更年期障害のおかげで、
できることが少しずつ増えて
女は50代が一番しんどい――。振り返って、つくづくそう思います。更年期で体調はなんだかおかしくなるし、情緒も不安定になる。そこに親の介護が始まり、仕事も重なって……。
50代に入って更年期が始まった頃、先輩の女性に言われました。「10年続くわよ」と。「そんなに続くの!?」と軽くショックを受けましたが、10年どころか、結局11年ほど続きました。「え、まだあるの?」という感じで。
一番つらかったのはホットフラッシュ。突然、カーッと熱くなって、汗が吹き出してくるんです。私は背丈と顔の割に腕が太く、ある頃からノースリーブは着ないと決めていたんですが、ホットフラッシュには勝てません。たとえ相手に不快感をもたらしてもかまわない、私はノースリーブを着る!と(笑)
化粧もファンデーションを塗った途端に汗が出てくるから、もういいやと諦めて、ラジオの仕事はすっぴんで許してもらいました。前髪もすぐに伸びてイライラするので、自分で切りました。
美容院に行くとなると予約もしないといけないし、3時間くらいはかかるでしょ。なら、自分で切ろうと。実は更年期を抜けた今も、自分で切っています。年季が入っているから、けっこう上手なの。
それでも、ホルモン剤などの治療は受けなかったですね。時がたてば治まるだろうと、放置主義で。悩んだってしょうがないのだから、とにかく目の前で起きている更年期症状の不快感を最低限にするには何をすればいいか、ひとつひとつ、できることを考えていきました。
おかげで、不調を感じたときに「こうしてみよう」「ああしてみよう」と工夫するクセがついた気がします。