遺品整理はいくら費用がかかる?リアルな体験談も

2022年01月11日

今から考えたい終活片付け

遺品整理はいくら費用がかかる?リアルな体験談も

家族に迷惑をかけないための「終活片付け」は大切です。母親の遺品を整理したハルメク読者の体験談や、専門家のお話を参考に、遺品整理にかかる負担や費用を解説します。今日から自分でできる備えをしましょう。

【読者体験談】物があふれていた実家。自分は持たないようにしようと決意

【読者体験談】物があふれていた実家。自分は持たないようにしようと決意

ハルメク読者の「ことちゃん」さん(67歳)は、お母様を亡くし、実家の遺品整理を経験しました。

「母は、捨てることができない人だった上に、父を亡くしてからは寂しさからか、必要のない物をたくさん買っていました。一人住まいなのに私の家より物があふれていて。どこから手をつけたらいいのかわからず大変でした」

実家は自宅から車で15分ほどの近場だったものの、平日は仕事もあり、休みの日に少しずつしか片付けられず、半年ほどかかったそうです。

母方の兄弟家族や、ことちゃんさんの2人の妹さんも手伝ってくれましたが、処分するものが多すぎて途方に暮れたとか。

「何しろ布団がたくさんあってビックリしました。私たち家族も使いきれないので処分することに。未使用の下着やタオル、そして服などもたくさんあったのですが、こちらは介護施設に勤める知人を通じて入所者の方々に差し上げたところ、とても喜んでいただけました  」

それでも荷物すべては片付けられず、最後の整理は遺品整理業者に依頼することに。台所を除く5つの部屋すべてにあった箪笥や、サイドボードといった家具、整理しきれなかったその中身、そして実家の裏に3つあった物置まで業者に処分してもらいました。その際にかかった費用は30万円くらいだったそうです。

「私は、スウェーデンでホームステイを体験したことがあります。あちらの方は、とてもゆったりとしたいい時間を過ごしています。母の遺品整理をしながら、当時の彼らの暮らしを思い出し、私はあまり物を持たないようにしようと決意しました。スウェーデンの友人たちのように、本当に気に入ったものを大事に長く使って、日々を楽しんでいます」

67歳で働けていることに感謝しながら自分の引き際を毎日考えていると、ことちゃんさんは話してくれました。

プロが教える、遺品整理の費用や困ってしまったケース

プロが教える、遺品整理の費用や困ってしまったケース

ことちゃんさんも利用した遺品整理業者のサービスですが、主にどのような人が依頼しているのでしょうか。

「50~70代の方が中心で、親御さんが亡くなったり、老人ホームなどに入居される際の片付けで利用されることが多いです。配偶者を亡くされた80代の方が利用されるケースもあります」

そう教えてくれたのは、遺品整理・生前整理サービスを展開するレガシー(株式会社トレジャー・ファクトリーが運営)の小野倫敬さん。

「実家の片付けは、ご自身も思い出のある物が多く、なかなか進まないことが多いようです。どう処分すればいいかを決められず、途方に暮れて依頼される方が少なくありません」

遺品整理の進め方や費用について

遺品整理のプロによる作業は、どのように進められるのでしょうか。

「当社の場合は、まず家財などを一点一点査定します。そして、買取りできる物、無料で回収(再利用)できる物、処分する物に仕分けします。買取りが多いと、作業料金も安く済む仕組みですね。仕分けが終わったら、プロのスタッフが一気に片付けていきます」

作業時間の目安は、3LDKの場合で見積もり(査定)に1日、片付けに1日程度。ただ、物量によるところもあり、同じ3LDKでも、例えば戸建てで物がかなり多い場合は、各工程に2~3日かかることもあるそう。しかし、やはりプロに依頼すると素早く片付くようです。

下図はレガシーの料金の目安です。ただし、物の量によって変動し、土・日・祝日や引越しの依頼が多い繁忙期などは料金が上がるそうです。

遺品整理・生前整理の作業料金の目安

 

遺品整理業者でも難しいケースとは

さまざまな理由で依頼される遺品整理。その中には、整理のプロである小野さんたちでもなかなか力になれないケースもあるといいます。例えば、故人との思い出の写真があるはずなのに見つからず、探し出してほしい、といった依頼です。

「遺品整理と合わせて、大切な写真や書類を見つけてほしい、というご依頼はなかなか大変です。中にはあるかどうかすらわからないけれど、『昔見た記憶があるから探してほしい』というケースもあります」

そのような場合には、依頼主に立ち会ってもらい、相談しながら作業を進めるそうです。一日中探しても見つからないと、「これだけやったのだから仕方がない」と依頼主も諦めることができるとか。

また、依頼する人の中には、物を捨てることに躊躇してしまう人もいて、作業が簡単には進まないケースも。

「亡くなったご主人のスーツを捨てられない方がいらっしゃいました。息子さんはもう誰も着ることがないので捨てる派だったのですが、奥さんは思い切れない。その時は、大切なものを1着だけ残して、あとは処分することをご提案させていただきました。依頼主の気持ちに寄り添うことも、遺品整理では大切です」

また、例えば、回収したのち再利用できることを伝えると、「誰かのお役に立つのなら」と手放しやすくなると小野さんは話してくれました。

遺品整理で回収した物の中には再利用できる物も多くあるそうです。終活片付けを考える際は、生前に譲る、という選択肢もあるかもしれません。

生前整理を進めつつ、自分の死後の手配も考える

生前整理を進めつつ、自分の死後の手配も考える

ここまで見てきたように、遺品整理はかなりの時間と体力、そしてお金が必要になります。何の準備もしないまま死んでしまったら、のこされた人に大きな負担を強いることに。足腰が丈夫で、気力体力が十分なうちに、生前整理を進めたいものです。

「ご家族が集まったときに、重要書類や貴重品はどこにしまっているのか、また、引き継いでほしい物、処分していい物などを伝えておくだけでも、のこされた方の負担を減らすことができると思います」と小野さん。

近くに頼れる家族や親族がいないならば、生前整理を進めつつ、自分の死後の物の処分について、エンディングノートなどに記して託すという方法もあります。終活をする上で避けては通れない生前整理と死後の手配。今からしっかり準備を進めましょう。

■もっと知りたい■

■記事協力=三井住友信託銀行

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