脳出血からの再生を叶えてくれたハルトモライター活動

2021年01月27日

ハルトモライター活動が、私にもたらしてくれたもの

脳出血からの再生を叶えてくれたハルトモライター活動

2018年3月、「何か新しいことを始めなさい」というメッセージを運んでくるかのように、春の気配が漂い始めた頃、ハルメクから届いた一通のメール。脳出血後遺症に苦しむ私に、そのメールが運んできたメッセージとは?

届いた「ハルメクWEB」オープンのお知らせ

お節に入っていた干支の牛をかたどったサツマイモの甘煮 大切にしたい和食の技
お節に入っていた干支の牛をかたどったサツマイモの甘煮 大切にしたい和食の技

それは、2018年3月28日のことでした。こんなメールが私に届きました。

「来たる7月にハルメクでは、新サイト「ハルメクWEB」のオープンを予定しています!
こちらでは、雑誌「ハルメク」の記事とは別に、ウェブサイト限定の記事を閲覧いただけます。「美容」「旅行」をテーマにした記事を中心に、「生き方や暮らし方」の記事の他、素朴な疑問を解決するQ&A、著名人によるコラムなどを掲載し、50代以上の女性の悩みや疑問に答えるNo.1アドバイザーを目指していきます」

そこには、新サイト「ハルメクWEB」がオープン予定であることと併せて、「ハルトモライター」を募集することが書かれていました。

希望者は、以下のテーマから題材を選び、400字程度の文を書いてメールで送ってくださいとのこと。

  1. 自分の好きなもの、はまっていること、趣味・特技を教えてください。
  2. 旅行好きな方は、同年代の方におすすめの宿や旅行プランを教えてください。
  3. 美容がお好きな方は、同年代の方におすすめの美容法や化粧品があれば教えてください。
  4. 今までを振り返り、あなたの人生の転機について教えてください。

続けて
「文章を書くことが好き! みんなに「美容」や「旅行」、「趣味」について伝えたい! 自分の経験が誰かの悩み解決のヒントになれば……。そう思っている方々、ぜひこの機会に「ハルトモライター」として、みなさんへ情報発信してみませんか? ご年齢は問いません」と、ありました。

この呼び掛けの中で、私に当てはまるのはただ一つ、文章を書くことが好き! ということだけでしたが、私は、早速応募することにしました。

というのも、その頃の私は、一見元気そうに見えるものの、脳出血後遺症のために、すべてが、水の中の出来事のようでリアリティがなく、何をするにも、何を言うにも、自分でありながら自分でないような、そんな感覚に悩まされていたのです。自分を取り戻したい。好きな文章を書くことなら楽しく続けられそう、書き続けることで自分を取り戻すことが出来るかも知れない、と考えたからです。

ハルトモライターへの応募メール1

その生命力に何度も励まされたアケボノソウ
その生命力に何度も励まされたアケボノソウ

テーマの中から1と4を選び、短い文章を書いて、編集部に送りました。

テーマ4 病気
20余年間、緩やかに戦いつつ、半ば一生涯共生することを覚悟していたC型肝炎が、新薬の登場で、完治した。2016年10月のことである。やがて肝硬変→肝がんへと進み、入退院を繰り返すという70歳代のイメージが、66歳で覆った。国内はもちろん、海外へもまだまだ出掛ける70歳代。退職後始めた地域活性化のボランティアに本気で取り組む70歳代。英検準1級にも挑戦する70歳代。夢が広がった。

が、2016年11月3日。何の前触れもなく突然の脳出血に襲われた。10日間、言葉と右半身の自由を失い、ひどい頭痛と高熱に苦しんだ。3か月間の入院生活と、1日も欠かすことがなかったリハビリを今振り返り、しみじみと喜びと感謝の気持ちでいっぱいになる。優しかった療法士さんたち。私の気持ちに寄り添いながら、根気よくリハビリに取り組んでくださった。少しずつ言葉を取り戻し、座れるようになり、立ち、歩けるようになった。肩の上げ下げから始め、腕の曲げ伸ばしができるようになり、お箸が、鉛筆が持てるようになった。

いつも側にいて、見守ってくれた夫と息子。

「引きこもらないで生活している限り、まだまだ良くなり、70歳になる頃には普通のおばあちゃんになっていますよ」と言う、脳外科の先生の言葉を聞いて、ある感慨にとらわれた。衰えていくはずの60歳代を、良くなっていくという実感を持ってすごせるなんて!と。

今も、週2回の訪問リハビリを受けながら、国内旅行、ボランティア活動、英会話サークルを再開した。夫の支援の下ではあるけれど、できるようになっていく喜びに満たされている。

こうして始まった、ハルトモライターの活動

例年夏に孫たちが訪れるのも大きな励みになった
例年夏に孫たちが訪れるのも大きな励みになった

メールを送ってから数日後、編集部から電話がかかってきました。そして、応募メールに基づいて、いろいろと質問してくださり、その翌日には、まずは、C型肝炎治療記から記事を書いてほしいとの依頼メールが届きました。そこには、それまで新聞への投稿などで400字から800字までの文しか書いたことがなかった私に、記事を書くに当たってふくらませるポイントが書かれていました。

【C型肝炎治療記】

  • どんな生活をしていたのか
  • 病気発覚までの経緯
  • 治療の様子、完治するまで・病と知ったときの心境や、周りの人たちの様子
  • 病とどのように向き合っていたのか

ポイントに沿って、思い出をたどったり、記録を探したりしながら、結局このテーマで1200字から1500字の記事を6本も書きました。書いていくうちに、混沌としていた私の思考回路はどんどんクリアになっていきました。おまけに、記事を読んでくれた兄姉や友人たちからは、思いがけない反応があり、障害を持ってしまった私にも、人を励ます力が残されていたのだと自信を取り戻すことさえできたのです。

麻痺した右手も使ってパソコンに向かって執筆活動
麻痺した右手も使ってパソコンに向かって執筆活動

次回も、ライター活動が、私にもたらしたものについて書きたいと思います。
 

■もっと知りたい■

harumati
harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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