医師一家に生まれたダンサーとして原点に返る

58歳SAM(TRF)が考える健康にいいダンスとは

公開日:2020/07/31

更新日:2020/08/01

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TRFメンバーで、ダンサーのSAMさん、現在58歳!最近は中高年のためのダンスエクササイズ「ダレデモダンス」の活動に力を入れています。その理由を伺いました。また、ハルメクオリジナル版として「健康美ボディダンス」を作ってくれました!

SAM(TRF)さん

ダンサーの草分け的存在、SAMさんにインタビュー

曲が流れると、必ず盛り上がるヒットソングを数々と生み出してきたダンス&ボーカルユニットTRF。ダンサーのSAMさんは、現役のダンサーとしての活動や浜崎あゆみ、東方神起他数々のアーティストの舞台演出を手掛けるだけでなく、後輩ダンサーの育成を行っています。

2016年からは「ダレデモダンス」という、中高年向けの健康増進を目的としたダンスプログラムを制作し、ダンスの楽しさを広める活動に力を入れています。これまで全国で行ったワークショップは、約300回以上。 SAMさん主宰の東京のダンススタジオと首都圏近郊のカルチャーセンターでは、レッスンを受けることもできます。

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛期間中、「ダレデモダンス」を踊ることで、鬱々とした気持ちを晴らせたというコラムニストの矢部万紀子さんがSAMさんに、ダレデモダンスに至る道などこれまでの人生を伺いました。

 

SAMさんが、中高年向けのダレデモダンスを作った理由 

SAMさんは、10年ごとに目標を持って生きてきたと言います。20歳のときは「30歳までに、街を歩いていたら誰もが振り返るダンサーになる」。TRFがスタートしたのが、31歳でした。

次の「自分のスタジオを作る」という目標を42歳で達成した後、次第に「ダンスを知らない人たちにも、ダンスの楽しさをわかってもらいたい」という気持ちが強くなっていったそうです。

50歳のときに飛び込んできたのが、「一般の人に向けて、フィットネスDVDを作らないか」という話、渡りに船と引き受けて出来たのが、ダンスエクササイズDVD「EZ DO DANCERCIZE」です。発売されると、1年足らずでミリオンセラーに。

「5万枚いったら最高だねとメンバーと話していましたからびっくりして、でも世の中が求めているものが少しわかりましたね」とSAMさん。

これが中高年向けダンスエクササイズ「ダレデモダンス」につながっていくのですが、その前に少しSAMさんの実家の話をします。ルーツは埼玉・岩槻藩の御典医で、祖父も父も兄もいとこも医師という、医師一家です。いとこの一人、古川俊治さんは医師で参議院議員でもあります。ちょうどDVD「EZ DO DANCERCIZE」が発売された頃、SAMさんは古川さんから「日本は高齢化社会に向かうから、60歳以上の人のためのダンスが必要になる。いつか作ろうよ」と言われたそうです。

「彼の言葉がずっと頭に残っていて、どういうダンスだったら踊れるのか考えていました」とSAMさん。

その頃、岩槻市の夏祭りで「EZ DO DANCERCIZE」のレクチャーをすることになりました。その会場に来たのが、もう一人のいとこ、丸山泰幸さん。岩槻南病院の院長で循環器が専門の医師です。

SAMさんの指導を見た丸山さんは、「ダンスは心臓疾患の患者さんのリハビリになる」と直感。すぐSAMさんに専用プログラムの作成を依頼しました。

古川さんの言葉から中高年向けダンスに取り組み始めたSAMさんは、試行錯誤の真っ最中。「それなら、心臓手術をした患者さんたちと一緒に作らせてくれないか」と毎週1回、岩槻南病院に通い始めました。2016年のことです。

まずは、心拍数などを測りながら動いてもらうことから始めました。理学療法士や医師らの意見も聞き、体の機能改善を目指して作り上げたのが「ダレデモダンス」です。

ダレデモダンスによる岩槻南病院での心臓病のリハビリ
現在も岩槻南病院では週1回、心臓病患者のリハビリとして「ダレデモダンス」に取り組んでいます

健康になるという目的の一方で目指したのは、「ダンス」としての完成度。「安全だけど、かっこいいステップを作る。難しいと思わせない」ことも求めました。テンポを落とし、強度はラジオ体操とか家の掃除と一緒くらいに。

これなら体に無理なく、有酸素運動ができます。最初に完成させたのは、TRFのヒット曲「BOY MEETS GIRL」。「地元の病院で作らせてもらったんで、みなさんTRFの曲がいいって言ってくださるんですよ」とSAMさん。

 

「この年でダンスするなんて、思わなかった!」

TRFサムさんによる毎月開催される、岩槻市でのワークショップの様子
毎月開催される、岩槻市でのワークショップの様子

今ではオリジナル曲を含めて20曲ほど「ダレデモダンス」用のプログラム(振り付け)があります。岩槻ではシニアを対象に月1回、SAMさんが教えるワークショップが開かれています。参加者の平均年齢は75歳。これまでの最高齢は94歳です。

「最初はダンスの可能性を知りたい気持ちが強かったんです。EZ DO DANCERCIZEが一般の方に喜んでもらえたように、高齢者の方にも受け入れられるだろうか知りたいと。続けていると、来てくださる方がものすごく喜んでくださった。『この年で、ダンスするなんて思わなかったけど、本当に楽しい』と言う方々の顔を見ているうちに、死なせちゃいけない、元気でいてもらいたいって、そういう気持ちが強くなったんです」

