五箇山~井波~立山。富山をディープに

世界遺産に泊まる。立山信仰に触れる

公開日:2024.05.24

年のせいか、人工的なお花畑やテーマパーク、映えメニューに惹かれることはなくなりました。GWは、シブくてディープな富山旅。シブすぎたのか、どこも空いていてゆっくり観光できました。

世界遺産に泊まる。立山信仰に触れる
五箇山 相倉合掌造り集落

世界遺産に泊まれる!

世界文化遺産「五箇山 相倉合掌造り集落」(富山県)には、合掌造り家屋が20棟。今日のお宿の民宿「勇助」は、その一つ。ビューポイントから望めば、センターポジションにあります。

世界遺産に泊まれる!

連休中というのに集落に観光客は少なく、水の流れる音、カエルの声がくっきり。山の残雪が輝き、田んぼの畦に菜の花。まさに日本の原風景!

合掌造りは窓に五箇山和紙、屋根は茅葺だから、中はひんやりしていて、うす暗い。

目が慣れてくると、宮大工が手掛けた格天井や曲線を描く太い梁、そして高校の部活で訪れた浩宮さま(天皇陛下)が、囲炉裏端で学友と寛ぐ写真が見えてきました。自然な笑顔が優しくてかわいい!!

そのありがたい囲炉裏端で、夕餉。

一泊2食付き    大人2名/1名 1万4000円

五箇山豆腐や山菜。地物三昧で盛りだくさん。質素な暮らしのハレの日のお膳の趣。宿のお母さんがあれこれ世話を焼いてくれて、心も温まる。

1日1組だけのお宿だから、ご主人のお話も独り占め。

五箇山は加賀藩の流刑地であったこと、秘密裡に火薬の主原料「塩硝」を製造していたこと。屋根の葺き替えは約15年に一度、費用は3000万円! 若い世代の移住で子どもの数も増えているものの、「ここ南砺市は消滅可能性都市らしいですよ」etc.

井波彫刻は全国の寺社御用達

勇助の仏間には「井波彫刻」の欄間がありました。

井波彫刻は、その職人が東本願寺や日光東照宮などの彫刻や欄間、仏像を手掛けたことでも知られる、全国一の規模を誇る木彫刻産業です。

瑞泉寺山門の彫刻「波に龍」は、大火の時、この龍が水を吐き、山門を守ったと伝わります。

「禁煙」や「順路」の看板も木彫り。

JR車内誌に「木槌の音が響く町」とあったとおり、門前の通りでは、店舗兼工房から木槌の音が響き、名工の技を間近で見ることができます。井波彫刻の欄間は、前に後ろに大きくせり出して、イメージとしては「精巧な飛び出す絵本」。お値段は約100万円~、手も足も出ません。

そしてバス停も、木彫り。

極楽往生のガイドブック「立山曼荼羅」

勇助のご主人と囲炉裏端で一番盛り上がった話題が「立山曼荼羅」。「立山曼荼羅を見に行くお客さんは初めてだ!」と、翌日に見に行くことにしている「立山曼荼羅」について熱く語ってくれました。

立山曼荼羅とは、いわば、江戸時代の立山観光イラストマップ。立山信仰(登拝すれば極楽往生できる)を広めるために、全国で見せて回ってPR。持ち歩きしやすいように3~4幅に分けられています。

血の池や針の山などの地獄と、阿弥陀如来がお迎えにくる極楽が立山の実景に重ねて描かれ、例えば針の山=剱岳↓※写真は夏山、

落差350mの称名滝(華厳の滝は97m)や、

登坂道、麓にある2つの雄山神社なども描かれています。

富山県「立山博物館」では、立山曼荼羅をはじめ、立山信仰を伝える資料を見ることができます。立山は女人禁制のため、登拝の代わりに行われたのが「布橋灌頂会」。目隠しをして「布橋」を渡れば、生まれ変われるとされていました。

今も3年に一度、開催されています。ならば! と思うも、布橋はアールがきつく、表面に凸凹があって、ここを目隠しをして、となると……。

「目隠ししてもうっすら見えるんですよね?」

と、副館長にすがるも

「見えないみたいですよ、ふらつかれる方もいらっしゃいます」

女人禁制も今は昔。女子も立山に登れば極楽往生。

立山山頂雄山峰本社、標高3003m。

■もっと知りたい■

みろく

信州との2拠点居住を始めて5年。住み慣れ(すぎた?)大阪を離れることで、関西の魅力を再発見!京都や奈良、神戸への遠足を楽しみつつ、全国を旅しています。元旅行会社勤務の経験を活かして、お得な切符やおもてなしのよい宿泊施設などを紹介していきたいと思います。

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