カメラ片手に、美しい自然と向き合いにいく旅物語

冬の道東一人旅(中編)

公開日:2018.08.16

更新日:2018.10.09

国内旅行で巡った観光地や心に刻まれた風景を、撮影した写真とともに綴ります。今回は冬の標茶、摩周湖、知床へひとり旅。釧路湿原を走るSL、晴れ渡った摩周湖、夕景のオホーツク海、「オーロラファンタジア」等、訪れた先々で見た美しいシーンを紹介。

耳懐かしいSLの汽笛の音
耳懐かしいSLの汽笛の音。

2日目の始まり

旅の2日目、今日も快晴です。

今日は釧網本線の釧路から標茶(しべちゃ)までSLに乗車します。11時の出発ですからホテルでゆっくりし、和商市場で買い物、家族へのお土産を調達しました。もちろん家族が大好きな北海道の冬ならではの毛蟹も入っています。

いざSLで出発

釧路駅で大好きな牡蠣飯のお弁当を買い込み、ホームでSLの入線を待ちます。SLのあの「ボーーーッ」という汽笛を耳にすると、小さい頃父の実家へ行くのに乗った列車のことを思い出します。昭和30年代のはじめ、鈍行列車に揺られて1日かがりの旅でした。父のこと、母のこと、子どもの頃の自分、想いは果てしなく、そして切なく昔へ昔へと飛んでいきます。

好天の元、あちらこちらに「撮り鉄」の姿が……彼方にエゾシカの群れの姿を捉えながら、SLは真っ白な釧路湿原をゆっくり走り抜けます。このSLはストーブ列車で、車両の中はほっこり暖かく、その温もりに包まれながら私の目は飽きることなく、ただただ白い世界を眺め続けていました。

標茶から摩周湖、知床へ

摩周湖
摩周湖。

 

オホーツク海を染める夕日
オホーツク海を染める夕日。




標茶からは路線バスの利用でしたが、道路はどこもしっかり除雪されています。この路線バスは拠点の駅と観光地や温泉地のみを巡るものです。立ち寄り先の観光地ではたっぷりと見学時間を取ってくれ、広大な北海道らしい路線バスでした。

まずは摩周湖へ、今日の摩周湖は静かに晴れ渡り、その姿のすべてを見せています。キーンと張り詰めた空気の中、あらゆる音や声を飲み込んでしまったようなたたずまいです。
こういう自然の中にいると、その深い懐に抱かれているような居心地の良さと、自分そのものがもはや自然と一つになってしまった、その一部でしかないような研ぎ澄まされた感覚を覚えます。

バスは硫黄山、川湯温泉と立ち寄り、オシンコシンの滝に向かいます。足下は凍っていてとても滑りやすいので注意しながらの滝見物、バスに戻ろうとした時ふと目を海に転じると、オホーツクの海への静かな落日が始まっていました。

 

光のページェント

知床では降雪も風もない夜には、「オーロラファンタジア」が開催されます。これは煙とレーザー光線でオーロラを表現したもので、天候に恵まれないときは見ることができません。嬉しいことに今夜は風も降雪もなく開催されるとのこと、名前に惹かれて申し込みました。めまぐるしく移りゆく、美しい光のページェントが幻想の世界を醸し出し、今自分が北国の極寒の地にいることを忘れさせてくれます。

この2日間、私はこんなにも様々な事柄に出会い、たくさんの感動とほんの少しの畏れを感じてきました。この日、暖かなベッドの中で北国のカムイと家族に感謝しつつ眠りにつきました。

道東の旅3日目は、斜里から流氷ノロッコ号で網走へ。クリオネ、砕氷船、監獄……そして女満別空港で見た、雪国のたくましさについて回想します。

こすず

趣味は、読書(といっても多読、乱読)、旅をすること、写真、登山を含むアウトドアライフです。食べることへの興味も尽きない方で、旅先での食の探訪も結構好きです。少しでも長く趣味を楽しむために体力の温存を図るべく、夫と共に週4回ほどウォーキングとジョギングを行っています。

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