齢の人が増えているといわれています。問題は老化した血管ではなく、その中に流れる血液。血管をボロボロにする“悪玉血液”が引き起こすリスクや、高血圧などの生活習慣病を防ぐ“善玉血液”のつくり方を紹介します。

HALMEK up編集部
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