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- 『悪貨は良貨を駆逐する』
中学2年生だった時、社会科担当のE先生が、『悪貨は良貨を駆逐する』というお話を何度もしてくれました。
グレシャムの法則
14歳のガリ勉少女だった私ですが、E先生がどのようにこのことわざを授業で引用されていたのかについては全く記憶にないのです。
記憶にないのに、なぜかこのことわざが半世紀の時を経て、私の脳裏によみがえりました。先生が黒板の前でこの言葉を書きながらお話されている光景が、はっきりと目に浮かぶから不思議です。
そもそも、この『悪貨は良貨を駆逐する』ということわざは、『グレシャムの法則』の内容の要約であるらしいです。
グレシャムとは、16世紀のイギリス国王財政顧問だった人で、1560年にエリザベス1世に対し「イギリスの良貨が外国に流出する原因は貨幣改悪のためである」と進言した故事に由来するとのこと(引用:Wikipedia『グレシャムの法則』)。
同じ金貨でも金の含有量が異なる場合、たとえ価値が同等であっても、人々は金の含有量の多い方をしまい込んで、先に含有量の少ない方を先に使おうとする。
転じてこの言葉は、悪人がはびこるような治安の悪い状態や、軽佻浮薄な文化が流行するような場合を指すときによく引き合いに出されますが、
良貨悪貨の良悪は、貨幣の質の良悪であり人物の質の良悪ではないため、上述のような用法はその点を混同しており転義的である。
とWikipediaは述べています。
善?悪?
転義的であろうとも、『善悪』をイコール人間社会における善悪と捉えること。それは、人が本能的に、善と悪について、思い悩みながら生きる生き物だということを端的に表しているのだと思うと興味深いです。
半世紀ぶりにこの言葉を思い出したのは、私がとても疲れて悪い状態の時でした。
黒い感情が心の中で増殖し、嫌な思考のループに陥りそうな自分に嫌悪した時に、『悪貨は良貨を駆逐する』っていうのあったね、私の正しい心が駆逐されている? と、E先生の言葉を思い出したのでした。
生活の中におけるグレシャム的善と悪
たとえ「転義」であっても、他にもたくさんありますね。
たとえば、部屋の中、余計なもの無駄なもの邪魔なものが、なぜか前面に出張って、本当に必要な『正しい』ものたちを、後方に追いやっています。必要のないもの、あるものの管理を怠った結果、そうなるわけです。
忙しさにかまけて、雑多なもので溢れかえる我が家を見て、まずはここから。ここを改善することで、気分を一新しよう。
この単純なことが、黒い心に負けそうな自分を浄化してくれそうな気がしました。
断捨離ブームの中にあって、私は断捨離なんて反対だよ、たくさんの好きなものに囲まれて生活するのが好きだよ、と思ってきたけれど。これは革命が起きそうな予感がします。
たまには難しい記事も刺激的で良い
また今回のテーマでいろいろ調べてみて、『グレシャム法則の呪縛に苦しむ日本経済—ダーウィン法則への転換を目指して』などの発展的な論文をいくつか見つけました。
いろいろなアプローチがあることに驚き、普段使わない脳を使って、苦労して読みました!
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