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- 「難読漢字で脳トレ」でよみがえった夏の記憶
先日、ハルメクWEBの記事で「難読漢字で脳トレ:何て読む?『蜩』(2021年8月14付)」を拝読し、「蜩」にまつわるさまざまな記憶がよみがえってきました。今日は「蜩」をテーマに、今の思いをつづってみたいと思います。
蜩の声
まず始めに。みなさまは「蜩」の漢字をお読みになれたでしょうか。
答えをご存知ない方のために、ここでは「蜩」の漢字のままで話を進めますね。ヒントは「朝と夕に『カナカナ……』と鳴く虫」だそうです(【難読漢字】蜩、蜻蛉、蝗…秋を連想する虫の名前の記事はこちら)。
お分かりの方は声を想像されてみてください。なんとなく郷愁を感じるような、懐かしい気持ちがしませんか。
「蜩」のイメージから作った動画
今から3年ほど前(2018年頃)、私はお箏で奏でたヒーリング動画を作って欲しいというご依頼を受けました。四季折々のイメージで、聴いている方の癒しとなるようなものを季節ごとに作って欲しい。そのようなお申し出でした。
そこで私は単にお箏で曲を弾くだけでなく、波の音や、鳥のさえずりなど、誰もが心地よく感じるような自然の音を背景に流すことにしました。その中で“夏の音”の一つとして思い浮かべたのが、この「蜩」の声だったのです。
そしてさらに、夕暮れ時にカナカナ……と聞こえてくる少しもの哀しい鳴き声、その情景にふさわしい曲といえば……と考えて選んだのが「宵待草(よいまちぐさ)」の曲でした。
“待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬさうな”
竹久夢二作詞のこの歌詞が「蜩」の鳴く日暮れのイメージとピッタリだと思って作ってみたのですが、いかがでしょうか。
母の思い出
思い起こせば、竹久夢二の絵が大好きだった母も、時折この歌を口ずさんでいたものでした。
私はまだ歌詞の意味がわかるような年ではありませんでしたが、母が歌うたびになんだか悲しくなる気がして、この歌はあまり好きではなかった記憶があります。
それがこうしてしみじみ感じるようになったということは、私もそれだけ大人になったということなのでしょう。
穏やかな日が戻りますように
例年、お盆を過ぎた今頃はこの「蜩」の声を聞きながら、過ぎゆく夏を惜しんだものでした。ところが今年(2021年)は、コロナ感染の拡大や、大雨の被害などが心配で、とてもそれどころではありません。
もし、どなたかに、私の箏の音で一瞬でもホッとする時間を感じていただけたら……と願いながら、この記事を書いています。被害にあわれてしまっている方々には心からお見舞いを申し上げます。
今、私の部屋の窓からはようやく日差しが差し込んで、ミンミンゼミの声が聞こえてきています。この夏にこの声を聞くのもあと少しですね。
最後に読み方をお伝えしますね。カナカナと鳴くのは「蜩(ヒグラシ)」です。
秋、月夜にさらに虫の音が響く頃には、どうか穏やかな日常に戻っていますように。
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