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素朴な疑問桃太郎の鬼って岡山では愛されているって本当?
学生時代の友人が結婚して岡山県へ引っ越しました。その友人と久しぶりに会うことになり、岡山名物「きびだんご」を食べながらおしゃべりに花が咲くうちに、話は桃太郎に。
桃太郎といえば鬼退治で有名ですが、実は岡山ではこの鬼も桃太郎と同じくらいに愛されているというではありませんか。スーパーヒーローの桃太郎はともかく、敵役の鬼も愛されているってどういうこと?
鬼が愛されている理由について調べてみました。
私たちが子どもの頃から知っている昔話としての『桃太郎』は
「桃から生まれた桃太郎が、猿、キジ、犬の仲間を連れて、悪事をはたらく鬼を退治するために鬼ヶ島へ向かい、そこで勇敢に戦って勝利する」
というストーリーで広く知られています。
ところが、この桃太郎の話には諸説あり、その中の1つには悪者であったはずの鬼が実は善人、というような話もあるのです。
「吉備の国(現:岡山県)で恐ろしい鬼たちが暴れまわり、多くの村人たちを襲っている」という話を聞きつけた桃太郎が、猿、キジ、犬とともに鬼のボスである温羅(うら)との戦いに勝利します。ところが、その温羅に助けられたという少年が現れ、恐ろしいと思っていた温羅には妻がおり、里の人たちを助け、幸せを願っていたという一面を知ることになる」という、鬼の優しい一面を伝えた話。
また、温羅(うら)は鬼として人々を困らせる存在として桃太郎の話などでは知られていますが、実は実在する渡来人だったという説もあります。
日本がまだ青銅器しか持っていなかった飛鳥時代に、百済からの亡命者の中に、製鉄の技術を持った「温羅(うら)」の一族がいました。
この一族は、当時誰も知らなかった製鉄技術などを伝え、地元の人たちに溶け込んで町の発展にも貢献したと言われています。しかしそれを妬む一部の人からは鬼と呼ばれて嫌われていたとか。温羅を慕う地元では今も「うらじゃ祭り」といわれる祭りが、毎年夏に大々的に行われています。
昔の伝説が少しずつ中身を変えて伝承されるのはよくあること。でも全国的に広く知られている桃太郎の話以外に、敵役の鬼に関する話も諸説あったとは、まったく知りませんでした。
おとぎ話上では、桃太郎と対決する鬼、一方では新しい技術を伝えた渡来人。どちらであっても、大昔の人々が岡山の地で行っていたことが今でもしっかりと伝えられているのですね。岡山を訪れる際には、そんな温羅を祀る神社にもぜひ足を運んでみたいなと思いました。桃太郎側からではなく、温羅へにも想いを馳せてみるとまた違った物語が発見できるかもしれません。
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イラスト:飛田冬子
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