50代の肌悩み、美容医療に頼っていいかしら?#4

ほうれい線悩みにも!たるみを美容医療で解決するには

公開日:2021.06.21

更新日:2024.03.14

取材先:麻布ビューティクリニック院長 加藤聖子さん

取材先:麻布ビューティクリニック院長 加藤聖子さん

都内総合病院にて整形外科を中心として麻酔科、救命救急医療などを習得。その後都内大手美容外科に勤務しフェイスリフトや脂肪吸引、目・鼻形成術など数多くの手術を執刀。2008年麻布ビューティクリニック設立。アラガン認定指導医 / 日本抗加齢美容医療学会会員 

気になる「たるみ」はなぜできる?

今回この「美容医療特集」を取材している筆者も、50代前半のハルメク世代。年々フェイスラインがぼやけてくる。写真を撮ると、顔と首の境目がない!といった悩みが出てきます。これって「たるみ」ですよね? そもそも、なぜ「たるみ」が出てくるのでしょうか?

それは、肌内部の衰えが主要な原因です。コラーゲンやエラスチンといった肌を支える成分が減少してしまうこと、表情筋が衰えてしまうこと、皮下脂肪が肥大して重力とともに下がってしまうこと。これらが複合的に重なって、重力に逆らえずにたるんでしまうそうです。

とはいえ、ブルドックのようにだるだるにならないのは「リガメントがあるから」と、麻布ビューティクリニック院長の加藤聖子さんは言います。

白い部分がリガメントのある場所(※イメージ)
白い部分がリガメントのある場所(※イメージ)

リガメントとはじん帯のこと。これが、皮膚や表情筋を、骨とつないで脂肪を支えています。

「マリオネットラインが現れる部位にはリガメントがあって、下垂してきた肉が止まるようになっているんですね。リガメントがないと、あごの皮膚がどんどん伸びていくようなイメージをしてもらえばわかりやすいでしょう(笑)」

コワい、コワい。リガメントがあってよかった。いや、そこに肉がたまるのはイヤです!

「ほうれい線のたるみ」対策はヒアルロン酸注入で

麻布ビューティクリニックの場合は、たるみケアは注射による施術をおすすめしています。

「メスを使ったオペを行えば劇的に変わるし、長持ちもしますが、どんな名医にも失敗するリスクはあります。その点、注射による施術はリカバリーができる。ダウンタイムの少なさや手軽さなどを考えると初心者の方にもいいと思います」と加藤さん。

具体的にはどういった施術になるのでしょうか?

「ほうれい線が気になるからといって、ほうれい線に直接ヒアルロン酸を注入するだけというのは古いやり方。例えば、髪型をポニーテールにすると顔のたるみは若干解消されませんか? それと同じで、こめかみや頬の外側にグミくらいの硬さのヒアルロン酸を注入して顔を引き上げた上で、ほうれい線の部分には柔らかなヒアルロン酸を注入します」

 
たるんで出来たしわ部分をふくらますようにヒアルロン酸を入れても不自然ってことですね。そもそも加齢とともに、皮膚深部のコラーゲンを生成する力が弱まるため、肌のふっくら感が減ってしまうものなのです。そこに、ぐいぐいヒアルロン酸を入れると顔がパンパンになる、という失敗例も。

オーバーフィルドシンドローム

「頬がパンパンになった姿は、オーバーフィルドシンドロームと呼ばれています。患者さんが真顔の状態のときにヒアルロン酸を注入すると、にっこり笑ったときにその部分が盛り上がってパンパンに見えるんです。患者さんのいろいろな表情を見て注入を見極めないと、とんでもない結果になりますね」(加藤さん)

そもそも、ヒアルロン酸とは?

そもそも、ヒアルロン酸とは?

ヒアルロン酸は自分の体内にも存在する成分なので、注入しても違和感がないというのが利点です。種類も豊富で、注入する部位によって使い分けができます。通常は、柔らかいヒアルロン酸は3か月~半年ほど持ちます。硬いヒアルロン酸は半年~2年ほど。長期持続型だとさらに持続力が伸びることも。

また、溶かす薬剤があるので、気に入らない場合は取り消すことも可能だそうです。

「くれぐれも見極めて使わないと、柔らかく仕上げる部分に硬めのヒアルロン酸を入れたり、その逆だったりすると失敗してしまいます。また、針が太目なので内出血が起こると目立ちやすい。それに滅多にないことですが、万が一血管内に入ると大きな副作用が生じるというリスクもあるので、クリニックはきちんと選びたいですね」(加藤さん)

日本では、ヒアルロン酸製剤として厚生労働省から認可を受けているのは、アラガン社の「ジュビダームビスタ(R)」シリーズです。ヒアルロン酸の価格の安いクリニックでは、品質保証がされていない製剤が使われることも考えられますので、しっかり確認をした方がいいでしょう。

「マリオネットラインのたるみ」取りの施術は

「マリオネットラインのたるみ」取りの施術は

マリオネットラインも同様に、頬の外側に硬めのヒアルロン酸を入れて持ち上げてから、しわの溝にヒアルロン酸を注入して埋めます。

ただ、余分な肉が上から落ちてきているのでかなりリフトアップすることが必要になるため、ヒアルロン酸を使う量が増えてしまい、金額的にもお高くなってしまうのが難点! 「しわ」と同様、早い処置が正解といえます。

