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- 初めての単身渡米!娘の出産手伝い予行練習
アメリカに暮らす娘さんのひと言で、52歳から本気で英語を学び始めたharumatiさん。妊娠した娘さんの手伝いをするために、出産前に現地で予行練習をすることに。母の愛は女性を活動的に、強くすることが伝わってきます。
初めての単身渡米を決意
体が不自由になってから、空をよく見上げるようになりました。特別な所へ出掛けられなくても、空の高さや雲の形から季節の移ろいが感じられます。
9月下旬のある日、趣味の「小さな朗読発表会」に参加した後、夫の運転する車で琵琶湖湖岸をドライブして帰路に就きました。久しぶりによく晴れた日でした。真っ赤に燃える夕陽が琵琶湖に沈んでいきます。見上げれば、澄み渡った青空にうろこ雲。ついこの間まで、もくもくと立ち上っていた入道雲はもうどこにもありません。本格的な秋の訪れです。
2、3日後、2日間降り続いた雨に打たれた落葉で、我が家の裏庭は埋め尽くされました。柿の紅葉はいち早く、見事な彩りで秋の始まりを知らせてくれます。
さて、16年前に話を戻して、アメリカに住む長女からの「妊娠したよメール」が届いたのが2004年6月。そして出産予定は8か月後の2005年2月。それまでに、出産手伝いの3条件が難なくこなせるようになっていなければなりません。
- 英語がしゃべれること。
- 左ハンドルの車で右側車線を走れること。
- 慣れない食材、台所で料理ができること。
これらがやっとこすっとこの状態では、出産の手伝いどころではないでしょう。
1の英語をしゃべることは、曲がりなりにも「日常会話ができる」とされる英会話教室NOVAのレベル5に到達。2と3は、現地でやってみるしかないのではないか、それに妊婦姿の娘も早く見てみたいと思いました。そこで、私は、2004年8月に、三度目のアメリカ行きを、単身で決行する決意をしたのです。
緊張感いっぱいのアメリカ一人旅
早速国際運転免許証を手に入れ、10日間の休暇が取れるように仕事の手配も済ませました。出発間際まで、週2回の英会話レッスンを受け続け、レベル5のレッスンは、38回に及んでいました。けれども、レベル5は、復習する時間がまったく取れない私にとって相当難しく、当時の記録ノートを見てみても、cicada (セミ)、pepper(ピーマン)、homecoming(帰省)、Jury(陪審)などと、知らなかった単語を走り書きしているだけでした。
それでも、2004年8月23日、当時は、関西空港から運航されていたデトロイト行きのノースウエスト航空に乗り込みました。機内で、私はこんな日記を書いていました。
I'm on an airplane now.
Even though I was afraid of going to the U.S alone, I enjoy it now. I am free from the stress of everyday life. I can see my daughter in 10 hours. I can't imagine her as an expectant mother. When I arrive in America, I relax with my daughter and prepare for childbirth.
(以下、日本語訳)
私は今飛行機に乗っています。
一人でアメリカに行くのが怖かったのですが、今は楽しんでいます。私は日常生活のストレスから解放されています。 10時間以内に娘に会えます。 娘の妊婦姿は想像もつきません。アメリカに着けば、娘と共にリラックスし、そして、出産の準備をします。
とはいえ、娘の住むプロビデンスまで行くには、デトロイトのメトロポリタン空港で乗り換えをしなければなりません。家族と一緒の時でさえ、乗り換えはなかなかの難関だったのに、今回は単身。日記には続けてこんな風につづられていました。
I was nervous when the plane landed at Metropolitan Airport.
I walked to the immigration counter without looking away. The person in front of me seemed to be suspected of being a terrorist because he had been checked for a long time.
It’s my turn. Succeeded! Then I went to the baggage claim. I found my suitcase with a red scarf tied to it.
(以下、日本語訳)
飛行機がメトロポリタン空港に着陸したとき、私は緊張しました。脇目も振らずに入国審査カウンターまで歩きました。私のすぐ前の人は、テロリストかと疑われたようで、長い間チェックされていました。私の番です。成功しました! それから手荷物受取所に行きました。赤いスカーフを結びつけておいた私のスーツケースを見つけました。
第一関門通過です。次は、プロビデンスのグリーン空港行きの飛行機にチェックインして搭乗しなければなりません。またまた緊張です。空港内にはさまざまなアナウンスが流れていましたが、私が聞き取れたのは、“Boston”という言葉だけ。ボストン行きの飛行機について何か知らせているようなのですが、まったく聞き取れませんでした。
発着便が書かれたモニターを見てみると、プロビデンス行きの搭乗口は、搭乗券に書かれていた24番ゲートから76番ゲートに変更になっていました。そのこともきっとアナウンスされていたのでしょう。何とか無事にプロビデンス行きの飛行機に乗り込みました。第二関門通過と思ったのも束の間。またまた、緊張感に襲われました。そのことは、娘の家に着いてからの日記に書かれていました。
I was relieved and took a deep breath.
Obviously, the domestic flight was full of big Americans, so I was a little nervous again.
The plane landed at T.F. Green AirPort in Providence in no time. I saw my daughter after an interval of a half year.
(以下、日本語訳)
私はホッとして、深呼吸しました。
当たり前だけれど、国内線のその飛行機は、大きなアメリカ人でいっぱいだったので、また少し緊張しました。間もなく、飛行機はプロビデンスのT.F.グリーン空港に着陸しました。半年ぶりの娘との再会です。
いよいよスタート、出産手伝いの練習
妊娠5か月の娘のお腹は、少しふっくらとしていて、元気そうでした。義理の息子が作ってくれたポーランド料理をいただきながら、今回の一人旅での出来事を二人に聞いてもらいました。そして、ようやく心の底からくつろげました。
翌日からは、インターナショナルハウス(※)で、英語の勉強だけではなく、さまざまな体験が用意されていました。車で右側車線を走る練習も始まりました。近くのお店や、クリニックの場所も覚えなければなりません。それらのことは、次回に書きたいと思います。
※「インターナショナルハウス」とは、外国人に英語を話せるようになってもらうために、シニア層を中心にしたボランティアの方が、英語レッスンはもちろんのこと、編み物教室や、絵画教室を無料で提供してくれる施設のこと。
70代も成長し続けたい
2020年9月25日は、私の70歳の誕生日でした。古希にちなんで、紫系でまとめられたアレンジメントフラワーが、娘たちから届きました。66歳で脳出血を発症し、イメージしていたのとは随分違う60代後半を送ってきましたが、それは決して悪いことばかりでありませんでした。
脳出血を発症していなかったなら、こうしてハルメクWEBで文を書くこともなかったでしょう。週2回のリハビリを通して、体を動かすことや筋トレの楽しさに目覚めました。70代もいつまでも成長し続けられる私でありたいと思います。
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