いきなり始まった私の介護に関わる人生(14)

介護がきっかけで、兄妹仲を深めたのに…兄の急死

公開日:2022.08.25

亡くなった父のことがきっかけで、兄といろいろ話すことが多くなりました。これから、認知症の母のことを助け合って看ていこうと思った矢先、お義姉さんから兄が心肺停止で病院に運ばれたという連絡が……。一気に状況が変わった、そのお話です。

介護がきっかけで、兄妹仲を深めたのに…兄の急死
心肺停止で病院に運ばれた兄

病院に折り返し連絡

お義姉さんは、仕事先から一旦帰宅して都内の病院に向かうとのこと。姪っ子にも急いで帰宅させ、一緒に病院に向かうようしました(前回の記事「兄が心肺停止」と突然の連絡)。

姪っ子もきっと昨日まで、いや今朝まで至っていつもの元気な兄の姿を見ているので、現状が把握できていない状態だったはず。とにかく安全運転で帰るよう車で帰る姿を見送ったあと、すぐに私は着信のあった病院に折り返し連絡をしました。

「今、担当医師に代わります」

そう電話口の看護婦さんに言われ、お義姉さんが病院に着くまでどうにか意識が戻っていて欲しいと願いながら、医師が出るのを待ちました。

しばらくすると担当医が出て

「妹さんですか、お兄さんですがもう既に亡くなっています。こちらに運ばれてきたときには、もう意識がありませんでした」

ええ! 亡くなっているって……亡くなっているってなに!?

その日は帰れず

お義姉さんは知っているのだろうか。これは知らせるべきなのだろうか。

悩みに悩み、お義姉さんに連絡をすると

「家族が来ないと蘇生を止めることはできないらしくて、運ばれた時からずっと蘇生してくれているらしいんだけれど……。ダメみたいなんだ」

兄家族が到着して、蘇生が終わり、兄の死亡が告げられました。

しかし、兄は勤務先で倒れたことで警察が入り解剖も行われるため、一日警察に引き取られることになりました。

私はその間、私の家族に、そして叔父や伯母に兄の急死を伝え、母になんと伝えようかと悩みこんでいました。

病院に折り返し連絡
母になんと伝えればいいのか……

その日は母に告げず 

とにかく母のケアマネージャーさんに連絡しよう! あとデイサービス先にも連絡しないと!

ケアマネさんは言葉を失っていました。

「先に旦那さまを亡くされる人は多く見てきたけれど、息子さんを、しかもまだまだ若い息子さんを亡くす人は経験がありません。お母さまが息子さん(兄)の死を知ってどうなるのか見当がつかないから、とにかくそばにいてあげてください!」

と言われました。

そしてデイサービス先では

「いつでも、ショートステイ対応も夕飯のお届けもしますから。頼って下さい、とにかく娘さんが倒れないように!」

と言われ、そうか、もう母には私しかいないんだ。あの母を支えていくのは私だけ。何でも判断して決断して行動するのは、私にかかっているんだ!

そう思った瞬間から不安が一気に私を襲ってきて、亡くなったと聞いても出なかった涙がとめどなく流れてきました。

その日は母に告げず 
とめどなく流れる涙​​​​​​

 

■もっと知りたい■

 

あさくら さとみ

生前の父の介護を3年前に携わり、母のアルツハイマー認知症の介護に7年。介護のことを何も知らない状態から始まりました。2年前には兄が急死し不安な状況での介護。介護する側の気持ちや、認知症というものの現実などお話しできたらと思います。

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