ロンドン一人旅

2023年12月14日

よりぬき!ハルメク人気連載「毎日はじめまして」6

村木厚子さん「初めての海外一人旅」

元・厚生労働省事務次官の村木厚子さんは、2016年に60歳で、長年勤めた厚生労働省を退職。仕事から解放されて、夢だった海外一人旅にトライ。イギリスでホームステイをしながらの、2週間の短期留学です。そこで見た光景は…。

村木厚子(むらき・あつこ)さんのプロフィール

村木厚子さん

1955年、高知県生まれ。元厚生労働事務次官。2009年、厚生労働事務次官在任中、郵便不正事件で冤罪を被り164日の勾留を強いられる経験をした。

2015年10月退官後は、企業の社外取締役や大学客員教授等に就任。またSOSを心に抱えた少女や若い女性の支援を目的とする「若草プロジェクト」の代表呼びかけ人を、故・瀬戸内寂聴さんと共に務め、現在に至る。

2017年から雑誌「ハルメク」で、社会問題や生き方など日々の気付きを綴った連載「毎日はじめまして」をスタート。現在も好評連載中。

※記事は2017年2月号初出。

「英語はしゃべれません」で通してきたけれど

辞書

厚生労働省に勤めていた頃、「英語はしゃべれません」と公言して国際関係の仕事から逃げまわっていたのですが、逃げ切れない場面が来てしまいました。アメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所が、日本の女性活躍についてのセミナーをやるから来てスピーチをしろというのです。

安倍総理(当時)は女性活躍を熱心に進めていて、その一環で女性次官が誕生したのだからというわけです。代理を立てるわけにもいかず、英文のスピーチ原稿を作ってとにかくそれを読み上げることにしました。

本番まで1か月、悪あがきと知りつつ英会話学校に通いました。無事(?)本番が終わった後、せっかく始めたのだからと学校に通い続けることにしました。

役所を辞めた後、暇になってさぞ英会話の勉強も進むだろうと思ったのですが、さしたる目的も、切羽詰まった事情もないのですから、ちっとも上達しません。

そこで思い付いたのが2週間の「短期留学」。どうしても行ってみたかったロンドンに行ける、英語の勉強にも身が入る、一石二鳥というわけです。欲張ってイギリス人のお家にホームステイすることにしました。

ロンドン一人旅そしてホームステイ

ロンドン

初めての海外一人旅、正直なところ、大胆過ぎたかしら、やれるかしらと出発まで何度後悔したかわかりません。でも、行ってみれば、案ずるより産むがやすし、本当に楽しい時間を過ごしました。

先生の一人は長く学校で国語の教師をしていたという60代の女性。珍しく同世代の生徒がやって来たと喜んでくれて、文法や語彙(ごい)の勉強は一切やめて、自身の生い立ちや夫婦のあり方、外国人が著しく増えたイギリスの状況、教育や若い世代の変化など興味の尽きない話をたくさんしてくれました。「知りたい」「話したい」という気持ちが募り、勉強の意欲が高まりました。

ホームステイ先は60代後半のリタイアしたご夫婦。イギリス人はプライバシーをとても大事にするのでゲストにあまり干渉しないと聞いていましたが、程よい距離で、朝食と夕食時には、学校が終わった後の午後の時間や土日で観光できる場所を丁寧に教えてくれました。

○○がそんなに気に入ったのなら、きっと次はここに行くといいよ、といった具合です。おかげでロンドン観光も堪能しました。

英語を続ける楽しみを見つけた

ショータイム

中でも印象に残ったのがミュージカル「マンマ・ミーア!」です。日本で見ていたのでストーリーはわかります。日本と違ったのは、アンコールで客席全員が立ち上がって、アバのヒット曲を一緒に歌い踊ったこと。前の席にいた80代でしょうか、かなり高齢の女性が楽しそうに歌い踊っている姿が印象的でした。

劇場を出た後、偶然その女性を見かけると、なんと杖をついていました。学校でその報告をすると、定期的にロンドンに来て、そのたびに「マンマ・ミーア!」を見て、理解できるセリフが増えていくのを確認している生徒がいるわよと教えてくれました。

これだ、またロンドンに行って「マンマ・ミーア!」を見るために、英語の勉強を続けるぞ!

■もっと知りたい■
よりぬき!ハルメク人気連載
村木厚子さんの「毎日はじめまして」

その1「瀬戸内寂聴先生のこと」
その2「マスコミって…」
その3「高齢者は何歳から?」
その4「孤立・孤独」
その5「家出の勧め」
その6「初めての海外一人旅」

※この記事は雑誌「ハルメク」2017年2月号を再編集し、掲載しています。

雑誌「ハルメク」
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