- ハルメク365トップ
- 暮らし
- 生きるヒント
- 苦しくても美しく咲く!女優「高峰秀子」さんの生き方
「ハルメク」でエッセイ講座を担当する随筆家・山本ふみこさんが、心に残った先輩女性を紹介する連載企画。今回は、昭和の銀幕スター「高峰秀子」さんです。苦しい家庭環境の中で、最愛の夫と共に、最後まで美しく咲き続けた、その秘訣とは……。
好きな先輩「高峰秀子(たかみね・ひでこ)」さん
1924-2010年 女優
5歳で銀幕デビュー。木下恵介(きのした・けいすけ)監督「二十四の瞳」、成瀬巳喜男(なるせ・みきお)監督「浮雲」、小津安二郎(おづ・やすじろう)監督「宗方姉妹」ほか多数の作品に出演。79年に女優を引退し、エッセイストとして活躍。夫は映画監督の松山善三(まつやま・ぜんぞう)。
どんなことがあっても堂々と生きていけばいい
「身辺整理にメドがついたころから、私たちは、今後の(老後の、というべきか)生きかたについて話し合った。『生活を簡略にして、年相応に謙虚に生きよう』。それがふたりの結論だった」(『にんげんのおへそ』新潮文庫)
これを書いたのは、女優にして名文筆家だった高峰秀子。その存在をわたしにおしえたのは、母でした。
もともとファンであったそうですが、若い頃一度ならず二度までもひとから「高峰秀子に似ている」と云(い)われたのも、母にしたら胸躍る出来事だったらしいのです。
お世辞混じりにこんなことを云われるなんざあ、誰にもあることじゃないでしょうか。わたしだって子どもの時分、吉永小百合(よしなが・さゆり)に似ていると云われたことがあるくらいです(学生時代はもっぱら西城秀樹〈さいじょう・ひでき〉でした)。
母に勧められ、高峰秀子の自叙エッセイ『わたしの渡世日記』(1976年)を読んだ日のことは忘れません。
当時社会人になりたてのわたしは、その正直さ、きどらなさ、ユーモア、悲しみを知るひとだけが持つやさしさ、才気に仰天したのです。わたしもきっと、こういう大人になりたいと思いました。
本のなかにあらわれる複雑な家庭環境や、義母との闘い、映画スター稼業の苦労にも驚きましたが、どんなことがあったって堂々と生きてゆけばいいんだと、胸のここに勇気を注入されたのでした。
名画座に出かけ、闇のなかで女優・高峰秀子をみつめたこともあります。どんな仕事も真剣勝負。女優はそれをみせつけるのでした。
苦労の土壌からうつくしい花を咲かせた女優
さて、はなしをもとにもどしましょう。高峰秀子と映画監督・松山善三夫妻の、老後の生活の簡略化計画はどうなったのか。
家族同然の従業員の解散、終の住処を建てるためのサム・マネー(資金)調達を経て、書斎、寝室、リビングキッチンの三間こっきりの家が実現したのは1985年、高峰秀子61歳の年、女優業を引退してから6年が過ぎていました。
高峰秀子の生い立ちは恵まれず(夫には恵まれました)、苦労の連続でした。けれど苦労に押しつぶされることなく、そればかりか苦労の土壌からやさしくうつくしい花を咲かせてみせてくれた、このひとの生き方をいま一度思い返したいきょうこのごろです。
随筆家:山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
1958(昭和33)年、北海道生まれ。出版社勤務を経て独立。ハルメク365では、ラジオエッセイのほか、動画「おしゃべりな本棚」、エッセイ講座の講師として活躍。
※この記事は雑誌「ハルメク」2017年1月号を再編集し、掲載しています。
>>「高峰秀子」さんのエッセイ作成時の裏話を音声で聞くにはコチラから
「だから、好きな先輩」は、雑誌「ハルメク」で毎月好評連載中! 最新情報もあわせてチェックしてくださいね。
※ハルメク365では、雑誌「ハルメク」の電子版アーカイブを12か月分見ることができます。詳しくは電子版ハルメクのサイトをご確認ください。
-
子に遺すべき資産は?
「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは -
突然の我慢できない尿意
実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って? -
個人情報管理できてる?
銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が… -
お金の管理が簡単に!
三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です! -
認知症セルフチェック
「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません… -
健気な姿がかわいい!
「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました! -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
50代~お金の増やし方
将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか? -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます! -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
50代から1日1分脳トレ
認知機能を衰えさせないためには、早い時期から「脳を活性化」させることが大切。脳トレ効果がグッとアップするコツって?