身近な美しさや日々の暮らしを、あらためて大切に

群言堂・松場登美さんが考えたおしゃれと暮らしの力

公開日:2021/05/07

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島根県の石見銀山を拠点に、豊かなライフスタイルを提案する「群言堂」。新型コロナウイルスの影響で遠くに出掛けることが少なくなった昨今、改めて感じたことや、今の時代に対する想いをデザイナーの松場登美(まつば・とみ)さんに伺いました。

群言堂の松場登美さん

自分が本当に心地よいと感じるかがこれからの暮らしの軸に

自分が本当に心地よいと感じるかがこれからの暮らしの軸に

「石見銀山は山や森のイメージが強いですが、少し行けばこんなきれいな海が見られるんですよ」

そう話す、松場登美さんの背後に広がる青く美しい日本海。麻のブラウスが風になびいて色鮮やかに映えます。登美さんは、昔から伝わる知恵や職人技を守り、現代の暮らしに生かす「復古創新」の精神で、新しいアイデアを生み出し続けるブランド「群言堂」のデザイナーです。

コロナ禍で遠くへ行くことが難しかったこの一年は、いつもの暮らし方や身近なものを見直す機会になりました、と登美さんは言います。「人に会う機会も少なくなり、外からの見た目よりも、自分がいかに心地よく過ごせるかが大事な時代に。群言堂は当初からそうした考えを大切にしてきましたが、改めてそれが世間に広がってきたように感じます」

皮膚は内臓の一部。身にまとうもので気分が変わり、心が整う

皮膚は内臓の一部。身にまとうもので気分が変わり、心が整う

「気分、という言葉はあいまいで軽く見られがちですが、私はすごく重要だと思っています。コロナ禍により心配や恐怖といった『気分』が世の中に蔓延しました。そんな中、普段身にまとう服の力を改めて感じます。

以前、気功の先生が『群言堂の服は体に無理がかからない理想の服だ』とほめてくださいましたが、群言堂では、着ることで体や心が元気になる「服薬」という考えを服作りの基本としています。治療よりも、日々の食事や衣服がなによりの薬になるということ。皮膚は内臓の一部と言いますが、肌に触れる面積の大きい洋服や下着は、心や体に確実に影響を及ぼします」

また群言堂の服は「フリーサイズ」のものが多くありますが、スタートした当初、その考え方は世間に浸透していませんでした。「でも私は日本の着物のように『融通がきく』服を作りたかった。体型や年齢にかかわらず、その人がその人らしく、気持ちよく着られるものを」と松場さん。

自宅と外出の境目が曖昧になった昨今、そうした服がより一層求められるようになっています。

10年後も着られる群言堂の服。「長く着て育てる」が理想

10年後も着られる群言堂の服。「長く着て育てる」が理想
水源豊かな琵琶湖の近くで、昭和19年の創業から続く「滋賀麻工業」。その職人の手によって生まれた「もみほぐし麻」は、群言堂の夏の人気シリーズです。昔ながらの手で揉んだようなやわらかさを再現し、現代の洋服づくりに生かしています。

「このあいだ『登美さんその服いいね。今お店で売ってる?』と声を掛けられて『もう10年以上前のものよ』って答えました。長く愛せる服作りができているのかな、とうれしく思います」。そしてそのために欠かせないのが、日本の職人の技術です、と登美さん。この国ならではの風土や気候に合わせて丁寧に仕上げられた服は、新品の美しさもさることながら、年々味わいが増し体になじむように成長するのだそう。「そうやって育った服を着ることで、また心が豊かになる。そんな良い循環を、これからも生み出し続けたいですね」。

群言堂で飼っているヤギ

この春、群言堂で飼っているヤギが子どもを産みました。小さな命を撫でながら「かわいいでしょう」と登美さんもにっこり。このとき着ていた群言堂の藍染めのワンピースは、備後絣の伝統を守る工房で染められたもの。「何度も藍の甕の中にくぐらせて染めた濃紺の藍は、水を通すたびに風合いが良くなり、何年も先まで美しい経年変化を楽しめます」。


松場登美
まつば・とみ 1949年、三重県生まれ。81年に夫の実家がある島根県大田市大森町(石見銀山)に帰郷。88年、有限会社「松田屋」を設立。98年、株式会社「石見銀山生活文化研究所」を設立し、アパレル事業とともに、古民家再生に取り組む。98年に築200年以上の武家屋敷を買い取り、改修に着手。2008年から「暮らす宿 他郷阿部家」として宿泊を受け入れている。

取材・文=峯積抄公子 撮影=井上彬 
 

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ハルメクおしゃれ編集部

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