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このお正月に、娘のお姑さんからたくさんの着物をいただきました。「うれし、忙し」です。その中の着物を使って、お姑さん・お嫁さん・孫娘さんにと思いながらリフォームした作品を見てください。
蚕(かいこ)から反物になる
いただいた着物の中に盛夏に着用する呂の着物が数枚ありました。お姑さんは「母は60代の頃。『案外涼しいのよ』と言って、よく着ていました」ということです。絹は温かくて涼しいのです。たくさんの着物を前にすると、母のことを思い出し、いろいろと考えます。
50年前は嫁入りの和ダンスに納められた着物を近所の人に披露する慣習がありました。成人式を機に振袖をあつらえる時代でした。単衣(ひとえ)・袷(あわせ)・呂の喪服が必須アイテムでした。私の母に「娘たちに着物を作ってやらないと」という使命感がなかったら、もう少し余裕のある生活ができていたかもしれません。
私に和裁を教えてくださったおばあさんは、縫い物をしながらよく話されました。
「稲刈りが終わると、単衣の着物をほどいて洗って、一晩で袷に仕立て直したんよ」
「お母さんが早くに亡くなったからお祖母さんにおせわしてもらった」
お祖母さんが繭(まゆ)を紡いで機を織って、お父さんが染めに出して、新しい着物になったそうです。うれしかったって。こんな話を聞いているから、着物を無下にできないのです。その着物は二度染め変えられ、今私の手元でブラウスになっています。
現在、大量の繊維(衣服)の廃棄が環境問題になっています。おばあさんの、そのまたお祖母さんの作業が自然と私の記憶となり、蚕が桑の葉を食べている様子が見えたり聞こえたりするのです。それで私に巡ってきた着物を何とかしたくなるのです。
縞柄のブラウスは和裁の師匠のお祖母さんが繭を紡いで織られた着物で作りました。スカートは羽織のリフォーム。ウールの着物で作ったポケットエプロンを巻いています。
ウールのアンサンブルで作った5点
いただいた着物の中にウールのアンサンブルがありました。娘が「かわいい! ポケットエプロンを作って」と言いました。
パンツの上にミニの巻きスカートのように着用するポケットだらけのエプロンです。着物の裾の方を使いましょう。着物の上部は形を活かして作務衣にしましょう。袂(たもと)は邪魔なので袖を外して、元の袖山で裁ち切り、布を横にして新たに袖を作って付け直し、袖口にゴムを入れました。
アンサンブルの羽織は、前が開いているので防寒着として不十分です。そこで衿(えり)を外して打ち合わせのある作務衣にしました。
羽織の衿は、外すと大きな1枚の布になります(反物の幅・約36cm×160cm)。これを縦に二つ折りにしておくみ付きの衿を作り、元の羽織の衿つけ通りにつけます。袖は着物と同じように作り直しました。一般的な作務衣よりやや丈の長いハーフコート風のジャケットができました。
残していた布で幼児服を作りました。二つの作務衣はお姑さんとお嫁さん、幼児服はお孫さんに着ていただけたらと思ってリフォームしました。
お宮参りの一つ身をドレスに
いただいた着物の中にとてもあでやかな一つ身がありました。これはお姑さんちのお孫さんのドレスにもってこいです。ギャザーは多く、スカート丈は長く、刺繍を目立たせて統一感を持たせたい。こんなドレスができました。
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