年をとるにつれ、楽になっている自分がいるように思います。それは “経験値”が増えたからなのかな。賢くなるとか、立派になるといったこととは別かもしれませんが、「あのときに比べたら」と、今と過去を比べることができるようになったのは大きいですね。
初めて風邪を引いたときは、死ぬかもしれないと思うほどつらかったけど、次に風邪をひいたら、「前回も同じ季節に引いたな」と学習して、「あのときよりはラクだ」って思える。
風邪に限らず、何かつらいことが起こっても、「あの頃よりはマシ」とか、「今回はあのときよりひどいかもしれないけど、必ず時が解決してくれる。だって、これまでも解決してきたから」と考えられる。たぶん大丈夫、つらい間は布団にもぐり込んで、解決の日を待とう、と。
生きていればさまざまな問題が起きますが、それは神様から与えられた試練なんだと。その経験が自分にどう作用するのかを悟り、納得したときにどう生かすかが、試練を乗り越える力になるんだろうなと思えるようになりました。
年をとるって、アンデルセンの『人魚姫』の物語に似ていると思うんです。王子様に恋した人魚姫が人間になりたくて、歩けるようになる代わりに美しい声を失う。私たちも経験値を増やす分だけ、若い頃のような美しさを失っていく。白髪は増えるし、シワやシミは増えるし、皮膚もたるんでいって、容姿の衰えは避けられない。
本当はね、さっき撮ってもらったアップの顔写真も使ってほしくはないの。だって、“ばあさん顔”だと思うから(笑)
でも、何が一番素敵なのって考えたら、その人が生き生きと生きている姿じゃないかと思うんです。キレイと言われるのは無理でも、魅力的と言ってもらえる。なんだか知らないけど楽しそうに生きてるね、と言ってもらえる。そういう人になりたいなと思いますね。