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- いつ入る?使える年齢は?介護保険のタイミング
介護保険の保険料は、いつからいつまで払うものでしょうか。また保険を使えるのはいつからか、どうやって使うのか、仕組みがイマイチわからないという人も多いかもしれません。今回は介護保険に関わるタイミングを見ていきましょう。
そもそも介護保険とはどういうもの?
介護保険は老後の生活に必要なものですが、「なぜ必要の無いうちから保険料を払わなくてはいけないの?」と、思っている人もいるかもしれません。
そもそも介護保険とはどういう仕組みの制度なのでしょう。
介護が必要な人を社会全体で支える仕組み
介護保険の目的は、「介護を必要とする人とその家族の負担を金銭的に軽くする」ことです。2000年から始まった制度で、税金と介護保険料を財源にしています。
介護保険制度ができた背景には、日本が本格的な高齢社会を迎えたことがあります。介護を必要とする人が増加するにつれ、医療費が国の財政を圧迫していきました。さらに核家族化や地域のつながりが希薄になったことにより、介護する家族の負担も増えていったのです。
そこで整備されたのが介護保険制度です。保険料を自分のために積み立てるのではなく、まだ元気に働いている現役世代から集めた保険料を、今介護を受けている人が使える費用に充てる「賦課(ふか)方式」が採用されています。
つまり、社会全体でお金を出し合って、高齢者が安心して介護を受けられるように支える制度なのです。
原則1割負担で利用できるサービス
介護保険は自治体が運営しています。財源の内訳は国の税金が25%、自治体が25%、介護保険料が50%です。
介護保険制度により、介護を受ける高齢者本人の負担額は原則1割で利用できます。ただし前年度の所得に応じて、2割または3割の負担になることもあります。
介護保険に加入する年齢は?
介護保険料がいつから給料天引きされているか、覚えていますか。健康保険料と一緒に引かれているので、支払っている意識がない人もいるかもしれません。
また、介護保険料はいつまで払い続けるのでしょうか。途中でやめることはできるのかなど、詳しく見ていきましょう。
保険料は満40歳から支払い始める
介護保険の加入年齢は40歳と定められています。ここで注意したいのが「満40歳になった日」から支払う必要があるということ。そして満40歳になった日とは「誕生日ではない」ということです。
日本の法律で年齢が1歳上がるのは、誕生日の前日にあたります。例えば7月2日が誕生日の人は、7月1日に満40歳になり、7月分から介護保険料が発生します。
しかし7月1日生まれの人は、前日の6月30日が満40歳到達日になるため、6月分から保険料を払わなければなりません。1日生まれの人は、誕生日の前月分から介護保険料が発生することを理解しておきましょう。
満65歳からは支払い方法が変わる
健康保険料と一緒の天引きは、65歳で終了します。こちらも「満65歳」なので、1日生まれの人は誕生日の前月分から天引きはなくなります。
しかし介護保険料の支払いが無くなったわけではありません。年齢により「第2号被保険者」から「第1号被保険者」に変わるため、支払い方法が変わります。
【第1号被保険者】
65歳以上の人は第1号被保険者になります。介護保険料は自治体ごとに金額が決められ、原則、支給される年金から天引き(特別徴収)されます。
ただし、年金からの天引きを開始するには、半年から1年程度時間がかかります。そのため年金受給前や65歳になったばかりのときは、納付書や口座振替で納付します。
また、自治体ごとに金額が変わるため、他の自治体に引っ越しをした場合も、保険料が変わったり天引きされるまで時間がかかったりすることがあります。
【第2号被保険者】
40~64歳までの人は、第2号被保険者に該当します。会社の健康保険組合に加入していれば、給料から天引きされますが、主婦で配偶者の扶養に入っている人は、自分の介護保険料を直接支払うことはありません。
国民健康保険に加入している場合は、世帯ごとに計算されて世帯主が代表で支払います。主婦で配偶者の扶養に入っている場合は、配偶者の国民健康保険料に自分の介護保険料が上乗せされます。
60歳で定年退職した場合の支払いは?
60歳で定年を迎えた場合、65歳になって年金から特別徴収されるまでは、次に加入する健康保険の保険料とともに支払います。定年退職した人が健康保険に加入する方法は3つあります。
- 国民健康保険に加入する
- 退職した会社で、健康保険の任意継続被保険者になる
- 家族の健康保険の被扶養者になる
健康保険によってそれぞれ加入条件や保険料が違いますので、自分がどれに入れるのか調べておきましょう。健康保険が切り替わるタイミングでは天引きされるまで時間がかかることがあり、それまでは納付書や口座振替で納付します。
介護保険は義務?任意で入れる?
介護保険は皆保険制度なので、やめることはできません。そして介護保険料の支払いが終了する年齢上限はありません。生涯にわたって支払い続けるものです。
介護保険制度は、今介護を必要としている人を助けるのと同時に、自分もいつ介護が必要になっても安心して利用できるためのシステムです。制度の趣旨を理解しておきましょう。
また、任意で入れるものには「民間介護保険」も存在します。保険会社が販売する商品で、公的介護保険と同じく要介護状態になった場合に、保険金が支払われます。
公的介護保険が介護サービスなどの現物給付なのに対し、民間保険は契約した保険金額の現金給付になるなどの違いがあります。認知症に特化したものなど保険の種類も多数あるので、気になる人は調べて検討しておくのも良いでしょう。
退職のタイミングでは保険料滞納にならないよう注意!
