障害者になって初めての飛行機でのアメリカ行き(4)

家族としての成長を感じられただけで十分だったのに

公開日:2023.08.09

ニューヨークへ引越した9年前とは比較にならないほど落ち着いた生活振りを見せてくれた次女家族。その日常生活を見られただけで、不自由さを押してニューヨークへ行ったかいがあったと満足していた私に、3つものオマケが!

National Honor Society 招待セレモニー

ニューヨークに着いた日の夕方、 middle schoolの講堂で「National Honor Society 招待セレモニー」があるというので、参加しました。姉や友人が「祖父母参観に行ったよ」と聞く度にちょっぴりうらやましく感じていたし、未だ一度もアメリカの学校の中に入ったこともなかったからです。

ところで、“National Honor Society”って? 次女もよく分かっていなかったようで、放課後のテニスレッスンを終えて、セレモニーに参加することになる孫に、「別に着替えなくてもそのままで良いんじゃない?」と話していました。

National Honor Society招待セレモニー
NHS.の先輩と学校長によってジュニア部の認定式が執り行われました

この12歳の孫はしっかり者で、次女のその考えに賛成できない模様。「僕、着替えても良いよ」と言いながら、半袖・半パンでテニスレッスンに出掛けて行きました。夕方セレモニー会場に彼は、長ズボンに抜かりなく着替えて登場しました。

“National Honor Society”は、略称NHS.1921年設立の「全米優等生協会」のことで、学業・リーダーシップ・社会奉仕活動・人格の4つの条件を満たした学生に招待状が届き、それを受けてレポートを書き、先生方からの推薦状をもらって初めて入会を認められると言うもののようです。

ともあれ、私にとっては、孫のしっかりした面と学校での友達との関わり方を目の当たりにすることができた、1つ目のオマケとも言える体験でした。

2つ目のオマケ ―ウーバー初体験―

いよいよニューヨーク最終日。娘が用意してくれていた―1度は諦めていた―本場ハーレムの教会でゴスペルを聴く日です。一生の内に一度は本場で聞きたいと、アメリカ行きを決意したその日から、身障者でも参加できるものはないか調べ始めました。

日本人ガイドが案内するツアーを見つけてメールで問い合わせてみると、「ハーレムの教会は段差や迷路のような通路が多いこと」「バリアフリー化が進んでいないハーレムの街を車椅子での移動は困難なこと」からと、断りのメールが返ってきました。

元々、―障害者が健常者と同じようにできないのは差別だ―とは考えない私は、その丁寧なメールに納得して諦め、次女にもその旨連絡しました。

それを知った次女、「お母さんの9年来の夢を実現してあげたい」と俄然張り切り、「私が連れて行く!」と地元の強みを活かして調べ上げ、チケットを取ってくれたのでした。

その日は土曜日。下の孫は車でしか行けない日本語学校に行く日です。車が1台しかないのにどうする?「ハーレムへはウーバーで行く」と次女。

2つ目のオマケ―ウーバー初体験―
1904年地下鉄がハーレムまで延びたことを契機にブラウンストーンの中・上流階層用のビルが建てられたが過剰投資のため地価が暴落。その結果、南部の貧しさから逃れてきたアフリカ系黒人が多く住むようになり、1920年頃には現在の黒人街ハーレムが形成され、"ハーレム・ルネッサンス"が花開いた

車中での次女の説明によると、「一般の人が空いた時間を利用してタクシー運転手のような仕事をし、スマホアプリを通じてマッチングした利用者が乗車するというライドシェアリングサービス」がウーバーとのこと。行き先も支払いもスマホアプリを通して事前に明確にしているので安心なんだとか。

3つ目のオマケ―9年来の夢叶う―

9年の間にすっかりニューヨーカーになったかに見える次女。何のかの言わずに全ての動きの軽いこと速いこと。私があれほど真剣に悩み考えていたことが次々に実現していきます。

3つ目のオマケ―9年来の夢叶う―

レンガ造りの教会の階段には一人乗りのエレベーターが。混雑を避けて別の通路から教会内に入れてもらうと、いよいよ念願のゴスペルの始まりです。

3つ目のオマケ―9年来の夢叶う―
独自の言語も宗教も全ての自由を奪われた奴隷の過酷な生活を支える福音としてのゴスペルミュージックは、明るく力強い

■もっと知りたい■

harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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