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- 50代、初めての美容医療で失敗しないための基礎知識
50代、気になるシミ・しわ・たるみ。でも、スキンケアには限界がある! 最近は、美容医療が身近になり、施術を受けている人も増えています。初めてだからこそ失敗したくない、インチキクリニックって本当にあるの? 美容医療の基礎知識を学びましょう。
取材先:グリーンウッドスキンケアクリニック院長 青木 律さん
東京都立川にある、グリーンウッドスキンクリニック立川院長。医学博士、日本形成外科学会認定 形成外科専門医、日本美容医療協会理事長、日本美容外科学会理事、顔と心と体研究会理事、他
シミ・しわ・たるみ、美容医療に頼りたい人が増加!
以前に比べて、「美容医療」に対する抵抗が減ってきています。60代以上の女性の4人に3人以上が「美容医療を試してみたい」と回答したというデータも(60代、70代の女性600名を対象・2021年「聖心美容クリニック調べ」)。
顔にメスを入れる手術は怖いけれど、注射や医療機器を使ってできる治療が増えていることもあり、エイジングケア目的で美容医療を受けることへのハードルは下がってきているようです。
エイジングに悩む女性が美容医療を受けたい三大ポイントは、なんといっても「シミ」・「しわ」・「たるみ」。
「コロナ禍で不要不急のエイジングケアの美容医療を受ける人が少なくなった面はあるものの、マスクで隠せるシミの施術を受ける人は増えています」と話すのは、日本美容医療協会理事長でグリーンウッドスキンクリニック立川院長・青木律さん。症状ごとに治療法は多種多様で、選択肢が幅広くなっているからこそ、きちんと知っておきたい! どんな病院でどんな治療法を選んだらいいのか、失敗しないための注意点を青木さんに教えてもらいました。
美容医療はどんな施術がある?化粧品・エステとの違いは
美容医療ではレーザーやHIFU(ハイフ・切らないリフトアップ治療とも呼ばれる、高密度焦点式超音波の略称)など医療機器を使って照射するもの、ヒアルロン酸やボトックス注射などのメスを使わないものから、二重まぶたやリフトアップなど美容整形レベルの施術まで、幅広いメニューがあります。治療法は施設によって異なりますが、手軽にできるものも増えています。
美容医療は美容皮膚科、美容外科、美容内科などを中心に受けることができます。ただ、施術を受ける側からすると、エステと美容医療の違いはわかりにくいもの。エステでも、脱毛や美肌効果をうたった機器による施術を行っているのを見掛けることがあります。
「美容医療は、あくまでも医療の一部です。エステなどとの大きな違いは3つあります。1つは、美容医療は効果・効能を謳えること。2つめは、医薬品として認められた薬を処方できること。3つめは、トラブルが起きたとき適切な対処ができることです」と青木さんは言います。
本来、美容医療は目的がはっきりとした治療をするところであるのに対して、エステは“心地よさ”や“リラックス”を求める場所。すみ分けはできているはずなのです。
「ところが広告などのイメージでは、化粧品やエステは『シミが消える』など医療でないとかなわない効果・効能に結びつけるように見せる傾向があり、“美容医療は怖くない”ように見せる傾向があります。これが、違いをわかりにくくしているのです」(青木さん)
美容医療の相場は?
