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年末調整の季節!払い過ぎた「税金を取り戻す」ために知っておきたいこと
年末調整の季節!払い過ぎた「税金を取り戻す」ために知っておきたいこと
公開日:2025年11月14日
年末調整は「税金を取り戻す作業」と思ってやりきる!
「年末調整」の時期となりました。「仕事じゃないのに面倒な作業をしなくてはならないか……」とちょっと憂鬱な気分になることでしょう。
そもそも、用紙がユーザーフレンドリーではないんですよ! 年末調整用のソフトを導入している企業なら、フォームに沿って入力すればいいので、多少ラクになりましたが、まだまだ「用紙に記入」をさせるところも少なくないようです。
でも、面倒でもやらないと、多めに天引きされた税金がそのままになってしまいます。やる気を出すためには「年末調整とは税金を取り戻すための作業」と割り切りましょう。
そもそも年末調整とは?「還付」の恩恵を受けるケースがほとんど
年末調整とは、ごく簡単に言うと「1月~12月までに給与・ボーナスから源泉徴収された所得税の過不足を精算するための手続き」です。
税金をしっかり取り戻すコツは「記入漏れ」をなくすこと。これに尽きます。
給与とボーナスから源泉徴収(天引き)される所得税は、収入や扶養家族の人数を基に概算で計算されています。年末調整では、家族の収入や支払った保険料など「その他の個別事情」を考慮して、その年の正確な所得税額を算出します。
年末調整で計算された所得税額が、源泉徴収された所得税の合計額より少ないと、払い過ぎた税金は12月の給与(1月の場合もあり)で還付金として戻ってくる仕組み。
反対に年末調整で足りない所得税が給与から引かれるケース(ボーナスの金額が多い人など)もありますが、全体で見ると「還付」のケースが多いでしょう。
2025年は税金戻り額がアップ!
2025年は、税制改正で「基礎控除」が拡大されました。改正案が国会を通過後、2025年1月にさかのぼって適用になっているのですが、毎月の源泉徴収に反映されていないため、25年に関しては年末調整で反映されます。つまり、今年の年末調整は例年より還付金が増えるのです!
拡大後の基礎控除は、年収により上乗せ分があったりして複雑なのですが、勤務先が把握している項目ですから、記入ミスは発生しません。用紙を出すだけで税金の還付が受けられます。
年収別に所得税の還付額を見てみましょう。
【年収別】所得税還付額の目安
年収200万円:約2万4000円
年収300万円:約2万円
年収400万円:約2万円
年収500万円:約2万円
年収600万円:約2万円
年収700万円:約3万円
(税務上の扶養家族がいないケース)
基礎控除拡大の恩恵は、年収によって拡大額、税率が異なるためさまざまですが、おおむね2万~3万円の還付を受けられる人が多いです。基礎控除拡大は、合計所得金額が2350万円(給与年収では2545万円)以下の人なら誰でも受けられる恩恵なのです。
使える控除は漏れなく申告!
では「その他の個別事情」を申告する際の注意点を見てみましょう。
ここで知っておきたい言葉は「控除」です。税金の言葉で「控除」とは、「引けるもの」で、言い換えると「非課税の枠」のこと。使えるはずの控除は漏れなく使うのが、税金を減らすための鉄則なのです。
生命保険や地震保険に加入していたら保険料控除の証明書を出すことは、みなさんご存じですね。基本のきですから、忘れずに申告しましょう。
年末調整で申告できることを知らずに申告漏れしがちな控除があります。
例えば「子どもの国民年金保険料を支払った」というケース。これは、社会保険料控除の対象となります。
20歳以上の子どもの国民年金保険料を親が代わりに納付したなら「社会保険料控除」を受けることができます。
保険料は1年分で約20万円。所得税・住民税の節税額は、例えば年収300万円なら約3万円、800万~1000万円なら約6万円です(年収の高いほうの税務上の扶養家族は大学生の子1人のケース)。年収により、こんなに違うのです。
夫婦のうち、年収の高いほうが控除を使えば節税効果は高くなることを覚えておきましょう。
「子どもの国民年金保険料は控除に使えない」と思い込んでいる人がたまにいるのですが、保険料負担をした人(生計を共にする家族)が使えるのが「社会保険料控除」なのです。
iDeCoの掛金も所得控除の対象
iDeCoの掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象となりますが、ご存じですか。
iDeCoの控除証明書のハガキは10月末から11月初旬に届くので忘れずに年末調整で申告しましょう。
国民年金や国民健康保険の保険料を同一生計の家族が負担したなら、負担した人が「社会保険料控除」を使うことができます。
一方、iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象で、こちらは掛金を拠出した本人(名義人)の所得からのみ控除です。
先ほどの子どもの国民年金保険料(社会保険料控除)のように「夫婦のうち、年収の高いほうが使う」わけにはいきませんので、注意してください。
転職前の厚生年金・健康保険料の申告も忘れずに
今年、転職したなら、以前の勤務先で天引きされていた厚生年金と健康保険の保険料を忘れずに申告しましょう。
今の勤務先(年末調整をしてくれる勤務先)は、その社員が入社後に負担した社会保険料を把握していますが、それ以前のことはわからないので、自ら保険料を申告する必要があるのです。これは社会保険料控除の対象となります。
年末調整を行う際には、今回紹介した中で自分にあてはまる項目がないか、改めてチェックしてみてくださいね。面倒な作業でも「数万円の税金が返ってくる」と思えば、やり遂げられそうですね!
文=深田晶恵
※記事中の情報・金額は2025年11月時点のものです。