「フェイスラインのたるみ」も注射で可能

「フェイスラインのたるみ」も注射で可能

フェイスラインのたるみというと、メスを使った「フェイスリスト」が選択肢の一つにありますが、施術代が100万円ほどかかることや、入院をともなったりダウンタイムが長いことを考えるとなかなか手を出しづらいものです。

加藤さんは「注入によっても、フェイスラインのたるみは改善できる」と言います。

「あご下の骨に沿って硬めのヒアルロン酸を注入することによって、フェイスラインを作り出せます。併せて首のしわも多少改善されますよ」

「目の下のたるみ」は骨格上の問題

「目の下のたるみ」は骨格上の問題

「加齢のせいだけではなく、目のまわりには骨がありますよね。若い頃から目の下にくまがあるという方は生まれつき目の下にたるみができやすく、それが重力に従って落ちてきます。目の下の脂肪を取る施術もありますが、顔のふっくら感が失われる年齢なので、あまりおすすめはしません。また肌が伸びてたるむのが原因なので筋肉の動きを止めるボトックス注射ではどうにもなりません。目元を引っ張ってあげると、たるみがなくなりますよね。同じように引っ張って上げるケアが必要。また当院ではベビーコラーゲン療法があります」(加藤さん)

ベビーコラーゲンは、赤ちゃんだけが持つ特殊なコラーゲンを多く含み、自分の肌の再生能力を促す効果があるのだそうです。ヒアルロン酸と違い、皮膚の薄い目の下でもふっくらと自然に仕上がります。

「年齢とともに骨も減って小さくなります。すると、皮膚が余っていく。どうしてもたるみますよね。ですから、減った土台の代わりに硬めのヒアルロン酸をいれて持ち上げる。それから溝になったしわをヒアルロン酸やコラーゲンで埋めるという組み合わせの施術がおすすめと言えます」

しわ治療と同様、ハルメク世代にベストなのはHIFUと注射の複合ケアのようです。

フェイスライン、マリオネットライン、目の下のたるみ施術症例

麻布ビューティクリニックでの施術例。ヒアルロン酸でリフトアップ、目の下のクマはベビーコラーゲンで治療。長期持続型ヒアルロン酸4本と、ベビーコラーゲン1本で計44万円。ヒアルロン酸を目の下(ゴルゴライン)、マリオネットライン、フェイスラインに注入し、ベビーコラーゲンは目の下のたるみに使用。施術医師:梶原先生)

注射による施術、気になる痛みは?

注射による施術、気になる痛みは?

「注射で注入する」というと痛みはどのくらいなのか、不安になります。

「私自身も痛みにすごく弱いので、注射する前にその部位をよく冷やすようにしています」と加藤さん。筆者もヒアルロン酸注入やボトックス注射の時は必ず表面麻酔をしてもらった上に、冷やしてもらいました。

体験談として、ヒアルロン酸注入はぐーっと注入されているような鈍い痛みがあるのですが、冷やしておくことでかなり回避されているのでは?と思います(麻酔なしでやったことがないので比較できませんが)。

「痛みの感じ方は人それぞれ。ヒアルロン酸注入を麻酔なしで受ける患者さんも多いですよ。ただ、骨に近い部位は痛いと思います。注射の針の痛みはワクチン接種する時と同じくらいでしょうか。冷やすことで無痛状態にするとハードルが下がると思います。また、打つ直前にぶるぶると皮膚を動かして、注射による痛みの信号が脳に伝わることをカムフラージュしながらピッと打ちます」(加藤さん)

とりあえず注射が苦手、という人には、肌表面の麻酔と、物理的に部位を冷やすという組み合わせをお勧めします。

誰よりも痛みに弱い筆者としては「その瞬間の痛みさえ越えればキレイになる」という結果が待っているので、耐えられました。

(参考)麻布ビューティクリニックの施術費

ヒアルロン酸注射(常時10種類以上あり、通常タイプと長期持続型を用意)

  • 0.5本  4万4000円(長期持続型 6万500円)
  • 1本  8万2500円(長期持続型 11万円)
  • 2本セット13万2000円(※2本以上使用する場合、1本あたりが6万。長期持続型は1本8万円で2本セットは 17万6000円)

すべて税込(初診料・再診料・針代・麻酔代込み)、加藤医師指名の場合は追加料金あり。
※ヒアルロン酸は1年に1回(ただし、2~3本使うので高い)

HIFUウルトラフォーマーⅢ(点状に無数の熱作用を与えてたるみを解消するマシン)

  • 全顔(額から目まわり含む) 12万1000円
  • 両頬+顎下 8万8000円
  • 目元(額から目まわり) 3万3000円
  • 首元(浅層) 3万3000円

すべて税込(初診料・再診料込み)※HIFUは半年に1回程度。ダウンタイムほぼ無し

ベビーコラーゲン

  • ベビーコラーゲン 0.5本 6万6000円
  • ベビーコラーゲン 1本  13万2000円

すべて税込(初診料・再診料・針代・麻酔代込み)、加藤医師指名の場合は追加料金あり。
※ダウンタイムは、腫れ、内出血など、1〜2週間ほど。

※この記事は2021年6月の記事を再編集して掲載しています。

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中尾 慧里

なかお・えり 1966(昭和◎41)生まれ。ビューティライター。チャイルドボディセラピスト1級取得。女性誌、WEBにて美容に関する記事執筆、コスメ開発のコンサルティングなども手掛ける。インスタグラム@erierikisekiをゆっくり更新中。

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