再開!「終の棲家」探し。身障者となり新たな視点で
2022.04.222021年12月23日
終の棲家―人生を豊かに生きるための選択
「小さな暮らし」から広がってきた「豊かな暮らし」
2021年11月27日、引っ越し後初めて「小さな暮らし」を抜け出し、三重県の夫のふるさとに夫自らが建てた我家のセカンドハウス(今やサードハウス?)へ2泊で行ってきました。義姉たちや義甥家族とともに過ごし、久しぶりに海の幸を堪能してきました。
「小さな暮らし」でも豊かな人間関係を!
京都府南部にある自宅から、半分だけ高速を使って約2時間の三重県中部のログハウス。さて、滋賀県南部に位置する「介護付有料老人ホーム」の新居からはどれぐらいで行けるでしょうか?
これまで通り、高速は「関」から「勢和多気」までの伊勢道と紀勢道を使うことにして、後は一般道を使うことにしました。初めての経路なのでカーナビに素直に従って行きました。結果は約3時間。混まないルートを研究することでもう少し時間を縮められそうです。
合理的でスッキリした新居とは対照的に、地元の杉の丸太で手作りしたログハウスは包容力があり優しい。早速、民宿を営む義姉に電話して、「明日ガシラ(カサゴ)の唐揚げ食べさせて」と、甘えてしまいました。
翌日の午後、もう1人の義姉から電話があり、「息子家族がごちそうを作って訪ねてきたから合流しよう」とのこと。思いがけず、2人の義姉と、義甥家族3人、それに私たちの合計7人がログハウスに集まっての食事会となりました(場所を離して)。ガシラの唐揚げと煮付け、鯛の塩焼き、鯵と鯛の刺身に、管理栄養士の義甥の奥さんが作った手の込んだ料理が加わって、豪華な食卓となりました。
次の日はこれまでの道を通って自宅に寄り、煮魚と焼き魚を息子の夕食用に食卓に置いてから、老人ホームに帰ってきました。
その直後、自宅近くの友人から「古老柿ができたから送ります」と電話が入りました。「古老柿」は自宅の町の特産物で、茶畑の霜よけ用に植えられた「鶴の子柿」の皮をむき、稲刈りが済んだ田んぼの中に建てられた「柿屋」と呼ばれる棚に干し、白い粉が吹くまで何度も箕に入れて転がして作った干し柿のこと。
「小さな暮らし」にシフトしながらも、これまでの人間関係も続いて行きそうだとうれしくなる出来事でした。
「老人ホーム」から足を伸ばして秋を楽しむ
引っ越しの慌ただしさが一段落した頃、近くに紅葉の見所はあるかと出かけてみました。まず初めに訪ねたのが、前回少しだけ触れた明智光秀一族の菩提寺「西教寺」でした。
「老人ホーム」から車で約10分。天台真盛宗総本山である「西教寺」の本堂は重要文化財でもある立派な物で、およそ500年にわたり途絶えることなく「南無阿弥陀佛」を称えつつ鉦を打ち、境内にその音を響かせ続けているそうです。私も本堂に入り、しばしその鉦を打つ「不断念佛」に参加させて頂きました。ご本尊は、阿弥陀如来座像。
堂内を巡っていくと、小堀遠州作の庭や、さまざまな楽器を手にした菩薩立像など、予期せぬ見応えでした。
2日後にも、車で10分で行ける「日吉大社」へ。ここは平安京の表鬼門に鎮座する方除・厄除の大社で、およそ2100年の歴史を持つとのこと。秋の終わりを告げる散りかけた紅葉と、コロナ禍の癒やしともなる「花手水」(はなちょうず)が、美しい調和を見せていました。
「小さな暮らし」から「豊かな暮らし」へ
私たちの部屋の真上に、カラオケルームがあります。フロントで尋ねてみると、「カラオケサークルのない日は予約をしてどうぞお使いください」とのこと。早速久しぶりのカラオケを楽しみました。終わったらフロントに電話して、消毒と片付けをお願いします。
別の日には、図書室に行ってみました。入居者の方々が寄贈された全集物など思った以上に読み応えのありそうな本が並んでいました。
「裸の付き合い」で親しくなった方が、体の不自由さのためにサークルに入るのを尻込みしている私のことを、他の方に伝えてくださり、個別に卓球やビリヤードの指導を申し出てくだる方との出会いが生まれました。私は、動かない右手やこけそうになる体で病後初の卓球に、夫は初めてのビリヤードに挑戦しました。
ゴルフの練習場も自由に使えると分かり、夫は琵琶湖に向かっての打ちっ放しも楽しんでいます。
入居から1か月半、「小さな暮らし」から「豊かな暮らし」が広がりつつあります。
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