今も憧れ!ココ・シャネルの「香り立つエレガンス」

2023年08月12日

随筆家・山本ふみこの「だから、好きな先輩」26

今も憧れ!ココ・シャネルの「香り立つエレガンス」

「ハルメク」でエッセイ講座を担当する随筆家・山本ふみこさんが、心に残った先輩女性を紹介する連載企画。今回は、ファッションデザイナーの「ココ・シャネル」。ファッション革命を成し遂げたシャネルの、時代に翻弄されながらエレガントに生きた姿とは…。

好きな先輩「ココ・シャネル」さん

1883-1971年 ファッションデザイナー
フランス生まれ。母親と死別し、孤児院や修道院で育つ。1910年に開いた帽子専門店「シャネル・モード」にはじまり、ブランドを確立。戦中戦後の15年間ファッション界から離れ、54年に復帰した。

隠そうとしても内面から香り立つ「エレガンス」

隠そうとしても内面から香り立つ「エレガンス」

「ココ・シャネル」(フランス語でCoco Chanel)という名前が、わたしにはそも短いものがたりのように思えます。

ファッションデザイナー。シャネルNo.5。シャネルスーツ。特徴的なショルダーバッグ(マトラッセ)……。

考えてみると、香水No.5には縁がなく、シャネルスーツにも袖を通したことがありません。けれどそれらは常に憧れの対象として、存在していたのです。

わたしが憧れていたのは、おそらくエレガンス。その正体はいまもってはっきりとはわかりませんが、内面と関わりがあり、隠そうとしても香り立つのものだと思えます。

シャネルが提唱した自立した女性の哲学

シャネルが提唱した自立した女性の哲学

さて「ココ・シャネル」というものがたりを、ここで少しばかり繙(ひもと)いてみましょう。

19世紀、欧米の女性の装いと云(い)えばコルセットでからだを締め上げるスタイルでした。『風と共に去りぬ』を映画で観たとき、主人公スカーレット・オハラの腰を侍女のマミーが締め上げコルセットをつけるシーンで、子どもだったわたしは仰天しました。ああ、この時代のアメリカに生まれなかったのは幸いだわと呟いたのです。

シャネルスーツが誕生したのは20世紀半ばでした。イギリスの紳士服の布地、仕立てを応用した、襟のないカーディガンスタイルです。女性服にポケットをつけたのも、画期的でした。シャネルが提唱した自立した女性の哲学が息づいていました。

ファッション革命を成し遂げたシャネルでしたが、生き方がじつに個性的でおもしろい……。彼女のまわりに存在した人びとが、その個性を際立たせているのです。

ミシア・セール(友/サロンの女王)。パブロ・ピカソ(画家、彫刻家)。ジャン・コクトー(芸術家)。ルキノ・ヴィスコンティ(映画監督、劇作家)。

そしてシャネルの死後、第二次世界大戦中ドイツ占領下のパリでナチに協力していた事実も明らかになっています。

シャネルはそれをどう考えていたでしょうか。エレガンスからもっとも遠い戦争について、ひとの存在と人生をコルセットどころではない締め上げ方をする戦争について、悩み苦しんでいたはずです。

ファッション界から離れていた大戦後、70歳(1954年)でカムバックを果たしたことを書き添えておきます。

随筆家:山本ふみこ(やまもと・ふみこ)

随筆家:山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
撮影=安部まゆみ

1958(昭和33)年、北海道生まれ。出版社勤務を経て独立。ハルメク365では、ラジオエッセイのほか、動画「おしゃべりな本棚」、エッセイ講座の講師として活躍。

※この記事は雑誌「ハルメク」2018年7月号を再編集し、掲載しています。


>>「ココ・シャネル」さんのエッセイ作成時の裏話を音声で聞くにはコチラから

「だから、好きな先輩」は、雑誌「ハルメク」で毎月好評連載中! 最新情報もあわせてチェックしてくださいね。 
※ハルメク365では、雑誌「ハルメク」の電子版アーカイブを12か月分見ることができます。詳しくは電子版ハルメクのサイトをご確認ください。

山本ふみこ
山本ふみこ

出版社勤務を経て独立。特技は何気ない日々の中に面白みを見つけること。雑誌「ハルメク」の連載やエッセー講座でも活躍。

みんなの コメント
【限定コラボ】職人技が光る!ハルメク×マエノリのセーター誕生秘話

子どもに残すべきはお金?不動産?どちらがお得?

子に遺すべき資産は?

「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは

2024.12.12
【PR】鼻への重量感・違和感のストレスから解放!

「ふわっ」と軽いメガネ♥

メガネがずり落ちる・鼻の頭が重いなど、メガネのプチストレスにサヨナラ!あっと驚く程つけ心地抜群のメガネをぜひお試しください

2024.12.17
【PR】始めるなら相談できる「対面証券」がおすすめ

資産運用の悩み解決!

「よくわからない」「挫折した」そんな人も安心!「対面証券」なら、口座開設から商品選びまで相談しながらカンタンに資産運用できる♪

2024.12.17
【PR】「渋滞の文字で……」トイレ事情あるある

突然の我慢できない尿意

実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って?

2024.12.10
【PR】個人情報の上手な管理・整理術とは

個人情報管理できてる?

銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が…

2024.12.09
【PR】三井住友銀行アプリにシンプルモードが登場

お金の管理が簡単に!

三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です!

2024.11.29
認知症セルフチェック

認知症セルフチェック

「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません…

2024.11.22
思わず笑顔になるコミュニケーションロボット「ニコボ」

健気な姿がかわいい!

「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました!

2024.11.22
デジタル資産の遺し方

生前親に●●聞き忘れると

老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは…

2024.10.11
【PR】50代からの願いを叶える新しい資金調達術

50代~お金の増やし方

将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか?

2024.11.20
【PR】たった60日で英語が話せる!3つのコツ

60日で英語が話せる!

英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは?

2024.08.29
認知症のリスクを確認してみませんか?

今なら無料でお試し!

将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます!

2024.08.08