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年のせいか、人工的なお花畑やテーマパーク、映えメニューに惹かれることはなくなりました。GWは、シブくてディープな富山旅。シブすぎたのか、どこも空いていてゆっくり観光できました。
![世界遺産に泊まる。立山信仰に触れる](https://halmek.co.jp/media/article/image/4eebfd680feab90395c0c71cfd3a3172.jpg)
世界遺産に泊まれる!
世界文化遺産「五箇山 相倉合掌造り集落」(富山県)には、合掌造り家屋が20棟。今日のお宿の民宿「勇助」は、その一つ。ビューポイントから望めば、センターポジションにあります。
連休中というのに集落に観光客は少なく、水の流れる音、カエルの声がくっきり。山の残雪が輝き、田んぼの畦に菜の花。まさに日本の原風景!
合掌造りは窓に五箇山和紙、屋根は茅葺だから、中はひんやりしていて、うす暗い。
目が慣れてくると、宮大工が手掛けた格天井や曲線を描く太い梁、そして高校の部活で訪れた浩宮さま(天皇陛下)が、囲炉裏端で学友と寛ぐ写真が見えてきました。自然な笑顔が優しくてかわいい!!
そのありがたい囲炉裏端で、夕餉。
五箇山豆腐や山菜。地物三昧で盛りだくさん。質素な暮らしのハレの日のお膳の趣。宿のお母さんがあれこれ世話を焼いてくれて、心も温まる。
1日1組だけのお宿だから、ご主人のお話も独り占め。
五箇山は加賀藩の流刑地であったこと、秘密裡に火薬の主原料「塩硝」を製造していたこと。屋根の葺き替えは約15年に一度、費用は3000万円! 若い世代の移住で子どもの数も増えているものの、「ここ南砺市は消滅可能性都市らしいですよ」etc.
井波彫刻は全国の寺社御用達
勇助の仏間には「井波彫刻」の欄間がありました。
井波彫刻は、その職人が東本願寺や日光東照宮などの彫刻や欄間、仏像を手掛けたことでも知られる、全国一の規模を誇る木彫刻産業です。
瑞泉寺山門の彫刻「波に龍」は、大火の時、この龍が水を吐き、山門を守ったと伝わります。
「禁煙」や「順路」の看板も木彫り。
JR車内誌に「木槌の音が響く町」とあったとおり、門前の通りでは、店舗兼工房から木槌の音が響き、名工の技を間近で見ることができます。井波彫刻の欄間は、前に後ろに大きくせり出して、イメージとしては「精巧な飛び出す絵本」。お値段は約100万円~、手も足も出ません。
そしてバス停も、木彫り。
極楽往生のガイドブック「立山曼荼羅」
勇助のご主人と囲炉裏端で一番盛り上がった話題が「立山曼荼羅」。「立山曼荼羅を見に行くお客さんは初めてだ!」と、翌日に見に行くことにしている「立山曼荼羅」について熱く語ってくれました。
立山曼荼羅とは、いわば、江戸時代の立山観光イラストマップ。立山信仰(登拝すれば極楽往生できる)を広めるために、全国で見せて回ってPR。持ち歩きしやすいように3~4幅に分けられています。
血の池や針の山などの地獄と、阿弥陀如来がお迎えにくる極楽が立山の実景に重ねて描かれ、例えば針の山=剱岳↓※写真は夏山、
落差350mの称名滝(華厳の滝は97m)や、
登坂道、麓にある2つの雄山神社なども描かれています。
富山県「立山博物館」では、立山曼荼羅をはじめ、立山信仰を伝える資料を見ることができます。立山は女人禁制のため、登拝の代わりに行われたのが「布橋灌頂会」。目隠しをして「布橋」を渡れば、生まれ変われるとされていました。
今も3年に一度、開催されています。ならば! と思うも、布橋はアールがきつく、表面に凸凹があって、ここを目隠しをして、となると……。
「目隠ししてもうっすら見えるんですよね?」
と、副館長にすがるも
「見えないみたいですよ、ふらつかれる方もいらっしゃいます」
女人禁制も今は昔。女子も立山に登れば極楽往生。
立山山頂雄山峰本社、標高3003m。
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