医師一家である丸山家の一員だということを意識しますか、と尋ねると、「ああ、思いました、思いました」と返ってきました。

「小さい頃から、患者さんのために夜中でも起きて往診に行く親父の姿を見ていたので、人のためにならなきゃっていう意識があったんじゃないですかね、無意識のうちに。まず地元から元気にしていこうとワークショップを続けていますが、すごくやりがいを感じています。100歳まで元気でいましょう。毎回、そう言っています」

 

ダレデモダンスは、体にいい動きを取り入れている 

TRAサムさん

「ダレデモダンス」には、SAMさんのダンス人生のエッセンスが入っているそうです。ちょっと難しいけど達成感が得られるもの、難しそうに見えても実は踊りやすいもの。両方を入れつつ意識しているのは、体にいい動き。その話をしながらSAMさんは、「Overnight Sensation~時代はあなたに委ねている~」の足の動きを見せてくれました。

私がホームステイ期間中に夢中になった曲です。下に沈みながら腕でリズムを取り、右へ大きく2歩踏む動きがあります。それはひざの屈伸運動になっていると説明してくれました。

「屈伸には、骨密度が上がる効果があるんです。だからこのパーツは、ひざや腰まわりの筋力維持と骨粗しょう症の予防になります。なおかつダンスとしてかっこいい」とSAMさん。

続けてステップが4つ入ります。かかとを上げてのステップで「こういう動きは体幹に効きます」。足が動くだけですが、SAMさんがするとかっこいいです。

その後は、片足ステップからのツイストです。手と足がスムーズにつながらず、苦手だったと告白し、「脳と体をつなげる作業だった」と感想を伝えました。

「それがすごくいいんですよ。足と手を動かすことに集中していますが、脳がフル回転しているんだと思います。音楽に合わせ、ブレイクするところでは動きもブレイクに合わせる。こういうことが認知症予防につながります」

だからこそ、とにかく1曲踊りきってもらうことが大切で、そうなると自信がつくし、楽しみになる。月1回だけでも有効で、ダンスの時に着る服装を決めるとすごくいい。それを着よう、来週はダンスの日だとワクワクして、ダンスに行けば知り合いも増えて、ますます楽しみになる。そういうことを多くの人に大切にしてほしいと言います。

だから「途中で諦めてしまう人をワークショップで見ることがあると、めちゃくちゃつらいです。ダレデモダンスと言っている以上、それは僕の負けなんです」

 

50代からは、痩せるのではなく引き締めよう!

58歳のSAMさん自身の体を引き締める秘訣も、「ストレッチ」にあるそう。 
SAMさん自身の体を引き締める秘訣も、「ストレッチ」にあるそう

最後に、今回SAMさんがハルメクWEB用にオリジナルで制作した「健康美ボディダンス」について聞きました。ストレッチの動きもたくさん入っている、とのことですが。

「例えば腕を伸ばすストレッチの動きでも、実は腕以外の筋肉も使っていて、インナーマッスルを鍛えることができるんです。中から鍛えることで、体も引き締まります。そしてマッサージ効果、リラックス効果にもつながります」

女子的には、やはり「痩せる」とかの効果だとうれしいですが、と続けると、「僕、痩せるってダメだと思っているんです」と意外な反応が。

「このダンスは痩せるのでなく、引き締めます。ダイエットは必要なものも失い、結果的に体を弱くします。運動して引き締めていけば、余計なものが削ぎ落とされて強くなります」。

笑って「僕、とんこつラーメンだろうと食べたいものは我慢せず食べる主義です」と続けるSAMさん。一気に親近感がアップし、これからもSAMさんについていこうと思ったのでした。

 

SAM(TRF)さんのプロフィール

15歳でダンスの面白さを知り、10代でディスコダンス、ブレイクダンスに出会う。単身ニューヨークへ。帰国後、TRFコンサートの振り付け、構成、演出はもちろんV6、浜崎あゆみ、BoA、東方神起、郷ひろみ他アーティストの舞台もダンスクリエイターとして手掛ける。2018年に行われた日産スタジアムでの東方神起ライブは、史上初3日連続計22万人を動員。総合演出で観客を魅了する。

2016年、一般社団法人ダレデモダンスを設立、代表理事に就任。この団体での活動を通じて、誰もがダンスに親しみやすい環境を創出し、子供から高齢者まで幅広い年代へのダンスの普及と質の高い指導者の育成、ダンサーの活躍の場の拡大を目指す活動を始めている。最近では、日本最古の伝統芸能「能」の舞台にダンサーとして初めて出演した。

撮影=中村彰男、取材・文=矢部万紀子

 

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※SAMさんの教える「健康美ボディダンス」のポイントと、インタビュー第二弾を公開予定。更新のお知らせは、ハルメクWEBメールマガジンでお伝えします。メールマガジンのご登録は、ページ下部の<無料会員登録はこちら>からお願いします。

 

矢部 万紀子

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。「アエラ」、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、書籍編集部長、11年から「いきいき(現ハルメク)」編集長をつとめ、17年からフリーランスに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)、『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)

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