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- パラリンピックの見方が変わった!!
正直に書きます。私はこれまでパラリンピックをほとんど見ていませんでした。「不自由な人」という意識がアスリートであるという事実よりも強くて、迫力に欠けるのではないかと思いこんでいたからです。
きっかけは「小田凱人」選手
金メダルを期待される車椅子テニスプレーヤーとして、開幕前から特集番組が組まれていて、その迫力ある競技振りに一気に引きつけられました。
「小田凱人」(ときと)プロ選手になることを夢見る9歳のサッカー少年が、プレー中に突然利き足に激痛を感じた。悪性腫瘍である骨肉腫でした。そこから、車椅子テニスプレーヤーとしての彼の新しい人生が始まります。
抗がん剤治療を経て、股関節と大腿骨の一部を切除し人工関節を入れる大手術を受け、医師から「もう走れなくなる」と告げられた彼。それでもスポーツへの思いを断ち切れない彼に「車いすに乗る人だけができるスポーツがあって、パラリンピックという世界大会がある」と、主治医は話しました。
主治医から聞いて初めてパラスポーツのことを知り、YouTubeでさまざまなパラスポーツの動画を見る中で、競技用車いすを巧みに操作しながら激しいラリーを繰り広げる選手の姿にビビッときたのが車いすテニス。
ときおりしも、ロンドンパラリンピックの年。9か月の入院生活を経て10歳になっていた彼は、病院のベッドの上で、決勝戦を戦う車椅子テニスのトッププレーヤー「国枝慎吾」選手の姿に釘付けになりました。
「めちゃくちゃカッコいい。自分もこうなりたい」。―車椅子テニスを早く始めたい―これが厳しくつらいリハビリのモチベーションとなりました。
それから8年後。2024年夏、彼は憧れの国枝選手と同じ車椅子テニスの決勝戦の場に立っていました。ギャラリーを鼓舞して勝ちを取れる環境を自ら作り出し、見事に史上最年少18歳の金メダリストとなったのです。
I felt ashamed at how biased my perspective was.(私は、いかに偏った見方をしていたのかと自分を恥じました)
この記事を書くために調べていて分かったことですが、13歳~14歳の時には再発して腫瘍は肺に転移していたのだそうです。
障害者―見方を変えると―
次に私に大きな学びをもたらしてくれたのが、「ゴールボール」でした。それは、視覚障害のある選手がプレーするパラリンピック特有の競技です。今回のパリ・パラリンピックで初めて知りました。
障害の程度に関わらず、「アイシェード」と呼ばれる目隠しで全盲状態にした3人ずつの選手が、バスケットボール大の鈴の入ったボールを互いに投げ合い、相手方のゴール目指して攻防を繰り広げるチームスポーツです。
審判の「Quiet Please!(お静かに)」のコールで試合開始です。攻める側も守る側も「音」だけが頼り。足音を消した移動攻撃・声頼りのパス交換・ボールを投げない方向への足音を使ったフェイント等、多彩な攻撃が展開されます。守る側は、足音などのかすかな音を頼りにボールの出所を読み、体全体を使ってゴールを守ります。
全員が全盲状態にして戦うのなら、晴眼者も共に参加できるゲームとも言えます。そう考えると、ゴールボールにおいては晴眼者こそが障害者とも言えるのではないかとハッとしました。視覚障害者は視覚を失った分、残された感覚を研ぎ澄まして戦うのです。
私も含めて多くの晴眼者は、普段「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」等をいかになおざりにしていることか! 第六感ともなるともうお手上げです。
パリ・パラリンピックでは日本男子が金メダルを獲得しました。その試合を見ていて「感覚を研ぎ澄ます」素晴らしさに感動を覚えました。
主力選手の平均年齢は45歳。50代が4人!
シッティングバレーの男子ボスニア・ヘルツェゴビナの陣容です。これまで6回連続金メダル獲得。けれども、パリ・パラリンピックでの7連覇は叶いませんでした。
この国では、旧ユーゴスラビア解体に伴う内戦が1992年から激しくなり、約20万人が命を落としました。その多くは1960年から70年代前半生まれの若者。エースのサフェト・アリノベシッチ(41)は12歳の時地雷を踏んでかかとを失いました。ミルゼット・ドゥラン(37)は6歳の時手投げ弾で脚に傷を負いました。
これもまた、「小田凱人」選手をきっかけに、パラリンピックの新聞記事にもよく目を通すようになって初めて知った悲しい現実です。
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