加入する健康保険が変わる場合、支払い方法や保険料が変わります。特に注意が必要なタイミングが「退職」です。それまで給料天引きされていたので、介護保険料の存在を忘れてしまいがちなのです。
滞納してしまった場合、督促が届きますので、すぐに納付しましょう。延滞すると延滞金が増え続けてしまうケースもあります。
さらに、滞納すると介護保険の自己負担分が3割に引き上げられたり、介護サービスの利用が制限されたりなどの措置が取られてしまいます。最悪の場合、財産の差し押さえを受けることもありますので注意しましょう。
介護保険が使える年齢は?
では実際に介護が必要になった場合、何歳から使えるのでしょうか。
基本的には65歳以上から利用が可能です。しかし、条件を満たせば、加入年齢の40歳からでも介護保険サービスを受けることができます。それぞれ詳細を見ていきましょう。
利用できるのは65歳から
65歳の誕生月になると「介護保険被保険者証」が交付されます。介護保険証を持つようになると、介護保険サービスが受けられるようになります。ただしすべての人が対象ではありません。
介護保険サービスを受けるには、「要支援認定」または「要介護認定」が必要です。要支援は1~2、要介護は1~5まで段階があり、段階に合わせた介護保険サービスを受けることができます。
特定疾病の場合は40歳から
特定の疾病にかかっている場合は、40歳から介護保険サービスを利用することが可能です。現在、厚生労働省が定める特定疾病として指定されているものは16項目あります。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
いずれかの疾病と診断されて要介護認定を受けた場合、介護保険サービスの対象になります。これらの疾病以外では要介護状態であっても、65歳未満の人は介護保険では適用外です。
65歳以上の人は要介護認定を受けていれば、その原因は問われません。ちなみに介護保険料は介護保険サービスを受けていても払う義務があります。
介護保険サービスを利用するまでの流れは?
ここまで保険料の支払い方法について見てきましたが、次はいよいよ介護保険サービスを利用する方法です。
実際に介護保険制度を利用しサービスを受けると想定して、流れを確認していきましょう(ここでは、より一般的な65歳以上で要介護認定を受けて利用する場合とします)。
市区町村へ「要介護認定」の申請をする
まずは住んでいる市区町村の窓口で、要介護認定の申請をします。申請後、市区町村の職員などから訪問を受けます。聞き取りなどの認定調査が行われ、かかりつけの医師から主治医意見書が作成されます。
その後、一次判定と二次判定を経て、要介護認定の通知が郵送されます。申請から通知が届くまで通常1か月ほどかかり、地域や時期によってはそれ以上かかることもあります。不安な場合は市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。
認定が出たらケアマネジャーを探す
要介護段階によって、受けられるサービスは異なります。本人に合った介護サービスを受けるためには「ケアプラン」を作成する必要があります。ケアプラン作成はケアマネジャーに依頼しましょう。
ケアマネジャーは介護支援の専門員で、介護に関する不安や悩みを気軽に相談することができます。家の状況や家族にも要望を確認し、本人に合わせたケアプランを作成します。ケアプランが認定されると、介護保険サービスの利用が開始されます。
要介護、要支援認定には「申請日から6か月」という有効期限があります。認定が出たら、早めにケアマネジャーに依頼しましょう。
どんなサービスを受けられる?
実際にどんなサービスを受けられるのか、いくつか具体例を紹介しましょう。
- 居宅サービス
在宅介護を対象としたサービスです。主に、食事や入浴の支援を受ける「訪問介護」、デイサービスに通って健康チェックやレクリエーションを行う「通所サービス」、急な用事で家族が家を空けるときなどに一時的に施設に入所できる「短期入所サービス」の3種類があります。 - 施設サービス
「特定施設」の指定を受けた施設に入居できるサービスです。特定施設とは特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設などです。施設によって月額費用もサービス内容もさまざまです。入居を検討する場合は、よく調べてから利用するようにしましょう。 - 福祉用具のサービス
介護用ベッドや車いすなどをレンタルできます。入浴や排泄など、介護に必要な設備購入費の助成を受けることもできます。 - 住居改修サービス
自宅の廊下に手すりを取り付けるなど、バリアフリー改修工事をする場合の費用の一部として補助金が支給されます。
1か月の利用上限金額があるので注意
介護保険サービスには、1か月に利用できる金額に上限があります。区分支給限度基準額と言って、要介護の段階ごとに決められています。これを超える分は全額自己負担となってしまうので、気を付けましょう。
介護保険サービスは、介護が必要になったときに生活をサポートしてくれる大切な制度です。
介護は年齢に関わらず、突然始まります。自分や家族がいつ介護状態になるかはわかりません。「そのとき」がいつ来てもいいように、介護保険の仕組みを理解しておきましょう。
監修者プロフィール:中村 薫(ファイナンシャルプランナー)
なかむら・かおる ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、社会保険労務士、終活カウンセラー。年金受給世代のご夫婦の年金相談、おひとりさま女性のライフプラン&マネープラン相談、執筆などを得意とする。退職前世代向けのリタイア後のキャリア&マネー研修でも好評価を得ている。
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