やっぱりエイジングケアの施術を受けるなら、効果が高い美容医療が安心! でも気になるのがお値段です。やっぱり保険適用ではないから、それなりに高いのでは……。
「費用は医療機関によって多少の幅はありますが、ある程度の相場はあります。相場よりも異常に高い、あるいは異常に安い場合は要注意。高額な治療費を納得して支払ってしまい、クーリングオフの期間(書面を交付されてから8日間)を過ぎてしまったら、取り戻すことはできません。また極端に安い場合は、劣悪な薬や日本で承認されていない薬が使われている可能性もないとはいえません」(青木さん)
美容医療の相場は以下の通り。参考にしてください。
【手術】
数十万円~百数十万円。例:フェイスリフト手術の場合、効果は10年ほど
【レーザー治療や光治療など器械を使ったもの】
1回数万円~十数万円。例:シミは照射回数や範囲によって違う。光治療は5〜6回で効果が出やすい。
【ヒアルロン酸やボトックスなどの注射】
数万円~十数万円(1本の値段)。例:ボトックスは1回で効果の持続は半年ほど、ヒアルロン酸は通常1回の施術で4〜5本程度を使用し効果の持続は1〜2年。
「手術以外の注射や機器による施術は、複数回の治療が必要なものが多いですが、シミ取りのレーザー治療は1回で終わることも。エイジングは日々進行するものなので、基本的には、継続的なケアが必要だと心得ておきましょう」(青木さん)。
インチキクリニックも多発!だまされないためのチェックポイント
「施術料が安いと思って受けたら、2回目以降、高額な請求をされた」
「施術後、トラブルが起きたときに対処してくれなかった」
こんな声を聞くこともあります。信頼できるクリニックを見極めるポイントはあるのでしょうか。
広告や口コミは鵜呑みにしないで!
「まずは、派手な広告やクチコミを鵜呑みにしないことです。とくに美容専門のクチコミサイトなどは、クリニックからの広告費で運営されているものと考えた方がいいでしょう。検索してすぐに表示される広告ではなく、クリニックのホームページを見てしっかり情報収集することが大切です」と青木さん。
ホームページなどでは、どこをチェックすればいいのでしょう?
医師のプロフィール内容もチェックを
「注目すべきはクリニックの医師のプロフィールです。どの病院の何科でどのくらい経験を積んだかは一つの目安になります。正直なところ美容医療は、バックグラウンドがない医師であっても入りやすい領域です。美容=形態を治療する専門家は形成外科ですが、それ以外にも経験を積んだ皮膚科や婦人科、老年内科などの専門医が行うのであれば安心できると思います」
すぐお金を払うのはNG!検討時間を持とう
次に、実際に相談に行ったとき、契約や施術を急かすようなことをしないかどうかも大事。
「例えば『今日この場で契約すれば安くなる』などと言って、契約を迫るケースは注意です。高額な治療の場合は、とにかく一度家に持ち帰り、頭を冷やした方がいいでしょう。冷静になり、可能な限り理解をしてから契約を結ぶようにしましょう。また、料金を全面的に打ち出していても、本当にその価格で治療できるか確認することも忘れないでください」(青木さん)
美容医療では、看護資格も医師資格も保有していないが、患者の相談役として、カウンセラーが存在することも。それ自体はいいのですが、カウンセラーがどこまで関わっているかもチェック。
「最後のチェックポイントとして、治療の相談や説明をカウンセラーのみがしているところは要注意。必ず医師が直接診察し、あなたにふさわしい治療を相談して決め、その上で医師が自ら説明してくれるところは信頼できます」
満足度の高い施術を受けるためのオーダー方法
エイジングケアのオーダーでは、シミ・しわなど、気になるところをピンポイントで伝えてしまいがち。
「ピンポイントで伝えてしまうと、気になる部分を解消するだけの治療になってしまいかねません」と青木さん。ほとんどの人は、自然に、美しく、パッと見たときに若々しく見られたいはず。では、どうやってオーダーすればいいのでしょうか。
実は、上手なオーダー方法や相談の仕方は、意外に簡単なのです。自分で治療する部位を決めてしまわず、悩みをシンプルに伝えればよいのです。いくつか例を挙げながら、ポイントをお伝えしましょう。
ポイント1 漠然とでもいいのでイメージを伝える
- NGな伝え方
「目のたるみをとりたいんです」
「笑うと目尻のシワが多くて嫌」
「ほうれい線が気になります…」
- GOODな伝え方
「大きな変化ではなく今よりすこしだけ若く見られたいのですが、どんな施術がいいでしょうか」
「最近、疲れたように見えると言われるのが嫌なんです」
「年齢よりも老けてみられてしまうのですが…」
「孫におばあちゃんの顔が怖いっていわれたのでそれをなんとかしたいです」
「イメージを伝えると、医師はいくつか提案をしてくれます。自分では意識していなかったけれど老けて見えるポイントや、逆に本人が嫌だと思っていても、客観的に見ると気にならないポイントもあります。治療で何ができるか、アドバイスできることが広がるので、テーマを絞らずに話してみてください」(青木さん)
治したい部分ではなく、なりたい姿を伝えることで、より満足度がアップする治療ができそうです。
ポイント2 用途、目的があれば伝える
「娘の結婚式がある」「同窓会がある」「年下のボーイフレンドができた」など、用途がはっきりしている場合は、伝えておくとそれに合わせた治療ができます。
「例えば娘さんの結婚式であれば、主役は娘さんです。花嫁の母として娘の晴れ舞台に合わせるにはどうしたらいいか、一緒に考えます。クラス会であれば、同級生がたくさん集まる場。突出して若々しいのは不自然なので、派手にならない程度に若々しく、自然な美しさをアピールできるような治療を提案します」(青木さん)
確かに、治療をするにしても、ただ若く見られたいわけではありません。目的に合った治療を先生と相談しながらできるのは、心強い!
