足袋と円形バッグに初挑戦

布と対話しながらデザインを決めるきものリフォーム

公開日:2021.03.07

和裁を始めて33年。毎日のように布と向き合い、何を作ろうかと考えています。今回は、日傘、足袋、ジャンパースカート、バッグを製作しました。

いただいた黒の雨ゴートの反物で日傘を作る

和裁を始めて33年。今では着物を仕立てることはなくなり、ため込んだ和裁の材料が山積みです。毎日何にしようかと眺めています。布の方から「〇〇にしてください」と言ってくれることがあったり、私の方がひらめいたり、たまには周りの人から「〇〇を作って」と言ってもらえることもあります。

決まったら集中して制作します。布と向き合って、布が喜んでくれたらうれしいと思いながら、作り上げた最新の作品を見てください。

以前の記事で元呉服商の方からコート地をいただいた話をしました。そのとき、「急がないからこれで日傘を作って」と、黒の雨ゴートの反物をあずかりました。すぐに2本作ったのですが、傘の骨組みセットが手に入らず、最後の1本ができていませんでした。着物からは2本しか作れないのですが、反物だったので3本できました。1本は私がいただけるのではないかと期待しています。

黒の雨ゴート地で日傘を3本作りました
黒の雨ゴート地で日傘を3本作りました

アンティークな振袖で足袋を作る

カジュアルな二部式きものを着るとき、白い足袋は不釣り合いな気がするので、足袋ソックスを履いています。以前、叔母から「母は自分で足袋を作っていたよ」と聞いたことがあります。「え? 作れるの?」と聞き返すと、「傷んで捨てる足袋を解体して、型紙として使えばいい」と言うのです。なるほど! 「こはぜ」をつけるのが難しかったので、カジュアルっぽく、マジックテープを付けました。

アンティークな振り袖で作った足袋と座布団
アンティークな振り袖で作った足袋と座布団

仕立てなかった紋付でジャンパースカートを作る

裁断はしたけれど、不要だと悟って仕立てなかった黒の紋付きを長年持っていました。よいデザインに出合ったら、フォーマルを作ろうと思っていましたが、凝ったデザインは製図も縫製も力不足です。

最近のスタイルブックを見ていた娘が、「このジャンパースカートが着たい」と言うので、娘の気持ちが変わらないうちにと思って、一日で仕上げました。

囲み製図で前後が同じ形なのに、製図中は気付かず、同じものを作図してしまいました。スタイルブックでは紐に金具を付けて、長さが調整できるのですが、付け方がわからなかったので、娘の身長に合わせて固定しました。

黒の紋付きで作ったジャンパースカート。後ろに深いスリットが入っています。ブラウスは八掛けです
黒の紋付きで作ったジャンパースカート。後ろに深いスリットが入っています。ブラウスは八掛けです

袋帯で円形のバッグを作る

従妹には男の子が二人います。彼女が家を建て替えるとき、不要だからと言って、二度しか着用しなかった振袖と袋帯をくれました。振り袖は次女がとても気に入り何度も着ました。嫁ぐときに袖丈を短くしたので、正月や宮参りにも着ました。

袋帯はその頃の流行りとかけ離れていたので、そのまま保管していました。たんすを開けるたびに「何になりたいですか?」と問いかけるのですが、「見ていてください」と言うばかりでした。

それが先日「バッグになろうかしら」と言ったのです。袋帯の円形の刺繍部分を切り取り、振袖の残り布と組み合わせて円形のバッグを作りました。実は表と裏の両面をこの刺繍部分で作るつもりで2枚切り取ったのですが、分厚過ぎてうまく縫えなかったので、片面だけに使いました。余った一枚は額縁に入れようかと思っています。

袋帯で作った円形バッグと元の袋帯と余った一枚
袋帯で作った円形バッグと元の袋帯と余った一枚


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やまきひろの

3世代6人家族で暮らし、家事を担当する主婦です。孫の世話もしており、旅行も孫連れが多いです。趣味はきものリフォームで、完成に至るまでのいきさつを交えながら作品を紹介していきます。

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