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- 亡き父のお話 ~突然の介護~
突如介護に携わって早7年。まだまだ現在進行中です。いろいろな事が起こります。少しずつお話ししていこうと思います。今回は、亡き父の生前のお話です。
父という人
私の家族は、両親に5歳上の兄という家族構成でした。祖父母も同居していましたが、私の記憶ではサザエさん一家のような笑顔があって明るい家族の会話があるような家庭ではなかった……ということです。
とにかく父は「自分が正しい、自分が一番」という性格。祖父母、いわゆる父にしたら自身の親に対しても命令をするような人でした。
祖父母も負けていませんでしたので、けんかのような会話ばかりでした。そんな父が好きではなかったため、私はおじいちゃん子でいつもおじいちゃんの部屋にいたのを懐かしく思います。
そんな威勢の良い父ですが、実は若い働き盛りの年齢から服薬の生活を余儀なくされていました。心臓が弱く、心臓の薬、高血圧の薬、血流を良くする薬……。
「俺は、この薬がなかったら生きていけないんだ」と言っていたのも覚えています。
父、人生初の手術
父が70歳になったとき、初の手術を経験しました。心臓バイパス手術です。私はもう結婚もして子供も小学生になっていたため、実家に行く頻度もめっきり減ってしまっていました。父が心臓の手術をしなくてはいけないほど悪かったとも知らず、父は年を取ったんだなと実感しました。
手術当日病院に行くと、父の姉弟がみなさんご夫婦で、祖母のご兄妹まで来てくれていて、父の存在の大きさを初めて目の当りにした日でした。
父の手術が終わるまで控室で待っているときに
「お父さんもさ、これで元気になったにしてももう年だから。さとみちゃん、お父さん、よろしくね」
そう言われて「そうか、私は娘だから父の事を看ていかないといけないのか」と思わされた一瞬でした。
しかし、そのときの私は、父の老いや介護をまだまだ他人事にしか感じていませんでした。
父の初入院生活
若い頃から、投薬生活をしていた父。通院生活が長かったのもあり、少しでも具合が悪いと思うと病院へ出向いていました。病院へ行くほどでもないと感じたときは、ドラッグストアーへ行き、これもそれもと薬を買ってくることが大好きな父でもありました。
そんな父。人生初の入院生活は、それはそれは大変な日々でした。術後は本人もさぞかし不自由で大変であろうと予想していましたが、不自由なのはベッドの上での生活のつらさだけで、至って元気。
しかし退院はできないため、母に電話をしては「あれを持ってこい、これを買って来い」の毎日。それに対して、母も素直に毎日頼まれたものを持って病院に通う日々。
私が仕事の帰りに病院に寄ると、たいてい母がいるか、ちょうど帰った後。父には「お母さんも毎日大変だから、私に連絡してきて。それに、長期入院でもないんだから、こんなに荷物を増やさないで!」と初めて父を怒りました。
もちろん素直に聞くわけがありません。「俺の不便さがわかるわけないんだ。必要なんだよ!」
父は車の運転が大好きで、休みの日は車に乗って母と一緒にいろいろな所に買い物へ出向くのが楽しみの一つでした。入院生活は、当然それもできませんし、そもそも院内生活ですから、私や母が見舞いに来て家に帰るというその普通の事がうらやましくて仕方がなかったのです。
見舞いに行くと、それはそれは文句ばかり不満ばかりを言って、しまいには私と母が一緒に帰ろうとすると「いいな……俺も帰りたいよ」と、背中を丸めて言って困らせる入院生活の日々。
まさか、その入院生活がこの先の父の壮絶な介護の予兆とは思ってもいませんでした。
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