モヤモヤ、不安をすっきり手放す(1) 心のリセット習慣を禅に学ぶ
モヤモヤ、不安をすっきり手放す(1) 心のリセット習慣を禅に学ぶ
公開日:2025年05月04日
教えてくれた人:吉村昇洋(よしむら・しょうよう)さん
広島県にある曹洞宗八屋山普門寺住職。臨床心理士。永平寺にて2年2か月の修行後、副住職を経て現職。坐禅や茶話会、精進料理教室などを通じて禅仏教の教えを積極的に説きながらテレビ、雑誌などで活躍。著書に『禅に学ぶくらしの整え方』(オレンジページ刊)など。
ストレスの元は他でもない、自分の“思考”
「ストレスの元は、人間関係や生活といった環境要因ではなく、そこから生じた自分の“思考”です」と言うのは、禅宗の僧侶で臨床心理士の吉村昇洋(よしむら・しょうよう)さん。
「私たちは、物事を捉えるとき、現実そのものではなく、それをきっかけに生まれた“思考”ばかりに目がいきがちです。例えば心配事は、“こうなったらどうしよう”と想像したことに心が揺れているだけで、それが現実に起きているわけではありません。ストレスとは、そうした自分自身の“思考”に巻き込まれている状態なのです」と語ります。
「考えてしまう…」ときこそ仏教の教えを参考に
とはいえ、考えまいとするほど考えてしまい心が休まらない、という経験は誰しもあるもの。
「だからこそ、仏教では“今、ここ”を何より大切にします。身のまわりに起きている現象を、客観的に眺めてそのまま受け止める、それが禅の考え方です」と吉村さん。考えないようにするのではなく、「生まれた思考を追わず払わず、の姿勢が大切」と言います。
「心が乱れるようなことがあっても、一歩外から客観的に眺めるに徹する、負の感情が浮かんでも無理に消そうとせず、そんな思いを持つ自分を穏やかに許す。その習慣こそが、ストレスや不安に負けない“心の免疫力”につながるのです」
「思い通りにならないのが人生」である
「そもそも仏教では、人は大いなる力=自然の摂理によって生かされているもので、あるだけで尊い=ありがたい、とされています」と吉村さんは言います。
「“四苦八苦”という言葉がありますが、実はあれはもともと仏教用語。生・老・病・死の四つをはじめ、人生は自分の思い通りにならないもので、他人や環境を自分の思い通りに変えたいと考えること自体、傲慢な勘違いとされているのです」とにっこり。
2つの禅の教えで心は整う!
では、暮らしの中でどうすれば不安やストレスを手放し、心を休めることができるのでしょう。
「禅僧は、坐禅をはじめ、食事や掃除などを通じて全身の感覚を“今この瞬間”に置き続けます。それは日常生活のあらゆることを丁寧に行うことに他なりません。そうしているうちに、知らぬ間に心が整い、心身の安定が保たれます」
今回は自然に心が整う「禅の教え」2つをご紹介!
1.何でもない日常作業にこそ丁寧に向き合う
2.ストレスのタネは“追わず・払わず”心の免疫力が上がる
次回はより詳しく、日常生活の中で“今この瞬間”に集中するコツを紹介します。
取材・文=松尾肇子、井口桂介(ともにハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年10月号を再編集しています