「余談ですが、意外に多いのが、『ご主人が亡くなったから施術をしたい』というケース。今までご主人に尽くしてきたから、まとまったお金を自分のために使いたい、とおっしゃる女性がいます。まとまったお金をどう施術に使うかは自由です。もし、100万円が予算だとしたら、100万円すべてを使いフェイスリフトの手術をして一気に20歳ほど見た目を若返らせる方法もあれば、毎年20万円ずつ使って5歳ほど若く見えるメンテナンスを定期的にする方法もあります。美容医療はその人によってアレンジできるので、遠慮せずに相談してみてください」(青木さん)
ダウンタイムはどうなる?理解しておくべきリスクは
施術を受けた後、気になるのが、肌の状態が元に戻るまでのダウンタイム。どのくらいかかるのでしょうか。若い頃よりもダウンタイムも伸びるというのは本当でしょうか?
「ダウンタイムには大きく分けて2段階あります。シミ取りレーザーの場合なら、一つは施術後かさぶたが取れるまでの時間で、通常は1週間程度です。二つ目は、肌が生まれ変わるターンオーバーの時間。つまり普通の皮膚の色に戻るまでの時間で、早ければ1か月程度。
ただし年齢を重ねると、この時間が1.2〜1.5倍程度まで伸びます。また、年齢は関係ありませんが、肌質によっては炎症後に色素沈着が起きてしまうこともあり、戻るまで半年程度かかります」(青木さん)
また、注射の施術をする場合は、内出血をする可能性も知っておいてほしい、と青木さんは説明します。
「年齢を重ねると、内出血をしやすくなります。例えば顔に注射をした場合、青タンができる場合もありますが、通常は1週間程度で消えます。ところが、年を重ねると消えるまで時間がかかることがあります。1週間後に同窓会があるなど、目的があって施術をした場合は、ダウンタイムのことを考えて、余裕をもったスケジュールで施術を受けましょう」
首のポツ、イボ、まぶたの下垂など保険適用になる施術も!
美容医療はすべて自費診療だと思っていませんか? 実は保険が適用になる施術もあるんです。医師が診断した上で、医学的に必要性があれば保険が適用になります。
「ひとことで言えば、日常生活を送る上で支障が出るものは保険適用になります。ただし、治療方法によっては非適用になることも。たとえば皮膚腫瘍があり、引っかかって出血する場合。手術で切除すれば保険適用ですが、レーザーで切除した場合は、病理検査ができないため、非適用になります」(青木さん)
保険適用になる主なものを紹介しておきます。
- 皮膚腫瘍(加齢による変化で、皮膚悪性腫瘍との鑑別が必要、などの場合)
- 出っ張ったほくろ(視野にかかる、引っかかるなど日常生活に支障が出る場合)
- 生まれつきのあざ
- 眼瞼下垂(頭痛、肩こりなど身体症状がある、視野が狭くなる場合など)
- イボ、稗粒腫、粉瘤
困った症状があったら、保険適用になるかどうか、一度医師に相談してみましょう。
※この記事は2021年6月の記事を再編集して掲載しています。
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